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追放された王太子と公爵令嬢が冒険者になる話  作者: 埴輪庭
第一章

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設定①

とりあえず二章の更新を続けます。

【物語の時系列】


王国暦512年シャール誕生。ほぼ同時期にセフィラ誕生

王国暦520年(8歳)二人の公式な初対面(王宮庭園の茶会)

王国暦524年(12歳)王宮離宮で互いの心情を吐露

王国暦525年(13歳)古代魔導書を発見。念動の力に目覚める。初めてのキス

王国暦530年(18歳)神誓の儀で「無の魔力」と判定。シャール廃嫡、マーキスが王太子に。セフィラへの婚約破棄とマーキスへの嫁入り要求。二人で出奔、追手を殺害。ラスフェルへ逃亡


【主要人物】


●シャール・レオン・ウェザリオ(通称:シャル)

年齢:18歳(王国暦530年時点)

外見:精悍な顔立ち、彫りが深い。細く見えるが鍛え抜かれた体躯。冒険者生活を経てさらに精悍さを増す。

一人称:私

その他:

ウェザリオ王国第一王太子。王国暦512年生まれ。

寡黙で内省的な性格。幼少期から王宮書庫の騎士譚に没頭し、孤独な剣術鍛錬を重ねる。神誓の儀にて「無の魔力」と判定され廃嫡。弟マーキスに王太子の座を奪われる。セフィラと共に王国を出奔し、追手の騎士団を殲滅。自治都市ラスフェルで冒険者「シャル」として生きる。四大属性魔法は一切使えないが、「念動」または「純粋魔力操作」と呼ばれる力を持つ。微細な物質(砂粒、塵芥、水滴など)を精密に操作する繊細な技巧に長け、空中に砂で立体物を形成したり、不可視の刃を作り出すことが可能。

感覚拡張領域を展開し、周囲の空間を支配下に置くことができる。

初出:第1話



●セフィラ・イラ・エルデ(通称:セフィ)

年齢:18歳(王国暦530年時点)

外見:亜麻色の髪、翠色の瞳。華奢な体つき。白皙の肌。知的な美貌。

一人称:わたくし

その他:

エルデ公爵家令嬢。シャールとほぼ同時期に生まれる。幼少期から類まれなる知性を発揮。歴史、魔導、天文学、植物学など広範な学問に精通。

政略によりシャールの婚約者となるが、やがて真の愛情で結ばれる。神誓の儀にてシャール同様「無の魔力」と判定される。王国出奔時、追手の騎士を共に殺害し、共犯者となる。シャールより出力が大き力を操る。ラスフェルでは調理を習得するなど、生活力を身につけていく。知的好奇心が旺盛で、森の植物や菌類、甲虫などに強い関心を示す。

初出:第1話


●オルドヴァイン三世

年齢:壮年〜老年

外見:引き締まった体躯。病に侵されてからは痩せしぼんだ。

その他:

ウェザリオ王国現国王。強大な火の魔力の持ち主。

シャールとマーキスの父。神誓の儀後、シャールを廃嫡しマーキスを王太子に指名。為政者として冷徹な判断を下すが、長子への複雑な感情も抱える。

初出:第1話



●マーキス・レオン・ウェザリオ

年齢:17歳(シャールの一歳年下)

外見:燃えるような赤毛、挑戦的な光を宿す双眸。屈強な体躯。

その他:

ウェザリオ王国第二王子。神誓の儀後に王太子となる。兄シャールとは対照的に行動的で激情家。粗暴で短慮との批判もある。父王譲りの強大な火の魔力を持つ。セフィラに対し嫉妬混じりの独占欲を抱き、側妃に迎えようとする。兄への対抗心と憎悪を燃やし、逃亡した二人を執拗に追う。

初出:第4話



●オズワルド

年齢:壮年

外見:屈強な体躯

その他:

王国第二騎士団追撃隊の隊長。

かつてシャールの剣術指南役を務めた。二人を連れ戻すため追撃するが、シャールの念動により一撃で殺害される。

初出:第5話


●グレン

年齢:50歳前後

外見:白髪交じりの短髪、深い皺が刻まれた顔、鋭い瞳、がっしりとした体躯。将軍のような威圧感。

その他:

ラスフェル冒険者ギルドのギルドマスター。

老練な交渉人。シャールとセフィラの正体を見抜くが、街の方針として「しらばっくれる」ことを選択。ギルドの利益を第一に考える実利主義者だが、正直で誠実な対応をする。

初出:第37話


●ベルトラン

年齢:40代

外見:無骨な外見、短髪。屈強な体躯。

その他:

冒険者ギルドの依頼カウンター担当。中堅職員。依頼の受付から報酬の支払いまでを一手に担う。事務処理能力が高い。合理主義者。危険な依頼の報酬を上げることで「選別」を行うことも厭わない。長年の経験に裏打ちされた鋭い直感を持つ。

初出:第12話



●マリア

年齢:20代後半

外見:穏やかな笑顔

その他:

冒険者ギルドの受付嬢。ギルドの顔役として接客的な側面を担う。理不尽な要求や暴言に耐えながらも、冒険者たちとの関係を円滑にする。情に厚く、ベルトランの冷徹な方針に反発することもある。新人冒険者の成長を見守ることに喜びを感じる。

