アップルバイト楽団世紀末公演【完結】
作品タイトル:アップルバイト楽団世紀末公演
作者:icecrepe / 氷桃甘雪さん
私事だが筆者はある日不穏な報告を知人より受けた。
『カラスノ君。君を排斥する運動を皆が仕掛けるつもりだぞ』
穏やかじゃない。
聞けば普段から寝ぼけているので『あいつは仕事を舐めている』となったらしい。筆者が寝ているのは戦闘中でも変わらない(※『無笑』「もげろ剣!編」現在削除Kindle化)。そもそも五感がどこに飛んでいるのか自分でも保証しかねる所がある。例えば時間と乗り場と行き先を確認の上で電車に乗っても全然違う場所に電車が向かっている。感知する五感と実態が異なるのだ。なのでそのような非難は受けて当然である。最近はだいぶ訓練で克服したが一般とは異なる知覚を有していないと言い切れないので寝ていると言われれば否定する余地がない。筆者と他人の知覚する世の中は異なる。
かくも人間は見たいものだけを五感を歪ませても見る。いや筆者だけかもしれぬがそれゆえ筆者はこの世界に適応するために事前に電車の表示を見たり色々工夫して何とか普通っぽい生活を過ごすようにしている。
『あの人は腰は低いがいつも寝ているという噂が立っているのだ』
……ん? 寝ながらSに反撃する筆者もさすがに寝ながら行う礼儀作法を習得していない。つまり、その『噂』を広めている人間は目の前にいる人ということになる。
その噂になる該当現場では筆者は寝ていない。なぜならば。
『数学の公式を書いて睡魔を追い払っている』
つまり、かの現場で鴉野を非難する言動があるならば『なんか変なものをいつも書いている』になる筈である。
語るに落ちた話だが、筆者は普段、愚か者もしくは馬鹿正直で通っているのであえて指摘はしない。
ヒトは生まれた世界で持ったもので勝負するしかない。
だから持っているものに異常に執着し、あるいは過大評価する。
例えば自分をかしこいと思っていればそれを表に出さずにはいられない。
思想や宗教なんて本来人間社会を大きくするための拡張機能に過ぎない。
にしちゃニンゲンそれで死にすぎ殺しすぎだ。
もっとシンプルに。あるものに耳を傾けたい。不利であってもそれを大事にすべきだ。たとえ人殺しであっても、あるいはお人よしが過ぎて損ばかりの人生であっても、人を貶めようとして墓穴を掘る人生であっても。
無音を表現する『音楽』、『4分33秒』の意義は人が生きているなら、鼓動をとめることはできない。沈黙の中に命の歌があることを人に知らせることである。
悪も善も我はただ見つつ愛する。それでいい。それだって思想なのだが。
善がなくば人の社会で生きられない。美貌がなくば過ごしにくい。権力がなくば出し抜かれ金がなくば侮られる。願わくば楽に生きたい。それでいい。敵対してくるならば気づかれないようそっと下駄を外すが。
善とか悪とか普通とか裏切りとかに飽きたら、この物語を読んでほしい。
そういったものに飽き飽きしているのに、結局なるようになっていく主人公に癒しを感じるはずだ。おそらく。
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I TACET II TACET III TACE(4分33秒、沈黙せよ。命の歌に心かたむけて)
投稿日:2020年10月24日 16時08分 改稿日:2020年10月24日 16時59分 編集
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壊滅的豪雨で孤立した人工島。
取り残された人々に謎の骸骨が群がる。
肉を取り骨を与えん。溢れる死骸を乗り越えるのは善でも悪でも権力でもなく夢や思想ですらなく、殺意や純粋さでもない。ただ、それらが全てある人間の世を謳歌するにはそれらが残らねばならない。
彼は弱い。
彼は小狡い。
彼は賢くない。
彼は卑劣で甘い。
夢は楽に権力の元。
他人を蹴落とす者、人を守る信念を崩さない者、狂った者、人の生み出す物や思想があってもなくても全てひっくるめてこの世界は正しく美しい。
ただ、細かいことを考える必要がないだけなのだ。
ただし、どこぞの筋肉にーちゃん除く。普通の彼は時々骨があって、それを手放す勇気もあれば問題なく生きられる。
普通に悩むかた。この骨の手紙を読んでください。
作品タイトル:アップルバイト楽団世紀末公演
作者:icecrepe / 氷桃甘雪
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