#円をめぐる冒険 #書籍
円をめぐる冒険―幾何学から文化史まで
ポザマンティエ,アルフレッド・S.〈Posamentier,Alfred S.〉/ゲレトシュレーガー,ロベルト【著】〈Geretschl¨ager,Robert〉/松浦 俊輔【訳】
価格 ¥2,970(本体¥2,700)
紀伊國屋書店(2020/09発売)
サイズ A5判/ページ数 304p/高さ 22cm
商品コード 9784314011747
NDC分類 414.12
Cコード C0041
内容説明
古代から多くの数学者を魅了してきた「円」という図形を舞台に、数学的な基礎知識から、美しい定理、作図法、驚きの円充填問題や頭を唸らせる難問まで、長年数学教育に携わってきた著者が平易に解説する。後半は文化史や実用的側面まで見渡しながら、円の全体像に迫る。
目次
基礎と拡張
幾何学における特別な役割
定理
円充問題
辺に接する
作図―アポロニウスの問題
反転―円対称
マスケローニの作図法―コンパスだけで
美術と建築
転がる円―内サイクロイド、外サイクロイド
球面幾何学
著者等紹介
ポザマンティエ,アルフレッド・S.[ポザマンティエ,アルフレッドS.] [Posamentier,Alfred S.]
数学教育研究者、教育評論家。ニューヨーク市立大学シティカレッジ名誉教授。数学関連の啓蒙書を60冊以上手掛けている。2009年にはニューヨーク州の「数学教育者の殿堂」に入り、数学教育の第一人者として州内の重要なポストを歴任。欧州各国での表彰も多数
ゲレトシュレーガー,ロベルト[ゲレトシュレーガー,ロベルト] [Geretschl¨ager,Robert]
オーストリアの高校数学教師、大学非常勤講師。オーストリアの国際数学オリンピックチームのコーチも務める
松浦俊輔[マツウラシュンスケ]
名古屋工業大学助教授を経て翻訳家。名古屋学芸大学非常勤講師。主に一般向けの数学、科学書の翻訳を手掛けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
出版社内容情報
コンパスと定規を持って出かけよう
古代から多くの数学者を魅了してきた「円」という図形を舞台に、幾何学的な基礎知識から、美しい定理、作図法、驚きの円充填問題や頭を唸らせる難問まで、長年数学教育に携わってきた著者が平易に解説する。後半は、文化史や技術的側面まで見渡しながら、円の全体像に迫る。
数学の愉しさを伝え続けてきたベテラン教育者による、魅惑の世界への誘い
【著者】
アルフレッド・S. ポザマンティエ │ 数学教育研究者、教育評論家。ニューヨーク市立大学シティカレッジ名誉教授。数学関連の啓蒙書を60冊以上手掛けている。2009年にはニューヨーク州の「数学教育者の殿堂」に入り、数学教育の第一人者として州内の重要なポストを歴任。欧州各国での表彰も多数。邦訳された共著に、『偏愛的数学(I、II)』(岩波書店)、『不思議な数πの伝記』『不思議な数列フィボナッチの秘密』(以上、日経BP)、『数学センスが身につく本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『数学まちがい大全集』(化学同人)、『数学の問題をうまくきれいに解く秘訣』(共立出版)がある。
ロベルト・ゲレトシュレーガー │ オーストリアの高校数学教師、大学非常勤講師。オーストリアの国際数学オリンピックチームのコーチも務める。邦訳された著書に『折紙の数学』(森北出版)がある。
【訳者】
松浦俊輔 │ 翻訳家。名古屋学芸大学非常勤講師。訳書に、ポザマンティエ&レーマン『不思議な数πの伝記』『不思議な数列フィボナッチの秘密』(以上、日経BP)ほか多数。
(紀伊国屋書店さんのサイトより)
いざお供つかまつらん円をめぐる冒険へ。恐れることはない。心の大地に立て。大きなものは面積が変わる。平行線だって交わるかもしれない。さあ心を飛ばせ。コタツの中へ旅に出よう!』
最近の新刊、『円をめぐる冒険』が手に入ったのでゆっくり読むことにする。ちょっとコレ、文量はさておき難易度高いぞ!
