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VR世界は問題だらけ  作者: たてみん
第4章:野盗と戦争
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第四十六問「番外編:夢の跡」

よろしくお願いします。

今回もまた「別作品か!!」と言いたくなるくらい作風が変わっています。

---- side ?? ----


天道たちが海を満喫している頃。AOFでは要塞戦が始まっていた。


今回の要塞戦は「光の軍勢」と「闇の軍勢」というように2グループに分かれて開催されている。

グループの分け方は、本人の希望をある程度考慮した上で、パワーバランス、カルマ値などを元に実施したと発表されている。

要塞の配置は、ほぼ左右対称で、戦場の両端に主城となる1等要塞が1つ。そこから中央と左右の3方向に2等要塞が1つずつ計3つ。戦場の中心位置に1等要塞が1つ。さらに小規模な3等要塞が各地に点在している。

また主城以外の各要塞には、魔物が要塞規模に合わせた強さで配置されている。要塞を攻略するには、魔物に対応しながら核となる魔柱に魔力を送る必要がある。魔柱の数も3等なら1つ、2等なら3つ、1等なら5つ存在する。


運営側の目論見としては、まずはそれぞれ2等要塞を攻略した後、中央の1等要塞をどちらが先に攻略するかを巡っての攻防が行われるのではないかと考えていた。その目論見は前半は当たり、後半は外れることになる。

各陣営の動きはこうだ。

光の軍勢は、まず大きく4つの班に参加者を分けることから始めた。1つは主城を守る部隊。残りの3つは各2等要塞を攻略する部隊だ。班分けは大分揉めたが、主力クランが中心となることで何とか纏まることに成功。2等要塞を攻略後は、樹聖を持つプレイヤーを中心に防衛に回り、それ以外のプレイヤーが斥候および遊撃として主に動くようになる。

闇の軍勢は、良くも悪くも個人プレイヤーが多かった。その為、特に指揮系統も決めずに速攻戦を展開。主城に近い3等要塞を攻める者、2等要塞に行く者、中には中央の1等要塞に突撃を掛ける者も居た。また、樹聖を持つプレイヤーもそうでない者も関係なく攻勢に出ているところも特徴といえる。

班分けに時間が掛かり初動が遅れた光の軍勢と、戦力を分散させた為に2等要塞の攻略に梃子摺った闇の軍勢は、奇しくも同じタイミングで2等要塞の攻略を終えた。ここまでが初日から2日目までの第一フェーズと言ったところだろう。


そして要塞戦3日目。とうとう本格的に両軍が激突することになる。

統制の取れた軍隊としての動きを行おうとする光の軍勢と、樹聖を多く擁し個の力で強引に粉砕しようとする闇の軍勢の争いは、闇の軍勢に軍配が上がる。それというのも、クランごとに纏まっているとは言え、元を正せば個人。碌に訓練を行っていない軍隊は軍隊としての力を発揮することが出来ず、突撃を繰り返す闇の軍勢に翻弄されることになる。

戦況不利と見た光の軍勢が早めに要塞まで下がったお陰で、1日にして勝敗が決することは無かったが、それでも攻める闇の軍勢、守る光の軍勢の図式が出来上がる。ちなみにその間、中央の1等要塞は闇の軍勢の勢力圏にあるも完全に放置されている。初日に突撃したプレイヤーから、魔物がかなり強力だという情報を得ているからだ。


要塞戦4日目は光の軍勢が守る3つの2等要塞において、激しい攻城戦が展開される。ここで光の軍勢は戦況不利と見て主城の守りの半数を応援に向かわせる。その結果、要塞が攻略されることは無かったが、両軍勢の多くが死亡し主城で復活しまた戦場に戻るのを繰り返すことになった。これにより、双方痛み分けか、攻めている分、闇の軍勢が優勢にも見えた。


だが、要塞戦5日目になると、一転、闇の軍勢が自分達の2等要塞まで撤退を開始。それを追うように光の軍勢が樹聖を伴って前進を開始する。なぜそのような状況になったのか。それは闇の軍勢にほとんど樹聖が居ないことから一目瞭然だ。そう、このイベントにおいて、樹聖はそのプレイヤーとの好感度によって奪取される可能性が変動する。カルマ値が比較的高い闇の軍勢の方が、樹聖を奪取される率が高かった為、その戦力を大幅に下げることになったのだ。これを好機と見た光の軍勢は主城からさらに2/3の戦力を投入。一気に2級要塞全ての奪取を成功させてしまう。


要塞戦6日目。背水の陣となり死に戻り上等の闇の軍勢に対し、勢いに乗ってはいるものの決め手に欠ける光の軍勢は主城前での膠着状態になった。しかして、その膠着を打ち崩したのは、光の軍勢から出た一言だった。曰く「そういえば、中央の要塞残ってたよね~」と。その言葉を受けて、もう勝ちはほぼ確実だと思っている光の軍勢の一部が中央の要塞攻略に乗り出してしまう。各要塞には宝箱が用意されていて、世界樹の卵が手に入る可能性があるというのも、その動きを後押ししたのかもしれない。結果として攻略に向かったプレイヤーの内、9割が死亡するという惨憺たる結果になり、その間に闇の軍勢の反攻が起き3つあるうちの2つの2級要塞が闇の軍勢に下るのだった。


そして最終日。6日目とは逆に1つ残った2級要塞を防衛する光の軍勢と、それを奪って五分に戻したい闇の軍勢の総力戦が行われることになる。どちらも樹聖の姿はほとんど無く、プレイヤー同士で意地と根性をぶつけ合っている状態だ。

残り時間1時間となり、このまま光の軍勢が優勢のまま終わりかと思われたその時。一つのアナウンスが戦場全体に流れる。


【光の軍勢の主城が闇の軍勢により攻略されました。これにより本イベントは闇の軍勢の勝利となります】


「「「「「 えええぇぇ!!!?!?! 」」」」」

最前線にいた誰もが驚きを隠せずに居る中、光の軍勢の主城が崩れ去っていく。


後に掲示板その他で展開された情報だが、闇の軍勢に所属していたトッププレイヤー20名が結託して、イベント初日から隠蔽魔法を常時使って主城攻略の機会を狙っていたとのこと。光の軍勢はおろか闇の軍勢の誰もがそのプレイヤーの存在に気付いていなかった徹底ぶりだ。そして最終日にほとんどのプレイヤーが前線に出たところで一気に全ての魔柱の攻略に乗り出したらしい。


結果として、その20人は戦いに参加していない分、他のプレイヤーよりもポイントは低いものの、それ以上の報酬が送られることになる。




夏休み中ならではの連日イベント。

と言いたい所ですが、仕事されている皆さんはどうするんでしょうね。


頑張った20名に送られる報酬は後ほど。

そして次回。あの人の登場と共に4章が終わります。

と思ったのですが、話の流れを考えると、これにて4章終わりにします。

次回から最終章になります。

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