最終話
俺の父親はいわゆるクズというやつで、毎日夜遅くに泥酔して帰ってきては母親に暴力を振るうような男だった。
『オラ、酒持ってこい! このノロマ!』
『痛いっ! やめて!』
そしてそんなある日、父親は姿を消した。
多分、女と逃げたんだと思う。
それからだ。
母さんがおかしくなってしまったのは。
『アカネはどこにもいかないでね?』
『ずっとお母さんの傍にいてね?』
毎日そんな事を言われながら暴力を振るわれた。
それでも、俺は壊れた母さんを抱き締め続けた。
『ねぇ、お母さん今から死ぬから見てて。それでね、死んだお母さんを見ながらアカネも死ぬの……アハッ……最期の瞬間まで私達ずっと一緒よ』
だけど母さんは取り返しのつかないくらい壊れてしまっていた。
小さかった俺の体をロープで縛りつけ、目の前で首を吊った。
——でも俺は今も生きている。
生きてしまった。
◇
「何故……何故勝てないのでしょうか……」
「……」ふんすっ
「青山さんも勝てないのか……」
……まさか、青山さんが休日に家に来るとは思わなかった。
なんでも休日のご飯も作らせて欲しいとのこと。
その時に琴音ちゃんと青山さんが、一瞬スゲェ目で見つめあったのが印象的だった。
あれが修羅場か(適当)
そんで何故、琴音ちゃんと青山さんがゲームで対戦をしているのか、であるが琴音ちゃんと俺が二人でゲームをしていたところ、青山さんが「あの……私もゲームで勝てばそこに座れるんでしょうか……?」と俺の膝を指で指した事が原因だ。
「絶対に譲ってもらいますからね……このメスガキ(小声)」
「……!」"おにいちゃんはわたさないもん、シャー!"
……まぁ、楽しそうでなにより。
でも勝手に人の膝を商品にしないでくれませんかね……(困惑)
"オカアサンガシヌトコチャントミテテ"
二人を見つめながら、俺はなんだか暖かい気持ちになる。
——確かに、俺の人生はクソかもしれない。
でも、過去っていうものはどこかで折り合いをつけなきゃいけなくて、どこまでいっても過去は過去だ。
いつしか傷はふさがり、古傷となり、ただの痕になっていく。
大事なのは今この瞬間、彼女達がこうして笑っていること。
それだけで俺の人生も捨てたもんじゃないな、とそう思えるのだ。
"ズットミテテ"
母さん、見てるか?
俺は今、凄く幸せだよ
だからまだそっちにはいけそうにない
俺は視界の隅に映る、首を吊ってユラユラ揺れる女性にそう伝え
「二人だけでズルい~! 俺も混ぜて~!」
彼女達の輪に加わるのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
賛否あると思いますがストーリーはこれで終了です。
闇が深くて心も体もボロボロな主人公とヤンデレの物語が書きたいな、と思いこんなストーリーになりました(ちなみに当初主人公はラストで死ぬ予定でしたが流石に可哀想すぎるな、と思い生存ルートに致しました)
なので、意味わかんねぇ! 胸糞悪い! スッキリさせろや! というお声も『Exactly! その通りでございます!』と思っております。申し訳ございません。
この後外伝みたいなボツストーリーみたいなものを投稿いたしますので良ければ見てやってください。




