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極道の義兄ができました  作者: リラックス夢土


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第14話 天飛さんの綺麗な刺青



 なんだかんだあったが無事に三人の義兄たちとの夕食を終えた。

 食事の時の話で分かったことがいくつかある。


 まずこの本家と呼ばれる家には今現在は天飛さんと愛斗さんが暮らしていること。

 天飛さんは他にも住居を持っているらしいが私の義父であり天飛さんたちの父である天昇火風光会の会長が現在新婚旅行中なのでその留守を守るためにその間天飛さんはここに寝泊りするらしい。


 愛斗さんはまだ大学生で自分の住居を持っていないので本家で暮らしている。

 そして暁刀さんは自分の組が所有する住居にいるらしいが本家とさほど離れた場所ではないようだ。

 「リンリンならいつでも大歓迎するから遊びに来てね」と笑顔で言われてしまった。


 そして天飛さんと暁刀さんがするシノギの時間は夜も昼も関係ないのでこうしてみんなで食事を取るのも久しぶりらしい。

 シノギの内容が気になるところではあるがヤクザさんの世界になるべく首を突っ込みたくない私はその点についての質問はしなかった。


 夕食が終わり私は自室へと戻る。



 ああ、なんか疲れた。

 天飛さんたちは悪い人じゃないけどやっぱり緊張しちゃうな。



 世間ではヤクザというだけで悪い人なのかもしれないが天飛さんたちは私に優しくしてくれる。

 ただ少しだけ変わっているけど。


 天飛さんたちが変わっているのかヤクザさんだから私と価値観や考えが違うのかは分からない。

 だってヤクザさんの知り合いなんて今までいなかったし。


 それでも三人の義兄たちとこれからは仲良くしていかなければならない。

 義兄妹の仲が悪かったらお母さんは心配するだろうから。



 自室に戻るといつの間にか布団が敷いてある。



 食事に行ってる間に布団が敷かれてるなんてどっかの旅館みたい。

 朝食を食べたらこの布団は自動で片付けられるのかな。



 火風光家に来たばかりの私にはまだこの家のルールがよく分からない。

 でももしそういうことなら他人がいつでも部屋に入って来てもいいように部屋を散らかすことはやめようと心に誓う。



 貴重品は全部ハンドバックに入れて持ち歩いているからこの部屋に他人が入っても別にいいけどさ。

 掃除とかも全部やってくれるんだろうけど何でもやってもらうクセがつくとひとり暮らしに戻った時に困るかも。



 私にとってはここの暮らしはあくまでお母さんたちが旅行から帰って来るまでの間だけだ。

 天飛さんたちと仲良くするのは一緒に暮らさなくてもできる。



 すると障子の向こうの廊下から吾郎丸さんの声が聞こえた。



「お嬢。お風呂の準備はできているそうです。入りやすか?」



 お風呂か。見学した時は大きな檜風呂だったよね。

 うん。いろいろあって疲れた時はお風呂に入って寝るのが一番だ。



 昼間に天飛さんに拉致されて自分の義父がヤクザの親分だと知りさらに極道の義兄が三人もいると知らされた私の頭は完全にキャパオーバー。

 こんな時は頭をリセットするためにお風呂で温まると効果的だ。



「はい。入ります。でもお風呂の場所は知ってますから吾郎丸さんは案内してくれなくていいですよ。もう、今日は休んでください」


「分かりやした! それじゃあ、本日はこれで失礼しやす! また明日よろしくお願いしやす!」



 吾郎丸さんの足音が部屋の前の廊下から遠ざかるのを確認して私はお風呂に入るために着替えを用意する。

 暁刀さんが用意したというエロ下着の中からなんとか普通に近い下着を選んだ。



 食事の時に話題にならなかったけどこのエロ下着を選んだのは暁刀さんなんだよね。

 本当ならこんなのいらないって言いたいけどみんなの話を聞いてると暁刀さんは怒らせると怖い人みたいだからバイト代出たら自分の下着を買おう。



 バイトの給料日も近いのでその時まではこの下着類で我慢しなければならない。

 小さく溜息を吐きながら私はお風呂場に向かう。


 この家は脱衣所も広くて快適だ。

 衣服を脱ぎ風呂場に入り身体を洗うと私はお湯がたっぷりと張った湯舟に入ってくつろぐ。



 ああ、広いお風呂って何年ぶりだろ。

 アパートはユニットバスだからな。



 広々とした湯舟に浸かると一日の疲れが取れていく。

 私は目を閉じて肩まで湯に浸かり温まった。



 そろそろ出るか。

 あんまり長湯すると湯あたりするかもだし。



 湯舟から出た私は扉を開けて風呂場から脱衣所に出ようとした時に目の前の誰かとぶつかった。



「きゃっ!」


「おっと! なんだ、凛子が先に入ってたのか」



 私がぶつかった相手は天飛さんだった。

 しかも天飛さんは腰にタオルを巻いて大事な部分は隠されていたが全裸。

 私は慌てて自分の持っていたタオルで自分の身体を隠す。



「ななな、なんで、た、天飛さんがここに!?」


「なんでって俺も風呂に入ろうと思っただけだが……」


「わわわ、私が入ってるのに!」


「ああ、気付かなくてすまなかったな。でももう凛子は出るんだろ? それなら俺が入ってもかまわねえだろ?」


「そそそ、そういう、問題じゃ……」



 自分の裸を見られたことと天飛さんの筋肉質な引き締まった身体を見てしまったことで私は羞恥心で顔が真っ赤になってしまう。

 すると天飛さんは余裕の態度で私の頭を優しく撫でた。



「もしかして恥ずかしいのか? 凛子。別に義兄妹なんだから裸を見ても平気だろ」



 天飛さんは私を子供だとでも思っているのだろうか。

 確かに天飛さんから見ればかなり年下かもしれないが私は大人だ。


 しかも義兄妹だから血の繋がりなんてない。

 自分の裸を男性に見られたら恥ずかしいに決まってるのに。



 私が動けずに固まっていると天飛さんは私の耳元で甘い声で囁く。



「それとも俺の義妹は義兄の背中を洗ってくれたりするのか?」


「し、しません!」



 我に返った私は天飛さんの横をすり抜けて脱衣所に出た。

 心臓の鼓動が激しい音を立てる。



「ククク、それは残念だ。まあ、凛子に手を出すのはまだ早いしな。じゃあ、湯冷めしないように凛子は早く服を着ろよ」



 面白そうに笑いながら天飛さんは風呂場へと入り扉を閉めた。

 閉める瞬間に見えた天飛さんの背中には大きな鳥のような刺青が描かれていた。



 うわ! すごい綺麗な刺青。



 ヤクザさんの刺青を初めて見て怖いはずなのになぜか私の胸には恐怖とは違う高鳴りがする。



 変だな。刺青見てドキドキするなんて。怖いとも違うし。この気持ちはいったいなんだろう。

 でもあの鳥の刺青って天飛さんにピッタリの迫力ある綺麗な刺青だったよね。

 いったい何の鳥かな……



 そこまで考えて私はハッとする。



 今はそんなことを考えてる場合じゃない。

 早くパジャマ着て部屋に戻らないと。



 大急ぎでパジャマを着て部屋に戻った私だったがその晩は天飛さんの甘い声と背中の美しい鳥の刺青が頭にチラついてなかなか眠れなかった。




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