没落令嬢の幸せ農場〜最愛の人と辺境開拓スローライフ〜【完結】
作品タイトル:没落令嬢の幸せ農場〜最愛の人と辺境開拓スローライフ〜
作者:結子さん
電力化する前、国道がなかった時代。しかし高速馬車の定期便があった時代。自動車を作っても実用化のための道路が無かった時代。産業革命以前の世界。
魔法は消えて迷信となり、最後の幽霊騒動を地元の郷士が収めて幾年か。おのれが生まれる前から悠久の時を刻んでいる川が実は運河と知った子供は何を思うか。そんな時代の節目。そこは戦乱の時代でした。
『通勤の社会史』という本がある。出鱈目にのびていた道が戦乱で整備されることになりあるいは旅がただの移動手段になっていき、馬の糞害を受けて都市部が汚染されて郊外が発展し、通勤というスタイルが確立していく様子を描いた本だがこの物語でもそういった時代の雰囲気を感じることができる。外伝で赤い百合が登場するが、奇しくもアナトール・フランスの同名小説『赤い百合』にて19世紀フランスの社交界が描かれている(今でいうダベリング漫画系らしいが)偶然にも着目したい。
最愛の妹を金持ちのエロ爺に嫁がせた男が『神は財産を持たない』と嘯くのは映画『娼婦ベロニカ』で、愛する人に抱かれるため、教養や剣術を誰にも遠慮せず得る立場である娼婦になる女性の物語であるが、本作の主人公は娼婦になるわけでも神様からもらったチートがあるわけでもない。
『時代を変える』
商人だった父が遺した花の種は食べられる以外とりえのない綺麗な花のタネの詰め合わせ。
戦乱のヒャッハーどもから辛くも脱出した彼女は結ばれることがないと思っていた庭師の青年の庇護を受けてその花を育てることになる。花が咲くたびに、人の笑顔が増え、不幸な女性が救われ、頑固な青年が心を入れ替え、やがて国をも変えていく。
完結ブーストで1000から2万超えを達成するnarouドリームを見事に叶え、外伝も先日完結。読むなら今。
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戦乱の世界を変えると父が遺した種は食べられるだけの花の種でした
投稿日:2020年09月05日 20時18分 編集
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商人だった父母共に屋敷に火を放たれ自分の身が穢される。
戦乱と下克上の世界。悲劇に包まれる令嬢を馬に跨り助けに来た青年は、彼女が微かに憧れつつも結ばれないと想っていた庭師だった。
産業革命期前くらいの世界。
女性は栄達も運命も夫次第子作りは義務の世界。
愛馬に跨り駆けていけ。たとえそれが父母から奪った戦利品をヒャッハーしている村でも。
花を育てましょう。世界を変えると父が遺した種は食べられるだけのつまらないもの。
だからこそ目を潤ませ歓喜の声上げ美味を礼賛し幸せの香りを全身で、皆で感じ取れる。
身分も性別も差別すら。全てが灰塵になる中に花を育てましょう。一人一人が愛の花の種を撒きそれが咲く。
花はただの花であり続ける。
人々は花を育てただけだった。
愛しむ掌に伝わる胎動だけが教えてくれる。
世界は変わったよ。
共にこの野に立ち見届けてください。
作品タイトル:没落令嬢の幸せ農場〜最愛の人と辺境開拓スローライフ〜
作者:結子
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