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エルフの一族





「うぅ……眠い…」


ベッドの中で寝返りをうちながら、アリアは思わず呟いた。

ようやくトゥーラスに戻ることを許され、城でも熱烈な―主に魔法士たちの―別れの会が行われた。それはいいのだが、トゥーラスギルドで支部長に戻ったことを伝えるため行くと、なぜかそこでも激しい歓迎を受けたのだ。


「トゥーラスギルドで久々に英雄が出た!」


支部長はとてもご機嫌だ。

英雄という言葉にぎくりとしたが、どうやら城での数日の間に、オーシャルン国で起きたことが広まったらしい。それに加えて王直々に二つ目の称号の報告まで来たのだから、トゥーラスの名は上がったようだ。アリアを知る町の者たちも歓喜し、ギルドどころか町全体のお祭り騒ぎに発展していた。

そのまま引っ張られるかのようにお誕生日席のごとく座らされ、飲み物や料理を振る舞われ、オーシャルン国でのことを聞きたがった者たちに囲まれ、ただいま帰宅したのである。夜中の二時だ。子供はちゃんと寝かせろ。

もちろん未成年なのでお酒は飲んでいない。

うつらうつらしかけたアリアをダリが首根っこを掴まえて救出してくれなければ、潰されて窒息死するところだったろう。


(それでも…なんとなく目的には近づいてる…かな)


どこまで広がるかわからない自分の名。

まだまだ足りないには違いないが、保護者の元を離れまだ一年も経っていないのだ。結果的には上々だろう。そもそも、短期間で色々と起こりすぎなのである。

そのまま眠りに着き、目覚めると昼近くになっていた。



「おはよう、アリアちゃん。昨日は疲れただろう?」

「おはようございます」


宿屋のおかみさんが苦笑しながら挨拶してきた。

ダリに担がれ半分以上夢の世界だったアリアをベッドに運んでくれたのは、おかみさんである。


「昨日…というか、夜中にすみませんでした」

「いいのさ。若い子をあんな時間まで引き留める奴らが悪いんだ。何食べる?」

「軽いものを。おなかまだいっぱいで…」

「じゃあ野菜スープとパンでいいかい?」


おかみさんはそういって暖かいスープと白いパン、おまけにカットフルーツをつけてくれた。久々の宿での食事に、ほっと息をつく。最近は忙しすぎた。

常連客は久々のアリアの姿に「よお」「すげえな、アリア」と言いながら肩をぽんぽん叩いていく。この普通の対応がありがたい。

やがて誰が迎えに来たので、食事をしている顔見知りたちに「いってきまーす」と挨拶をして町へと歩き出した。


「"英雄"の生まれ変わり、か」

「平たく言うと、そういうことなんだよね」


アリアはダリにここしばらくで起きたことを報告した。


「…俺に話していいことだったのか?」

「なんで?」

「俺は(オーク)だろう」

「私の事情を知ったところで、ダリに何か得がある?」

「  まあ、ないな。人間の諍いごとなど興味もない」


でしょ? とアリアは笑う。

人ではないダリは、アリアの中で少し特別だった。人のように媚を売ってきたり悪事を企むこともない。だからこそ話したのだ。


「それにダリを信頼しているからね。隠し事なんてしないよ」

「… ふん」


くだらなさそうに鼻をならしているが、愉快に口元が弧を描いたのを、アリアはちゃんと見ていた。

ギルドに向かう町でも、昨日の祭りで見た顔が挨拶をしてくる。

それでも昨日のように騒がしくはないので安心していた。しかし、ギルドに入った瞬間飛び込んできた「トゥーラスギルドが生んだ英雄・アリア」の横断幕を見て、顔を引きつらせる。


