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VR世界は問題だらけ  作者: たてみん
最終章:世界は問題だらけ
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第四十八問「作戦会議」

よろしくお願いします。

攻略まで進まなかった。

ここに至って、使える伝手は出し惜しみなしで使っていこう。

ということで、師匠たちに来てもらったり、ホノカやミーナの元所属クランにも連絡を取ってもらう。

地元民の人達にはこの前哨戦が行われている間に、避難や連絡など防衛の準備を進めてもらう。


「テンドウくん。クラン『聖火』には話がついたわ。今回の魔王討伐まで協力してくれるって」

「お兄さん。クラン『天の川』は全員死力を尽くして頂けるそうです」

って、ミーナはいったいどういう交渉をしたのか聞いてみると、

「『天川先生の直筆サイン色紙』をプレゼントするって言ったらこうなりました。すみません、お兄さんに無断でそんなことを言ってしまって」

何でも、クラン『天の川』って天川先生のファンが集まって出来たクランらしい。いやまあ、サインくらいなら書くけどね。

ちなみにこの2つのクランの樹聖持ちプレイヤーは先の要塞戦には参加しなかったらしい。というのも、事前の僕達経由で樹聖を連れて行くと損をする可能性が高いって伝えていたんだ。元々は盗賊行為をしていた奴らを引き寄せる罠だったわけだしね。そうして要塞に着く手前で合流することになった。


「久しぶりね、ホノカ。元気してた?」

そう声を掛けてきたのは『聖火』のマスターのホーリーさんだ。身長170センチくらいの体育会系お姉さんだ。

「ねえ、ホノカ。あれが例の彼よね。どこまで進んだのか後で教えなさいよね」

そう言いながらホノカを肘で突いている。続いて、

「ミーナちゃーーーーん!!」

って声と共にミーナが別のお姉さんに抱きしめられてる。多分『天の川』のマスターのスズカゼさんだ。可愛いものが大好きなんだろうなって言うのが服装や言動からよく分かる。

「もう、急にクランを抜けるって言われた時はショックだったけど、この人が話してたお兄さん?……もっと超絶イケメンなのかと思ってたのに、大した事無いわね。って、ちょ、まって。凍ってる凍ってる!ミーナ落ち着いて。失言だったのは謝るから~」

うん、流石にクランを率いているだけあって、どっちも明るくて人付き合いの良さそうな人達だ。若干凍りかかってるのは見なかったことにするけど。


「えっと、久々の再会で盛り上がってるところ悪いのですが、話をさせてもらっても良いですか?」

そういうと、ようやく2人は落ち着いて僕にも挨拶をしてくれた。

「と、これからの話をする前に、呼んでいない方にはお帰り願いましょうか」

そう言いながら僕は魔弾を10発ほど作り上げて誰も居ない草原に打ち込む。すると、


「うわっ」「うぎゃー!!」

という叫び声と共に2人の人影が現れ死に戻っていく。


「テンドウさん、よく気付きましたね」

「私全然気付きませんでした。それに今の魔弾もかなり強力でしたよね。これならミーナちゃんが信頼を寄せるのも無理ないのかもね」

そう言うホーリーさんとスズカゼさんの僕を見る目が、さっきより好意的になった気がする。

「じゃあ改めまして。今回の対魔王軍前哨戦の話をしましょう」

そう言って極々簡単な地図を取り出す。まあ地図と言っても☆が3つ並んで書かれているだけだ。

「今回攻略すべき要塞は3つ。先日の要塞戦で1級要塞だったものがそのまま使われているようです。中央の要塞は魔王軍直属の部隊が駐留しているようです。左右2つの要塞は、要塞戦で活躍して魔王軍に取り立てられた人達と魔物の混成部隊になっているみたいです」

噂では光の軍勢の主城を落とすのに貢献した20人が幹部候補としてヘッドハンティングを受けたらしい。隠密行動が得意って言ってたし、さっき隠れていた人もその内の2人だろう。

