#快傑ズバット #特撮
noteより転載。2019/02/14初稿
https://note.mu/karasuno4989/n/n9166a171fac2
快傑ズバット
ジャンル特撮ドラマ
原作石森章太郎
企画平山亨
脚本長坂秀佳、滝沢真里、田口成光
監督田中秀夫、奥中惇夫、小西通雄、広田茂穂
出演者宮内洋
大城信子
中野宣之
斉藤真
はやみ竜次
ナレーター青森伸
オープニング水木一郎「地獄のズバット」
エンディング水木一郎「男はひとり道をゆく」
製作
プロデューサー小野耕人(東映テレビ事業部)
近藤伯雄(東京12チャンネル)
制作東映、東京12チャンネル
放送
音声形式モノラル放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1977年2月2日 - 9月28日
放送時間水曜 19:30 - 20:00
放送分30分
回数32
(wikipediaより)
ズバット参上!
筆者は最近、AmazonPrimeにて快傑ズバットを視聴している。
『悪党とは言え親友殺しの冤罪をかけて生身の人間を強化スーツでボコるヒーロー』
と、ネタ枠にされるのは悪意ある風説の流布だよなと素直な感想。
毎回登場する『日本一、世界一』の用心棒たちとそれを率いる悪党どもはネタみたいなやつらだが仮面ライダーの怪人くらい殺しそうな超人芸の持ち主である。漫画『仮面ライダーspirits』の10分隊並みには強そうだしそもそも彼らと違い物理法則を無視する能力を披露する。そういえば漫画『ミスター味っ子』のアニメ版や漫画『中華一番!』もこの系統だな。あいつら客観的にみて料理人じゃないし。
だいたいのあらすじ
お人好しで正義感が強い山登りが好きな学者飛鳥五郎はよせばいいのに腕が立つが故にヤクザ者に歯向かい殺されてしまう。ここまではよくある話で遺族の恨みも骨髄である。その一端を担ったと言ってもいい早川健はかのヤクザを壊滅に追い込むが、ヤクザのボスですら飛鳥殺しの犯人ではないという。ならば目の前で殺された親友を看取るとき自分が聞いたあの声の主は誰なのか。早川は一人旅立つ。
早川を追って友人の遺族である妹、事件を追う警察組織の男もまた旅立つ。
飛鳥の遺産は宇宙開発のために作られた高性能スーツの素材および航空力学を無視したエンジンである。それを参照し早川は自分でスーツと乗り物を開発してしまう。
ちなみに早川は探偵であり、学者ではないため開発能力に問題があり、ズバットスーツは五分で爆発する欠点を抱えたままロールアウトする。
これは取敢えずアウトプットしないと何も始まらないという現実的な選択といえる。早川は飛鳥殺しの犯人を追い詰めるのが大切で、別にズバットスーツを完成させる必要もなく、ましてや宇宙に行く必要もない。開発には優先順位を考えるべきだという示唆である(※本当か?!)。
※演者の宮内さん繋がりで、仮面ライダーV3なら相棒のライダーマン結城丈二の代わりに後輩のマーキュリー回路の取り付け程度ならこなせるのだが致し方ない。昭和のライダー達は自分で自分たちの改造やメンテナンスをするしかないらしく、後の敵方であるネオショッカーの科学者からも仮面ライダー二号が『お前ちゃんとメンテナンスできているのか』と煽られている。
ズバットに登場する悪役ども
生身の悪党をスーツでボコる卑怯なヒーローと言われるズバットの悪役はどのような敵か。むしろ『お話に出てくるような』絶対悪だ。目的があって悪事をするのではなく、悪事をするために悪事を行い、人の幸せを破壊することを喜びとする連中である。あれ? これTwitterの俺だ。
ともかく彼らはボコられても何の痛痒も感じないレベルの凶悪な奴らであり、人殺しも辞さない。
お話はこの敵どもの悪事の証拠を早川自身がボコられながら立証し、告訴段階で早川が敵に捕まり、許さんとキレてもどうにもならず女子供関係者及び早川自身がボコられ悪党が高笑いする絶望的状況の中、何故か早川を救いに中身早川のはずなズバットが現れる(※意味わからんが劇中人物的観点だとそうなる)。ことで状況が変わり物語に一応の幕が下りるテンプレートを繰り返す。
『ズバットの正体がわからない』
特撮のヒーローは何故か正体が最終回までバレない。
