目次 次へ 1/32 プロローグ 『もとの世界に戻りたい?』 実際に隣にいたなら、彼は首を傾げて私の顔を覗き込んでいたに違いない。そう思うほど、優しくて、気遣いのある声が、私の中で木霊(こだま)する。 それは私の中から聞こえてくる声だけれど、私じゃない。 唯一私と同じことがあるとすれば、彼(・)も【独りになりたい】と願ってしまったことだ。 私たちは、お互いにお互いをよく理解していた。 二(・)人(・)し(・)か(・)存(・)在(・)し(・)な(・)い(・)、この世界で。 その片割れが投げかけてきた問いに、私は息を吸い込んで―――。