「そこでまずは、この3つの要塞を1つずつ順番に落としていくか、部隊を3つに分けて一気に落とすか、ですが、何か意見はありますか?」

一度話を切って見回すと、ホーリーさんが手を上げて発言する。

「3つ一気に行ってしまって良いと思うわ。先の要塞戦の話も聞いたけど、うちとさらに同盟クランも参加してくれてるから、戦力的には申し分ないと思うわ」

それを受けてスズカゼさんも発言してくれる。

「そうねぇ。わたしのところも多分大丈夫だと思うわ。もし無理そうだったら一度退いて体勢を立て直せば良いだけだしね。ただ問題なのはさっきの隠れていたあれよね。多分よっぽど警戒していないと、見付けられないから、突然背中をグサッとされそうだわ」

その意見にはみんな同意する。確かに僕みたいに普段から広域探知に慣れていないと厳しいかもしれない。ましてや大人数クランの場合、中に紛れ込まれると見つけ出すのは不可能に近い。

と、そこで念話が届く。


『テンドウ殿。その件、我々に任せていただきたい』


これは、カゲロウからだね。確かにカゲロウとその眷属は隠密技能に精通しているはずだ。なら、プレイヤーが隠れている所を見つけるのもお手の物だろう。ちなみに、カゲロウをはじめ、師匠やアシダカさんには姿を消してもらっている。さすがに一緒に居るとびっくりされるだろうしね。


『じゃあ、頼むね。ありがとう』

「僕の知り合いに対隠密のエキスパートが居るから、彼らに対応をお願いしてみます。ただ、隠れている相手の敵味方の判別って出来ないと思うから、仲間内で隠密行動をしないように通達をお願いします。他には何かありますか?」

今度はスズカゼさんがミーナを気にしながら手を上げる。

「部隊を3つに分けるっていうのは、私のところとホーリーのところと、あなた方の3つよね。怒らないで欲しいんだけど、あなた方って、たった4人と樹聖2体だけよね。それで要塞1つを落とせるのかしら」

まあ確かに。僕達以外は300人以上を動員してやろうとしているところを、たった4人でやるって言われたら、正気を疑われても仕方が無い。

「もちろん、正攻法で攻略しようと思ったら厳しいと思います。けど今回は跡形も無く破壊すれば勝ちなので何とかなります。その戦い方についても、皆さんの攻略の参考になると思いますので、説明しますね」


そうしてその攻略法を伝えると、みんな微妙な顔をしつつ、納得はしてくれた。

「じゃあそういうことで。作戦開始は30分後にしましょう」

「ええ、お互い勝利をこの手に」

「終わったら皆で打ち上げしようね。あとサインね」

そう言って各々、自分のクランに戻っていく。


「さて、僕らも準備していこうか。と、その前に。サラにお願いがあるんだ」

「なにかな、お兄ちゃん」

話し合いの最中、僕の後ろで成り行きを見守っていたサラが、ようやく自分の出番かとうきうきしている。

「期待しているところ悪いんだけど、今回の作戦には参加せずに探し物をして欲しい」

「そっか、私の力は要らなかったんだね・・・・・・。って、うそうそ。もう、そんな申し訳なさそうな顔しないで。その探し物も重要なんでしょ?で、何を探せばいいのかな」

「ダスターを、魔王の居場所をさ、探して欲しいんだ。僕の予想が正しければ、あいつのところに膨大な世界樹の力が集まっているはずなんだ」

「なるほどね。任せて♪お兄ちゃん達が要塞を攻略し終えるころには見つけ出してみせるわ」

ウィンク一つして飛び出していくサラ。本当は一緒に戦いたそうにしてたから、今度なにかで埋め合わせしてあげないと。


そうして、最後の確認を皆でしてから、僕達は要塞の攻略を開始した。

カゲロウの眷属は隠密と奇襲のエキスパート集団です。

ホーリーさんは女の子にモテる女性、スズカゼさんは可愛いものに目が無い女性です。


次回こそ要塞攻略。

どのパターンで攻略するかが最大の問題です。


そして!!

こっそり次作品書き始めました。まだ内容全然考えてないので毎日連載までは時間かかるかもですが、

良かったらブックマーク付けておいてください!

https://book1.adouzi.eu.org/n8388ez/

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