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極道の義兄ができました  作者: リラックス夢土


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第17話 吾郎丸さんの変装



「凛子も朝食を頼んで早く食べろ」



 天飛さんに言われて私は自分の朝食を注文しなければ食事が出て来ないことを思い出す。



 そうだった。火風光家では何系の料理って言って食事を頼むんだよね。

 いつも私は和食だから和食にしようかな。でも……



 私は天飛さんの前にある洋食系の料理をチラリと見た。

 ここで私が和食を選択したら料理人さんに負担をかける気もする。

 同じ料理ならば料理人さんも手間がかからないだろう。



「すみません。私も天飛さんと同じ洋風朝食でお願いします」


「承知しました、お嬢」



 私の注文を聞いた男性がすぐに私の前に天飛さんと同じ料理を並べてくれる。

 すると天飛さんの嬉しそうな声が聞こえた。



「なんだ、凛子。俺と同じにしたのか。やっぱり俺と同じ方がいいだろ? 暁刀や愛斗に遠慮しないでいつも俺と同じって言っていいんだぜ」



 別に天飛さんと同じがいいというわけじゃなくて料理人さんたちの負担を考えただけですけど。

 昨夜の夕食といいなぜ天飛さんたちは自分と同じ物を私に食べさせようとするのだろうか。



「ええ、まあ、今日は洋風の気分だったんで……」



 これからも天飛さんと同じものを選ぶとは限らない私はそんな言葉で誤魔化す。

 そして朝食を食べ始めると食堂の扉が開いた。


 そこにいたのは愛斗さんと見知らぬ大学生っぽい若い眼鏡をかけた男性。



 この人誰だろう……? でもどこかで見たことあるような……



「お待たせしました、凛子さん。吾郎丸の変装が終わりました」


「お嬢! どうっすか、これ似合ってやすかね?」


「え! ご、吾郎丸さん!……なの……?」



 私は吾郎丸さんの変わりように思わず持っていたフォークを落としてしまった。

 ヤンキーにしか見えなかった吾郎丸さんはどっからどう見ても普通の大学生の兄ちゃんにしか見えない。


 髪型も変えて眼鏡をかけ服装を変えるだけで吾郎丸さんがこんなに化けるとは。

 正直、愛斗さんの吾郎丸さんを変身させた能力に脱帽だ。



「お嬢? どうしやした? 俺、カタギに見えやすかね?」


「え、ええ。喋らなければOKだと思います」



 どれだけ完璧に姿が変わろうと口調だけは直せないようだ。

 しかしそれぐらいは許容範囲だろう。



「ありがとうございます、愛斗さん。ここまで変えるのは大変だったんじゃないですか? 眼鏡まで用意するとか」



 すると愛斗さんは指でクイっと眼鏡を押し上げる。



「いえ、私に不可能はありませんから。私の眼鏡は元々伊達眼鏡なんです。だから吾郎丸に使用しても問題ありません。でも、中身まで一般人に偽装できなかったのは残念ですが。凛子さんの言う通り喋らなければ問題ないでしょう」


「えっ! 俺、喋っちゃダメなんすか! お嬢とお喋りすんの、俺、好きなんすけど」


「あァ?」


「なんですって?」


「ひっ! すいやせん! 若頭! 愛斗さん! お嬢とは必要最低限しかお話しやせん!」



 天飛さんと愛斗さんに睨まれた犬……いや、吾郎丸さんは震えながら二人に必死に謝る。



「吾郎丸。お前はあくまで凛子の弾避けの壁だ。自分の立場を弁えろ」


「そうです。天飛兄さんの言う通り吾郎丸は凛子さんの盾でしかないことを自覚しなさい」


「はい! 分かりやした!」



 天飛さんも愛斗さんも吾郎丸さんを弾避けの壁とか盾とか言わないでせめて生き物扱いしてあげようよ。

 吾郎丸さんが怯えちゃってるじゃん。仕方ない、私だけでも吾郎丸さんを犬……もとい人間として扱ってあげよう。



 そこへ逆嵐さんがやって来た。



「若頭。そろそろお時間です」


「分かった。すぐに行く」



 どうやら天飛さんの出社(?)の時間のようだ。

 パソコンを持って食堂を出て行く時に天飛さんは私の方を振り向き声をかけてくる。



「凛子。シノギ頑張れよ。凛子のシノギの売り上げに期待してるぜ」



 は? 私は天飛さんと違って何かを経営するような仕事じゃないですよ。

 単なる雇われバイトの私に店の売り上げを上げられるわけないじゃないですか。


 それに給料だっていきなり上がるわけないんだからさ。

 私のシノギを期待されても。


 でもとりあえず吾郎丸さんの変装もできたしバイトに出かけられるな。

 さっさと朝食を食べてバイトに行かなきゃ。



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