#シンバッド #漫画
シンバッド
著作者:山本貴嗣
漫画図書館Zにて無料公開中
『シンバッド』は、山本貴嗣による日本の漫画作品。『月刊コミックNORA』(学習研究社(現・学研ホールディングス))にて、1989年3月号から1991年8月号にかけて連載された。全26話+番外編2話。単行本はノーラコミックスから全4巻。
【浪漫が】漫画『シンバッド』(山本貴嗣)【君を優しくする】そして170回目のプロポーズ
2018年03月09日(金) 13:34
今回の商業作品紹介は山本貴嗣作『シンバッド』。漫画図書館Zにて無料で読める。後述するのでそのサイトの解説は省く。
世界中に知られる船乗りシンドバッド。
彼が貧しいシンドバッドという男を呼んで自分の波乱万丈の物語を聞かせるのが原作のあらすじ。
この物語は原作より時代が下った室町時代相当の時期を舞台に少年シンバッドが謎の故郷を求めて大冒険するお話だ。
三白眼に黒い直毛。女好きでけんかっ早くて恨みは絶対忘れないが分け隔てない性質の少年シンバッド。
彼には悩みがあった。美男美女の両親に似ても似つかぬ自分の容貌。ひょっとしたら海の向こうに自分の故郷があるのではないかと。
母は彼に『これがあなたの本名かもしれない』と一枚の紙と謎の刀を渡した。
『謹賀新年』
たぶん違う。
故郷の手がかりを握るのは過去を見せる謎の珠とそれを扱う魔術師の娘たる少女。秘宝の片割れである空間を見せる謎の珠は邪悪な魔法使いの手に。
ひょんなことから彼女を助けたシンバッド。
倭という国が自分の故郷かと船に乗り。
沈んだ。
なろう主人公と違うのだ! なろう主人公とは!
後の世界一の船乗りも少年時代はこんなものだ。
世界は科学(※錬金術)より魔法が幅を利かせ、ルフ(※ロック鳥)が空を舞う時代。錬金術で自動航行する船を造る男ですら世界のほとんどを知らない。ほとんどが未踏の地だと彼は言う。
知らないなら旅立てばいい。
さらわれた魔術師の娘を助けるため幼馴染の美少女と旅立つ少年シンバッド。
幼馴染は告げる。ひとりじゃないと。家族の愛を受けて育ったシンバッド。よそ者だった幼馴染によくしてくれた彼を支える少女。たとえこの世に血縁者がいなくても彼は恵まれている。彼を必要とする人が家で待っているのだから。
邪悪な魔術師は過去と空間を観る力で世界を制するつもりであるが、魔術的素養があると結界に近づくのが困難になりもう片方の秘宝を手に入れるのが困難になる。
そのため魔術師の娘たる彼女は必要とされていた。
嫌な奴に必要とされるのはあまりうれしくない。
敵も味方も人間は自分の欲望に忠実かついいかげんでお前そんな悪い事していいのかっていうのにハッピーエンドなのが原典の世界なのだがそんなもの。
あと集団相手には刀より櫂を武器にするの、かなり正解。武術がめっちゃ中国武術の技。当時の世界はもっと国際的だった。当然キャラも国際的。
魔法で戦うこともできるけど科学(錬金術)で戦うご隠居さん結構ステキ。
序盤から片手猫騙しと同時に足で膝を止めてその足で腹に蹴りとかナイスコンボを決めるシンバッド。剣の振り回しのキメポーズがしっかりしていてかなり好き。剣を持った手でパンチも決める。山本先生はご自身も武術も修めているけど、プロの漫画家ってすごい観察力だ。
(山本先生の名前でピンとこない方はいないと思うけど『メタルマックス』でわかるかも)
敵は当然いる。味方も当然できる。
だけど皆いとおしい。
世に悪事は尽きないが悪役はいない。
欲望に忠実だから呪いにかかった主人を殺そうとする。優しさを覚えているから彼を助けようとする。
邪悪にそまったからさらった妻たちを助ける。何もないから何かを求めて旅立つ。浪漫が君を優しくする。
君は、君達は一人じゃない。