幾何学は都市計画や建築などと縁が深く宗教や哲学的な学問だ。円を乱すなといって殺された偉大な学者がいてエピソードだけでも面白い分野。教会の力が強い世界を描くならユークリッド幾何学や19世紀に成立した非ユークリッド幾何学についての歴史や通勤や道路についての歴史を調べるのは大変興味深いことで、前にも触れたが幾何学は戦乱の世界に絶対王政による平和をもたらす根拠にもなった。
うん。眠くなりそうだし話を変える。
四角に穴を開けることができるドリルがある。筆者は高卒で工場に勤めたが鉄をボール板で削ることで四角にも丸にも縦にも横にも形を変えることをしっている。つまりドリルがカッターになり凹凸を作る。四角の凹みすらドリルで切り開く。ボール板という道具の素晴らしさを実感した次第だ。つまりだいたいの図形は円でなんとかなる。
最近のロボット掃除機は三角をしているが実際はルーローの三角形という。ボタンが落ちない形を追求して生まれた形らしくこのルーローの三角形は正三角形の各角から他点を結ぶ円を描くことで完成する。なんとこれは同じ幅に挟まれてくるくる動く形の中では最小でほぼ正方形を描くことができる。まじか! まじだ。そういうドリルは実在する。またこれを応用すれば回転運動を上下運動にできる。マツダが誇るロータリーエンジンである。かくも円や図形の証明は我々の実生活を支配している。
円を描くことで直線を表現できるし、その性質を知れば球状の星の上で面積体積もわかる。この場合の直線とは円の軌道に他ならない。
本書はかような円の性質を解説しつつ、我々の歴史や実生活における円の話題を網羅する。大学生の団体活動も業界も市場もサークルという。かくも円は我々の精神にすら作用している。
アリストテレスのパラドックスという問題がある。左右直径の異なる車輪を地面と平行になるよう階段状の道路を設置し、車輪を一周させると同じ距離を進む。仮に車輪1が直径2で車輪2が直径1でも等しい距離を進む。つまり小さいほうの車輪2の円周は1と同じく2πである。な訳ねーだろー!?
かくも円は我々を幻惑しかつての宗教画では円が光輪として描かれていたが透視図法により天使の輪が出現した。見かけの円と実態の違いはあれど円の本質は変わらない。その特性を解くことは測量建築宗教趣味と幅を広げていく。難問を解くことで虫歯を克服した偉人もいる。構造の上で円は頑丈にできているのであちこちで目にするし子供のおもちゃにも円を用いて複雑な模様を描く器具があるし、円をたくさん一つの図形に詰め込む理論は折り紙に応用できる。円が縁になり縁が園を彩り園が演じる冒険にあなたも旅立ちませんか。きっとお題(代)は無料です。おやそのコインも円形ですね。ご存知ですか実はと延々とうんちくを語りたくなるのは、きっと人間の営みと円には強い力が働いているのだ。
余談だが『シカクだいおうとハナクソ・マルメル』という絵本ではすべてを四角くしてしまうシカクだいおうが世界規模でもたらす大混乱となんでもかんでも丸くしてしまうマルメルの戦いが描かれている。
『もし円周率が3.14に近似でなかったら』
それは四角形(?)になる。
そういった仮定や実際に起きるもめ事を楽しく語るために哲学や数学は存在する。
数字が好きな人も苦手な人も。証明に頭を悩ませる人もそうでない人もこの機会にじっくり取り組んでほしい。
昔の学習塾のキャッチコピーにこうある。
『四角い頭を丸くする』
かくもマルは図形に限らず、我々のイメージや文化に寄り添っている。
そのマルをしることはきっと明日もハナマルキ。