「アリアちゃん、おはよう」

「……フィリンさん、あの視界に入れたくないものはなんですか?」

「…支部長が作ったのよ」

「支部長ー!?!?」


大声を上げながら受付横の扉から支部長の部屋に入ると、「うるさい…」と頭を押さえているメイリズ支部長がいる。どうやら二日酔いのようだ。


「なんですか、あの横断幕は…!」

「声を…あまりでかくするな…割れる」

「……はずす許可をくれないなら、大声で叫びます」

「…わかった…はずせ」


頭痛には勝てないようだ。不機嫌な口調で許可する支部長の部屋をすぐに出て、「ダリ、それはずして」と壁の高い位置から横断幕を外してもらう。処分に困るのでフィリンに渡しておいた。

その様子を見てフィリンはくすくす笑う。


「支部長、よっぽど嬉しかったのよ。報告がきた途端に、業者を呼んで作らせたんだから」

「無駄遣いもいいところですよ…私がこういうのいやがるのわかってるくせに」


喜んでもらえるのは嬉しいが、やり方が嫌がらせに近いのだ。拗ねたように呟けばまた笑われた。


「そうそう、ギルドカードを貸してもらえる?」

「はい、なにかありましたか」

「ランク変更の処理が必要なの。この間、ラロッドさんが城から戻ってきて、今度あなたが来たら変更するようにって。支部長の許可もあるわ」


ラロッドさんが?

首を傾げるアリアに、「あの人、目はきくのよ」と肩を竦める。


「多分、最初にカードを発行した時より、あなたの能力が上がっていたのね」

「なるほど…ラロッドさん変人ですもんね。常識をはずれた才能くらい、持ってますよね」

「アリアくん、ちょっとひどくない? それ…」


後ろから声がして振り向くと、困ったように笑うラロッドがいた。


「お久しぶりです」

「久しぶり。変人って褒め言葉はいいけど、常識をはずれた才能ってのはいやだなぁ。天才っていってほしいよ」

「そこですか。変人ですね」

「ありがとう」


フィリンにカードを渡し手続きをしてもらう間、ラロッドと立ち話をする。

ラロッドは珍しく、ローブだけではなく中のワイシャツもいつものようにくたびれたものではなかった。よく見れば、無精ひげもちゃんと剃られている。


「どこかにお出かけですか?」

「うん、ちょっとねぇ。そんな恰好で一緒に歩きたくないと言われたからさぁ」


ガターン! とフィリンが慌ただしく何か落としてしまった。何事かと見れば、顔を真っ赤にしてあわあわしているフィリンがいた。


「そういう言い方はしていません!」

「えー? そう?」

「ちゃんとした格好をすればかっこいいのにって言っただけで… っ!」


フィリンさん、自分で墓穴ほってますよ?

二人のやり取りを見て、ダリはわかっていないがアリアは生温かい視線を向ける。


「二人はいつからお付き合いを?」

「違います! 誤解しないでアリアちゃん…!」

「違うんだよねぇ。口説いてる最中」

「ラロッドさんは少し黙ってください!」


フィリンに睨まれラロッドは肩を竦める。


「知りませんでした。ラロッドさんにも恋愛感情というものが備わっていたんですね」

「ねー、自分でもびっくり」

「いつからですか? どこが好きなんですか?」


わくわくした顔で聞くと、フィリンに「アリアちゃん!」と真っ赤な顔で怒られた。

人の恋愛とはなぜこうも楽しいのだろうか。しかも目の前で起きているのだ。これが楽しくないはずがない。


「んー、自覚したのは最近だけどね? フィリンくん、世話焼きだから不摂生な俺を心配してくれるのよ。それに気が強くてしっかりしてるし。俺っていちおう研究者だから、そうやって取りしまってくれる奥さんがいてくれたら助かるし」

