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ステータス編

早速順路から横道にそれてしまったシラユキ。

はたしてこの先生きのこる事ができるのだろうか!? きのこる先生。

 シアさんがチュートリアル用のデータをダウンロードしたと言うので、色々と言いたい事突っ込みたい事はあるがお任せしてみようと思う。さすがに一ヶ月もチュートリアルに掛かりきりという訳には行かない。

 しかし、それだけ覚える事が多いゲームだとも考えられる。しっかりとシアさん先生のお話を聞かないとね。……眼鏡はしてないけど。


「まずは自身のステータス、能力値の一覧の閲覧、確認方法ですね。これはとても簡単です。実際にステータスを見たいと心の中で思いながら、『ステータス』としっかりと言葉にして出す事で閲覧が可能です。どうぞ、試してみてください」


 なにそれ面白そう、テンションが上がっちゃうわ! よーし、自分のステータスが見たいです!


「すてーたす!」


「キリッ」


「変な効果音付けないで! って、あ、出た出た! 見えたよシアさん!」


 私の目の前に出て来たのは、RPGなどでよく見る能力名が縦にずらーっと羅列されている、これぞステータス画面というその物だった。何も無い空中に青みがかった半透明で表示されている。


 なんという未来的技術! これはますますテンションが上がってしまうね。超強気になってビームサーベル無双してしまう程に。


「はい、可愛らしいです、おめでとうございます。一度でも表示させる事ができれば次回からは念じるだけでオンオフの切り替えができるようですね。その他の機能も必ず一度は言葉に出さなければならない仕様になっています。チュートリアルを受けなければどんな機能があるかなど分かりませんね。これは中々いいシステムなのでは? と思います」


「ふーん。スキルの暴発とかを防ぐためかな? あ、チュートリアルを終わらせた人に教えてもらったりして、プレイヤーさんたちの交流を増やすため、とかもありそう」


「ふふ。姫様も誰かにお教えできる様にしっかりと復習しましょうね」


「はーい!」


 とりあえずステータスのオンオフを何回か練習してみる。……よし、全く問題なしだ。


「問題なく使えているようですね。魔法を詠唱破棄で使う事に慣れている姫様でしたらそれも当たり前の事なのかもしれません」


 あー、確かに。言われてみれば詠唱破棄での魔法の行使に似ている気がする。……うん?


「これってシアさんにも見えるの? という事は他の人にも見られちゃう?」


 それはちょっと、なんとなくだけど恥ずかしいなー。


「いいえ、ステータスを表示させても閲覧が可能なのは本人のみとなっています、ご安心ください。私の場合は少々特別な方法を取っておりまして、それで目視できているという訳ですね。まあ、それも姫様のみ、しかも表示されている間だけと限定された能力でありまして、いつ誰のものでも自由に、とまでは参りません」


「なるほどねー。あんまり無茶しちゃ駄目だよシアさん」


 この人は普通に管理者権限とか持ってそうで怖いよ……。他のプレイヤーさんのデータの書き換えとか平気でやっちゃいそうだ。


 ふう。とりあえずステータスを見られるのはシアさんだけみたいだね。安心したところで次に移ってもらおう。


「では、簡単に各数値を見ていきましょうか。ウィンドウサイズの変更、能力値名の言語の切り替えも可能のようですね。姫様の使いやすい形にして頂いて結構ですよ」


 『力』が『STR』とかに変わるんだね。とりあえず見慣れた後者で固定しておく。窓のサイズは雑誌くらいの大きさ、A4とかそれくらいかな。コレデヨイ。


「なるほど、うん……。これで見ていこうか」


「はい。どれどれ……? ほうほう、これはこれは、ふむふむ。さすがは姫様です」


 え? もしかして私のステータス、結構優秀だったりする?


 私のすぐ左隣で腰を折り、ステータス画面を覗き込んでいるシアさんの右手に抱きつく様にして並んで見る。携帯ゲームの小さな画面を二人でくっ付いて見ながら遊んでるみたいで、何やら嬉し楽しくなってしまう。



名前:シラユキ・リーフエンド

種族:ハイエルフ 年齢:●●歳

職業:プリンセス


能力値

STR:絶望的

VIT:絶望的

AGI:遅い

DEX:不器用

INT:それなり

MND:弱い

MAG:凄い

LUK:いい方

CHM:世界一可愛いよ!



 ふむ……。一通り見てみた、意外に項目は多いんだね。


「ふう……、何これ!! 数値化されてないの!? 絶望的って何!? これって明らかに超上級者向けの初期ステータスだよね!?」


 キャラの初期設定とか無かったから、ここに書いてあるのは私のリアルでのステータスを表した物になる筈。そう考えるとCHMは特に恥ずかしい。


 よし、ログアウトしてシアさんを抱き枕にしてお昼寝しよう。


「ログアウ」


「落ち着いてください姫様。姫様はご自分がまだお子様だという事をお忘れですか? 姫様の年齢からすると決して悪い数値……? ではないと思いますよ」


 CHMに突っ込まないのはシアさんなりの優しさなのか、いや、当たり前と感じてるから何も言わないのかもしれない。

 数値、が疑問系だけど、なるほど納得、そういう事ね。ステータスが悪く見えるのも私が子供だからか。多分通常はもっと成長してから、大人になってからじゃないと遊べないんだろう。


