悪役令嬢には、ばあやがついている。【短編】
作品タイトル:悪役令嬢には、ばあやがついている。
作者:江葉さん
【解説】
悪役令嬢はどのように育っただろうか。多くは王家に嫁ぐべく妃として厳しく育てられる。魔法が使えるものもいるし武術に長けているものもいる。なにより社交で必要な技能は全て習得するだろう。さらに一般教養や諸国の知識、そして外国語に政治など王を補佐するスキルも習得するはずだ。
では、彼女に嫉妬に屈さない愛情を与える教育はどうなるか。
憎しみや嫉妬、忘恩は雑草のように自然に生える人間の本質だ。
愛と感謝は薔薇の花だ。
愛を育むならば嵐に耐え、根腐りしないよう適度な量の肥料をやり。根気よく皆で理解し育まねばならない。
感謝の心と愛を与えても見返りがあるとは限らないが、善行を成したということは薔薇の香りのように手元に残る。
もっとも忘恩の輩はその香りには気付くことなどない。そういう時は彼らに薔薇には棘があることを思い知らせるべきであろう。
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キミはきっとついている
投稿日:2020年10月27日 19時34分 編集
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嫉妬に狂い道を踏み外しそうなとき。心に蘇る鞭の音。
『ビシッ! ビシッ!』
思えば厳しくも愛情豊かに育ててくれたばあやのおかげで淑女たる自分があるのだ。
暖かい言葉。触れるしわだらけの掌。暖かい背中。暖炉のそばで聞いた昔話。甘い甘い恋のように素敵なお菓子の味。
ばあや。ばあや。私は大丈夫だよ。
だから私はあのひとたち無視できます。希望の光に向けて旅立てます。
世の中は因果応報。きっと、悪を企む輩には裁きの鞭が飛ぶでしょう。
これは母性によって悪役になれなかった令嬢と、つまらない悪事をただして導いてくれたばあやの紡ぐ思い出の物語。
暖炉に火を点したら、毛糸を編みながら幼きあなたたちにも語りましょう。
作品タイトル:悪役令嬢には、ばあやがついている。
作者:江葉
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