「なるほど、ラロッドさんらしい合理的な理由ですね…。でももう少しロマンティックな理由もなきゃ、女性は喜びませんよ」

「そういうものかぁ…難しいねぇ」


生活面を正すのなら家政婦で事足りるだろう。

いつかつっこまれても不思議ではない現実的な理由ばかりだ。

フィリンはまだ赤い顔でアリアのカードを新しく用意すると渡してきた。

アリアは思わず笑ってしまう。


「フィリンさん、かわいい」

「っ 、からかわないの!」

「せっかくラロッドさんが普通の恰好してるんだから、食事くらい付き合ってあげたらどうですか? 滅多にないですよ、こんなましな姿」

「割と俺に暴言吐くよねぇ…」

「私、フィリンさんのこと大好きですもん。だからフィリンさんが本気で嫌がってるのなら、ラロッドさんでも容赦しませんよ?」


にこり、と笑えば「怖いな~」と両手を上げて降参のポーズをとった。

それから、今日は疲れているので明日から依頼うけますねー、と新しいカードを受け取ってその場を離れる。恐らくフィリンは怒った顔で食事に行くだろう。これ以上詮索するのも野暮というものだ。

ちなみにカードは魔力も身体能力も白金になっていた。静かにポケットにしまう。

ダリは支部長に頼まれていた依頼があるというので、そこから別行動にした。

前世の記憶を一瞬で思い出したため、オーシャルン国のことが片付いた夜に熱を出ししばらく寝込んでいたのだ。トゥーラスに戻るのが遅れた原因でもある。記憶と同時に、魔力も当時のものに上がったので、体を追いつかせるのに少し時間がかかるのだ。

無理をするとまた熱が出そうなので、今日は一日ゆっくりすることにしよう。


(思ったより、城の風当たりが優しかったな)


自分でも後で反省するくらいには、国に対しての態度が傲慢ではあっただろう。セイディアの弟子であっても、それは変わらない。なので、もう少し重臣たちから圧力や何かしらのアクションがあると思っていたのだが、それもなかった。

ただ単に師匠が怖いからか、王子の友人だからか、それとも英雄と知ったからか。

一番最後が可能性としては高い。

やっぱり美化されすぎたな、英雄伝…とアリアは溜息をつく。

リファルス国が始まりだったということも、彼らにとっては誇らしく思ったのだろう。

もちろん、他言しないようには告げておいたが。

特に魔法士の筆頭、シーラフォンに知られたのはまずかった。夜会の騒ぎの最中から王への報告が済むまで大人しかったので油断していたが、その後の「ぜひ研究材料に…!」とまったく笑えない言葉をきらきらした笑顔で告げられたら、さすがのアリアの頬も引きつる。もちろん全力でお断りした。


