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外伝というかボツストーリー的なもの 後編

「はぁ……はぁ……うっ……オェッ! ゲホッ! ゲホッ!」


——俺はとてつもない吐き気に襲われ、血反吐とともに地面に嘔吐した。

頭からドロッと流れる血が俺の視界を、世界を真っ赤に染めていく。

周りに倒れた三人の男子生徒はピクリとも動かず、生きているのかも分からない。


「……だから、暴力は嫌いなんだ……」



あの根性焼きwith土下座の日、男子生徒はこう言っていた。


"真理は俺が幸せにしなきゃ"と。


……きっと彼は真理さんという女の子に何かするつもりだ、と足りない頭でそう考えた俺は迷わず先生にチクることにした。(チクったらタダじゃおかないとかなんとか言われた気がするが、気にしない。※ちなみにチクるとみんなから嫌われるので気を付けよう)


しかし先生は俺の話をマトモに取り合わず、それどころか『そんな酷い事をウチの生徒がするわけないだろう! お前は頭がおかしいんじゃないか!』と怒鳴られる始末。


えぇ……ちょっと理不尽すぎんよ~……。


その日は傷心で家路につき、もう警察に連絡しようかな~なんて考え始めた次の日、俺は自分の下駄箱に手紙が入っているのを見つけた。


『約束をやぶったな 体育館倉庫に来い』


手紙にはそれだけが書かれており、それを見た瞬間、俺はなんだか物凄く嫌な予感がした。


急いで体育館倉庫に向かい扉を開ける。


果たしてそこにはあの男子三人組がいた。


『お、来た来た……見ろよこの顔、スゲェ幸せそうだろ? ハハハッ』

『……』


これは一体どうしたことだろう。

彼の足元には裸の女の子が虚ろな瞳で倒れている。

凄く気分が悪い。

吐きそうだ。


『……なんで……』


……なんでだ。

その子は幼馴染なんだろう?

どうしてそんな事が出来るんだよ。

教えてくれ、教えてくれよ。


『これで真理は俺のものだ! お前には絶対渡さねぇ! アハハハッ!! アハハハハハハッ!!』


——そこで、俺の記憶は途切れた。






……俺は暴力が嫌いだ。

人に振るうのも、振るわれるのも。

どっちも凄く"痛い"から。







「ひゅう……ひゅう……あー、キッツ……マジ死にそう……」


体育館倉庫の床で、俺はヒュー、ヒューと掠れた息をしながら、なんとか立ち上がろうと手を床につく。

だが、完全に骨が折れているのか両腕に力が全く入らず、体を起こす事が出来ない。

この感じだと足もイッてるかもしれませんね……。


「クソ……武器、使うとか反則だろうよ……ひゅう……」


悪態をつきながら雁木さんのほうを見る。

虚ろな瞳をした茶髪で、ちょっと今時のギャルっぽい彼女は、俺と目が合っているようで合っていない。


「……ごめん、な」


分かっている。

こんな言葉は、自分を無理矢理落ち着かせようとする戯れ言に過ぎない。

だが、そう言わずにはいられなかった。


「……肌、隠してあげなきゃな……」


体全体をズリズリ引きずるようにして、雁木さんの傍に近寄る。


そこまでした時、彼女はようやく俺のほうを見た。

そして小さく口を開き、こう言ったのだ。


「……あれ? おにいさんだぁれ?」

「……」


——俺は彼女をよく知らない。

今まで彼女と喋ったことはない。

だから、何故彼女が俺に告白しようとしたのかも分からない。

それでも、それでもこれはあまりに——。


「わわっ、いきなり何するのー」


俺は、腕がこれ以上壊れてしまう事にも構わず無理矢理起き上がると、彼女を優しく抱き締めた。


「……おにいさんどうして泣いてるの? かなしいことでもあった?」

「どうしてだろう……おかしいね……俺もよく、分かんないや……」

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― 新着の感想 ―
[一言] 学校の治安悪すぎ問題
[良い点] 色々スゴイ作品でしたが面白かったです(≧∇≦)b
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