「ありがとシアさん、落ち着いたよ」


「力も体力も絶望的な程に無くて、さらに動きも鈍く不器用。頭はそれなりに賢い方ですが精神は弱い」


「淡々と説明しないで! しかも悪いところばっかり!! ああもう、折角上がったテンションが下がりきっちゃうよ……」


「上から順番に読んだだけではないですか……。どれくらいの表示が普通の値なのかも分かりませんし、今のところ気にされる事はないと思いますよ。MAGは魔力でしょうか? 凄いですよ、凄い。運もいい方なのですから悲観する能力値ではないと思われます」


 フォローありがとねー。でもCHMについて本気で何も言わないつもりなのかシアさんは。

 ううむ、完全に後衛職向けな能力値だねこれは。武器を振るったりとかは難しいと言うか、読んでそのまま絶望的なんだろう……。


「そうだ、シアさんのステータスも見せて。私にも見れるならだけど」


 変な表示のがあったら馬鹿にしてやるー。仕返しが怖いけど。


「私のですか? ふむ、サポートキャラの私にもステータスはあるのでしょうか? とりあえず試してみましょう、『ステータス』。……あ、出ましたよ」


 ふむふむと頷きながら、シアさんは私と同じ形式にウィンドウを整えていく。


 シアさんが私のステータス画面を見れるように、私もシアさんのだけは見れるみたいだね。まあ、サポートキャラのステータス確認はできて当然か。


「どれどれ見せてー」


「はい、どうぞ。誰も見ていませんから膝抱きにさせて頂きますね。ふふ」


 ひょいっと私を軽く持ち上げ、そのまま一緒に椅子に座るシアさん。


 嬉し楽しくありがたい、これで見やすくなったね。

 さーて、気になるシアさんのステータスはーっと。



名前:バレンシア

種族:エルフ 年齢:●●●歳

職業:メイド


能力値

STR:マジすげぇッス

VIT:本気でパネェッス

AGI:マッハですな

DEX:チート乙

INT:天元突破

MND:揺ぎ無さすぎ

MAG:高すぎて引くわ

LUK:悪い

CHM:見抜きに注意



 …………。


「私は運が悪かったのですか……」


「普通に落ち込まないで!!」






 ずずーんと落ち込んでしまったシアさんだが、ほっぺにキスをしてあげたら一秒で完全復活を遂げた。


「ちょっと気になったんだけど、肝心な物が抜けてるよねこれ」


「肝心な物、ですか? ああ、男性経験のありか無しかですね。……いやらしい」


「違うから! レベルだよレベル。能力値は見れるけど、これじゃ今の強さの目安? っていうのかな、そういうのが分かんないよ」


「なるほど、レベルですか。割と本気でスリーサイズの事かと思っていました。実はレベルはステータス画面では確認ができないのですよね。名前と職業と、姫様が仰ったレベル。この三項目のみを表示させる機能が他にありまして……」


「三つだけ?」


「ええ。ステータス画面は本人しか見る事が叶いませんよね? そうなると他の方に姫様の力量を簡単に知ってもらうのは難しいものです。そこでその三項目のみを表示させる『簡易ステータス画面』という機能を使う事によって、本当に簡単にですが大体の力量を一目で確認して頂く事が可能になるのです」


「『簡易ステータス画面』? あ、ああ、それは誰にでも見せる事ができるんだね。レベルはそこだけでしか確認できないんだ?」


「はい。後で説明致しますが、このゲームは経験値の様な物が存在していません。キャラクターの強化は各能力値に対応したスキルを上げる事で可能となっております。簡単に説明してしまうと、魔法関連のスキルを鍛えればMAGなどの魔法を扱う事に関係した能力値が増加していく、といった感じですね」


「あ、分かった! スキルの合計とかステータスの平均値とかでレベルが変わっていくんだね。頑張ってスキルを上げて能力値が育てば、私もゲームの中でならメイドスキルが使えるようになるかも!」


「ふふ、可愛らしいです。さすが姫様はご聡明であらせられますね。では、早速表示させてみましょう。『簡易ステータス』」


「かんいすてーたす!」


「キリッ」


「それはもういいから!」



名前:シラユキ・リーフエンド

職業:プリンセス レベル:猫級



「猫!?」


「猫ですか」



名前:バレンシア

職業:メイド レベル:勘弁してください



「運営さんに謝られる強さ!? な、なんとなくそうかなとは思ってたけど、レベルも数値化されてないんだねー。私は猫くらいの強さなんだ……」


「『一般成人』が極々一般の成人された人間種族相当のレベルですね。猫級の約七百段階上の表示です」


「ななひゃく! うわっ……私のレベル、低すぎ……?」


「意外と余裕がおありそうで」


「猫は大好きだからねー。あんまり関係ないけど……」


「ふふふ。まずは一般成人を目指しましょうか。ささ、チュートリアルはまだまだ続きますよ」


「はーい! もうログアウトしたいでーす!」




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