「あら? アリアさん?」


後ろから声をかけられる。エルナーデが、いつもの制服とは違う服で立っていた。私腹のようなので、今日は休みなのだろう。


「エルナーデさん。久しぶりです」

「帰ってきたのは聞いていたの。お元気そうでよかった」


最後に会ったのはオリヌスに行く前だ。

エルナーデは「この後、なにか予定はありますか?」と聞いてくる。これから兄のフィニスと会うことになっているらしい。


「兄も、アリアさんにまた会いたいと言ってました」

「お邪魔じゃないですか?」

「まさか! …むしろ、一緒に来てほしいのです」


困ったような顔をするエルナーデに疑問を感じたが、アリアは誘いを受けて待ち合わせ場所に向かう。町の中心のある噴水前で約束したらしい。

二人で歩いていくと確かに、白いローブをはおっているが、長身で只者ではないオーラの人物が立っていた。目立つ…。

こちらに気付くとフードを取り、「アリア殿、久しいな」と笑みを向けてくる。

ますます目立ってしまった。しかし二人は気にしていないらしく、アリアは苦笑しながらフィニスの握手に応じる。


「お久しぶりです、フィニス様」

「噂は色々と聞いている。颯々の魔術師殿。セイディアの眉間のしわが増えたのでは?」

「大丈夫です。元々濃いので今更増えてもわかりません」


アリアの物言いにフィニスは笑い、それからエルナーデに視線を向ける。


「アリア殿を探してきたのだな?」

「偶然会っただけですわよ」


笑顔で答えるエルナーデに、困ったものだと溜息をついた。

どうやらアリアと出会ったことは、エルナーデの計画通りだった模様。首を傾げると、「妹が申し訳ない」と肩をすくめた。


「一族のことで少し問題が起きていてね。君に相談したいと言っていたのだ」

「…一族、といいますと」

「私方の一族だ。その…つまりだな…」

「長が、ハーフエルフを一族に戻す動きを取り始めたのです」


いいずらそうな兄に変わり、エルナーデが口を開く。


「ですがそれは長の一存であり、他の者は納得していません」

「なるほど…大方、エルナーデさんに話がきた、というところでしょうか?」

「その通りです。 その事自体に不満はありません。人間になじめず迫害されたハーフエルフも多いので、一族に受け入れられるのなら喜ばしい話でしょう」


だが戻った場合、一族の者と結婚しなければならないという。

「なんですか、その飛んだ話は」と呆れた声を出すと、フィニスも困ったように溜息をつく。


「反対派への牽制なのだよ。人間と共に暮らしていたハーフエルフが、万が一の場合裏切らないようにと」

「兄の立場もあることはわかっています。長も信頼できる者に嫁がせるとは言って下さったようです。でも…」


エルフの中でも上の立場にいるらしいフィニスが、簡単に長の言葉を拒否できるはずもない。そして妹には幸せに暮らしてほしいという気持ちもあり、どう対応していいものかと頭を悩ませているらしい。今日も何度目かの兄妹会議のようだ。

人間でいう政略結婚。いや、それ以上に悪いかもしれない。

大多数の反対派がいる中、そこへ嫁ぐなど針の筵だ。生贄に近い。


「なぜ長はいきなりそのような行動を?」

「――星がざわめき始めている。その予兆だと、私は思うのだが」


エルフの考えることはあまりに抽象的すぎて解読するのは難しい。

わかっていても、口には出さないのだ。


「……長の名は」

「シィステリオルと言う」

「シィス… ……、」

「アリア殿?」

「   わかりました。長のところへ行きましょう」


突然のアリアの言葉に二人は目を丸くする。

アリアは頭を抱えながら、「これには私にも責任が…いや…けど…」とぶつぶつ呟いている。それから何か決心したかのようにエルナーデの手を握る。


「安心してください、エルナーデさん。もしも長があなたを悪いようにするのならば、私が友人としてしっかり守ります!」

「アリアさん…!」

「だが、長の元に行くのは難しい。エルナーデさえまだ許可を得ていないのだよ」

「許可? 条件を引き出して麗しい女性を拘束しようとする相手に、得る必要がありますか?」


嫁がせてやるじゃなくて、どうか嫁ぎに来てくださいだろ。

邪悪な笑みを浮かべるアリアにフィニスが顔をこわばらせる。


「問題ありません。あなた方に迷惑かかからないように処理しますから」

「……」


エルナーデがあまりにも不憫で、何か得策がないだろうかと投げかけた自分がどうやら間違っていたらしい。しかももうこれは、止められない。

顔色を悪くするフィニスに、アリアは「どこから行きますか?」と聞く。


「トゥーラスの森からでも、つながるとは思いますが」

「  エルフの里の場所を知っているのか?」

「変わっていなければ」


通常隠れさているエルフの居住区に行くには、特殊な魔法が必要となる。

場所を感知し、その空間を呼び、そしてつなげるものだ。

歩き出したアリアに思わずついていく。

少し歩くと森が見え始め、躊躇なく足を踏み入れた。

アリアは左手に杖を出し、小さく呪文を唱える。すると淡い緑の光が杖の魔法石に灯った。その間もアリアは呪文を唱え続ける。その言葉が、エルフのものだと気づき、「里に行ったことが?」と聞く。そんなフィニスにアリアは軽く右手で静止をかけ、呪文を続けた。するとだんだんと霧が濃くなり、フィニスはエルナーデを引き寄せ、見失わないよう気を配る。やがてアリアが足を止めると、霧は徐々に消えていった。

