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VR世界は問題だらけ  作者: たてみん
第1章:始まりの街の人口問題
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第三問「交通渋滞」

1つ1つを短くすることで何とか連日投稿。連載してる作者の皆様に敬意を表します。

そして改めてプロットの大事さを痛感しつつ、思いつきで書き連ねています。

「く、舵が利かない!!!」

孤児院の場所を聞いて移動を開始、したんだけど。うわっ、めちゃめちゃ人が増えてきた。

さっきまでが都会のスクランブル交差点だとすると、今はどこぞのお祭りとか通勤ラッシュとか、そういうレベル。

つまり、目的地に移動するだけで一苦労だし、子供や土地勘の無い人は100%迷子になる。


孤児院の子供たちに協力してもらおうと思ったけど、この人の多さを一時的にでも移さないとだめだな。

さっきの案も1人で一度に面倒見れるのは多くても20~30人がいいところだろうし。50店舗が協力してくれたとしても一度に1000人が良い所だから、焼け石に水だ。


そんなことを考えている間にも人混みに流されて孤児院からは離されてしまってる。……どっちに進んでるのかよく分からないけど、今のうちに考えを纏めておこう。


「ん~、いっそのことここに居る全員が長期間参加するような一大イベントでも立ち上げるか。ってさすがにそれは僕のキャパをオーバーしすぎてるし、どっちかっていうと領主様とかがお触れを出したりするレベルだよね」


「おや、呼んだかね?」

「ん?」


突然声を掛けられたかと思ったら、いつの間にか目の前に恰幅の良いタヌキ親父が立ってた。あ、タヌキの獣人って意味ね。


「おじさんは誰?」

「私の家の前で私の事をしゃべっていながら誰とは失礼な」


あれ、いつの間にか大きな屋敷の前に流れ着いてた。


「ということは、領主様?」

「いかにも」


鷹揚にうなずく姿は確かに包容力もあって(物理的に)、頼りになりそうな人で領主っていうのも分かる気がする。折角だから相談してみるか。ダメで元々だし。


「あの、領主様。いま30分ほどお時間頂くことは可能ですか? この逼迫した街の問題を解決する為に提案させて頂きたい事があります。上手く行けば以前よりも街を豊かに出来ます」


……半分はったりだ。まだどうするか明確に決まってないし。

領主様のつぶらな視線が僕に注がれる。1分?2分?いや、実際には10秒くらいだったのかもしれない。

真剣だった瞳がふっと和らいだ。


「いいでしょう。立ち話もなんです。なかにお入りなさい」


そう言って館の中に入っていく後ろ姿を、冷や汗を拭いながら付いて行った。

通されたのは応接室、かな。すごく落ち着いた調度品で統一されていて持ち主の在りようを示しているようだ。

席に着くとすぐにメイドさん(!?)がお茶を運んできてくれた。さすがファンタジー世界だね。


「では改めて。ようこそカウベの街へ。領主のガボン・ポコだ」

「外来人のテンドウです。このたびは貴重なお時間をありがとうございます」

「うむ。まぁそこまで畏まらんでも良い。早速だが、何か提案があるということだったね」


出されたお茶を一口飲んでから、さっき思いついた事を口にした。


「僕の提案は大きく2つ。1つは街に溢れている外来人を街の外に出すこと。もう1つは出した後の荒れた街を復興させる為の案です」

「ほう、私を近年悩ませ続けてきた外来人の氾濫を何とか出来ると言うのかね。言っては何だが、彼らは自己中心的だ。こちらの命令もお願いも無視されるのがおちだぞ。一体どうするというのかね」

「はい、それは……クエスト、もしくはイベントを開催しましょう」

「イベント、ですか。それで彼らが食いつくと?」

「もちろん、内容にもよりますが、まず間違いなく」


この街の雰囲気からしても、通りの状況からしても、クエスト不足なのは明らかだ。なら皆の興味を引くようなものを掲げれば、きっと動いてくれるはず。その為にはプレイヤー全体、特に先に進んでる人たちも巻き込めるものが良いよね。

領主様はまだ納得しかねる顔で僕を見つめている。


「それで、具体的にどのような事をするのですかな?」

「はい、それは、彼らに彼ら自身で彼ら用の街を創ってもらうんです」

某MMOと違って、人同士は重ならないし通り抜けも出来ません。なのでINする時間が被るゴールデンタイムはまさに通勤ラッシュ!!

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