しかしズバットに限っては状況証拠的にあの状態からズバッカーでやってこれるはずないから親友の妹さんでも見抜けないのは致し方ない。むしろ身内だからこそ別人と考えるのが自然だ。どう考えても唐突に表れて自分の意向を無視して兄の仇を一方的に探し狩りたて、先ほどまで自分に危害を加えていた悪党が兄殺しとは関係ないとわかるや腹いせにボコって消える不審者に見えるだろう。
むしろ東条さんがすごい。友情の察しで有能。
この物語におけるズバットの扱いは警察(※世間)からみれば『謎の暴力行為を繰り返す怪人物』であり、『早川健という男の活躍で露見した悪事を糺す助けをしたが、彼の目的や動機はゲストたちには意味不明なまま去っていくだけ』で、偶然利害が一致したゲストが感謝する相手はあくまで早川健である。
(※『なんか俺らを虐めるこの悪党はよそでも人殺してたのか』くらいの位置づけに過ぎない)
どちらにせよ謎のさすらいのヒーロー(※自称)という不審人物は去り、早川健も先にどこかに行ってしまい、お礼を言うべき相手が誰もいない中、行き場を無くした関係者の感謝の気持ちは『俺も早川さんのような立派な人になります』に昇華される。
ヒーローにもさすらいの探偵にもなれない普通の方でも思い立ったらその日から誰かを小さく助ける大人にはなれるのです。
酷い大人になるな! 小さくてもキミは日本一のなにかになれる!
そもそも自分たちを苦しめていたのは『酷い大人』たちで、彼らに屈し、彼らの意のままに世間様に復讐するために悪事を重ねる連鎖を断ち切れないのが被害者心理なのです。そこに、『ちと強引で気障でアレな探偵』が現れ引っ掻き回し、悪事を追い詰めていくさま、あとはぶん投げて去っていく中でこれからは後始末や何やらを自分たちがしなければならない。何かを為し続けなければ生きていけない。あんなことはできなくても自分たちがこれからやっていかなくてはならないと流れが変わるところが、『快傑ズバット』の示したヒーロー像だと愚考します。
次々登場するギャグみたいな超一流の用心棒たちは戦闘能力だけをみたら間違いなく凄まじく、物理法則すら超越できる超人であり、また毎回繰り返される殺しと絶対関係ないだろソレな特技対決はひょっとしたら視聴者もここまでできなくてもなにかで世界一になれるかもしれない可能性を示しています。
あなたは大人になったとき何かで一芸を立て、それを生業にするだろう。その時に悪事に加担しないでほしい。
というメッセージを感じます。
どのみち劇中では悪党は退治され、日本一や世界一から転落した用心棒は『物理法則すら無視できる力をもち、自称や組織による宣伝や世間様の評価では世界一かもしれないが、この日本という狭い国の中では二番目以下』になる。その一番目になるのは視聴者やゲストの未来の姿なのだ。
世間様では一番じゃないかもしれない。でもあなたはあなたという小さな世界では日本一になれる。少しの親切さとお人よしさ、そしてそれを助ける仲間と勇気があれば。
あなたはヒーローになれないかもしれない。
ヒーローたちですら復讐や悲しみや憎しみの連鎖から逃げられない。
だからこそ普通のあなたができることがある。ヒーローではないあなたが今日誰かに示す親切は、誰かのためになる。
あなたはヒーローではなく、日本一のあなたになる。
この辺が宮内洋さんがズバット打ち切りについて残念に述べたところじゃないかなと思っている。いや、宮内氏に聴けるわけじゃないけどね。
まとめ
取敢えず、筆者も電車内で異性をいやらしい目で見ないよう努力し、AVをお金払って購入して周囲に被害を及ぼさないことから始めます。
筆者が最低人間なのは自覚がある。そして筆者よりは幾分マシであろう皆さん、そしてヒーローになりえない普通の人ができる普通の人だからできる善行って『人を悲しませないよう努力する。今は出来ずとも努力できるよう、察することができるよう学び続ける』ことじゃないかな。
あなたは今は世界では、日本でも二番目以下かもしれない。
でもいつか一番になれたときのため、誰かを悲しませる奴らの手助けをする大人にはならないでください。
ズバットをみて笑ったあとは、ヒーローの真似を絶対せず、普通で優しいあなたのための大人になってください。
筆者は取敢えずAV観てヌイてくるのであなたは筆者を抜きさってステキな大人になりましょう。