そして代わりに現れたのは、フィニスが知る里の景色と、こちらに弓矢を向ける一族の者たちだった。


「待ってくれ! 私だ!」

「…フィニス? なにをしている。ここは人間もハーフエルフも、立ち入ることは禁じているぞ」


背にエルナーデを庇いながら、「事情がある」とフィニスは必死に告げる。


「長に、会わせたい者がいるのだ」

「正気を失ったか? できるはずもないだろう」

「お前は人間を里に入れた。一族のきまりを破ったのだぞ」

「……相変わらず、血の気の多い奴らが多いな。ここは」


アリアが溜息交じりに呟くと、一番前にいた一人のエルフが目を細める。

フィニスとタイプは違うが、やはり美形だ。


「発言の許可は与えていないぞ、人の子よ」

「なぜあなたに発言の制限をされなければならないのか不思議ですね」

「アリア殿、 すまないがどうか抑えてくれ」

「喧嘩しにきたわけじゃないから、大丈夫ですよ。最初に謝罪させてください、フィニス様、エルナーデさん。長の思い付きには、少々私にも責任があるのです」


苦笑ぎみに伝えると、やはり意味が分からないのか首を傾げる。

アリアは弓矢を向けられるのも構わず、数歩前に出た。

浮かべていた笑みを消し、鋭く視線を周りに向けると、エルフたちは体をびくりと揺らした。殺気ではないが、威圧的な空気を感じたからだ。

それを確認し、アリアは口を開く。


「エルフの長、シィステリオルよ。旧友が会いに来てやった。さっさと出てこい」


最後はほぼ恐喝である。

驚きに言葉を失っていると、やがて里の奥から一人のエルフが現れた。

長い髪を後ろでひとつに束ね、白い衣を纏っている。その姿はアリアよりも幼いものだった。大きな目をアリアに向け、少しばかり首を傾げる。


「呼んだか? 旧友と聞こえたが、私は君を知らないよ、人の子」

「顔も忘れたか…と言いたいところだけど、そもそも外見も何もかも変わってしまいましたからね。さすがにわかりませんか?」

「……  似た魔力を持つ魔術師は、少し前にいたはずだね」


数歩ほどの距離までシィステリオルは歩み寄り、自分より背のあるアリアの目をじっと見た。そして驚きで見開いた後、 体当たりのごとくアリアに抱き付いた。さすがに支えきれなかったので後ろにひっくり返る。


「痛い! その癖をやめろと何回言った!」

「その反応、紛れもなく本人のようだな」


頭を押さえて睨むアリアから離れ、手を差し出し起こしてやる。


「いつ戻った? 君の星が不滅だとは告げていたのだが」

「今年で十四年が経つ。とっくに隠居していたと思ったんだけど」

「なかなかしぶとく椅子についているよ。なるほど、フィニスの知り合いだったんだな?」

「妹のエルナーデさんとも友人でね。とりあえず里に入ることを許可してくれます? 私はいつまでも敵意を向けられて、黙っていられるほど心が広くないので」

「  おまえたち、手を下げなさい。私の友人だ」


うってかわり厳しい声を出すと、エルフたちはそれに従う。だが顔はまだ動揺したものだった。シィステリオルは悪戯っ子のように笑みを浮かべ、仲間たちに向かって首を傾げた。


「なんだ、その顔は。お前たちも会いたがっていただろう。人間の英雄に」

「長…なんと?」

「改めて。エルフの里に歓迎しよう、"聖天の魔術師殿"?」

「元、だけれどね」


意味を理解できずに固まってしまった者たちを尻目に、シィステリオルは苦笑するアリアの手を取ると恭しく歓迎の言葉をつむいだ。







登場人物の名前が似ている罠←

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