初出:第12話



●カティア

年齢:不明(若い女性)

外見:不思議な光を宿す青い瞳

その他:

冒険者ギルドの新規登録窓口担当。「真偽の瞳」の持ち主。嘘をついているかどうかを見抜く能力を持つ。登録審査で毎日神経を擦り減らしている。

初出:第8話



●アレッサンドラ

年齢:30歳前後

外見:長い黒髪を後ろで束ねる。切れ長の目、通った鼻筋。美貌だがどこか影がある。

その他:

冒険者ギルドの「渉外担当」(表向き)。実態はギルドの諜報員。街に出入りする人間の素性を調べ、不穏な動きを上層部に報告する。

初出:第12話



●資料庫の老人

年齢:老年

外見:白髪を後ろで束ね、眼鏡をかけている

その他:

冒険者ギルド地下の資料庫を管理する人物。魔物に関する膨大な知識を持つ。小鬼の起源(地の精霊界から染み出した下級精霊が人間の負の感情に影響されて歪んだもの)などを語る。

初出:第17話



●ギンタマ(タマさん)

年齢:30代半ば

外見:くすんだ茶色の革鎧、使い込まれた剣。鋭い目つきだが口元には人懐っこい笑み。

その他:

ラスフェルで活動する情報屋。新人冒険者に銀貨一枚でギルドの仕組みや心構えを教える商売をしている。シャールとセフィラに冒険者としての基本を教えた最初の恩人。「赤銅の盾亭」という酒場を拠点にしている。冒険者として登録はしているが余り活動はしていない。

初出:第8話



●リッキー

年齢:15〜16歳

外見:痩せぎすの体躯、擦り切れた革鎧、安物の短剣

その他:

駆け出しの新人冒険者。故郷では食えなくなり、金を稼ぐためにラスフェルへ来た。シャールを「兄貴」と慕い、依頼を一緒に受けるようになる。

仲間ヴァンスらとパーティを組んでいる。森の異変による病にかかり床に臥せるが後に快癒。実は女。

初出:第11話



●ヴァンス

年齢:リッキーと同年代

外見:伸び放題の赤髪

その他:

リッキーのパーティのリーダー格。ほかにもトト、ミランなどがいる。トトはリッキーと同様に女。功名心つよめ。

初出:第14話



●ガッツ

年齢:中年

外見:禿頭、革の前掛け、丸太のように太い腕、典型的なオヤジって感じ。

その他:

ラスフェルの鍛冶屋の親方。

シャールとセフィラの最初の依頼(水汲み)の依頼主。二人の仕事ぶりを認め、弟子が打った長剣をシャールに与える。武器を見る目は確かで、シャールの短剣の品質を一目で見抜いた。

初出:第10話



●「朝霧の鐘亭」の主人

年齢:中年

外見:髭面

その他:

シャールとセフィラが最初に泊まった宿の主人。訳ありの二人に対し、ぶっきらぼうながらも的確な助言を与える。

冒険者ギルドへの登録を勧めた。

初出:第7話



●「銀狐亭」

その他:

ギルド裏手にある酒場。ギルド職員たちが仕事終わりに集う隠れ家。

初出:第12話



●その他有象無象


蒼き鷹

その他:

頭角を現しつつある中堅冒険者パーティ。剣士、魔術師、斥候、神官の四人構成。実績は高いが、荷物持ちの仲間を「戦えないから邪魔」と追放しようとするなど芳しくない噂がある。

初出:第19話



【世界観】


この世界に生まれた者は誰もが「魔力」というエネルギーを体内に宿している。ウェザリオ王国では魔力の量と属性が個人の価値から社会構造まで、あらゆる事象を規定する絶対的な基準として機能している。ただし、地域によって価値観の基準は変わってくる。


四大属性

火:万物を灰燼に帰す。王家の象徴。軍事力と王権の正統性を示す。

水:生命を育み潤す。エルデ公爵家が継承。理知と冷静さを司る。

風:天空を自在に駆ける。

大地(土):万象を支える堅牢さ。ヴェイル帝国が強力な土の魔力を持つ。


無の魔力

四大属性に分類されない魔力。社会では実用性に乏しい、あるいは「劣った証」として扱われる。「無の魔力」の持ち主は魔法というこの世界の共通言語を解さない存在として、存在そのものを否定されることもある。


念動(純粋魔力操作)

シャールとセフィラが持つ特殊な力。

四大属性を介さず、純粋な精神の集中だけで物理現象に干渉する技術体系。

対象物を構成する最も小さな粒子を意識の中に捉え、意志の力で操作する。

古代の魔導書に記された失われた技術。シャールは繊細な操作(砂粒で形を作る、水滴で文字を描くなど)に長け、セフィラは大きな物体を動かす強力な出力を持つ。通常の魔力とは根本的に異質であり、魔力を媒介とする呪いなどの影響を受けにくい可能性がある。


神誓の儀

ウェザリオ王国の貴族子弟が18歳で受ける儀式。

王都中央の大神殿で執り行われる。

「神託の珠」(水晶の宝珠)に触れ、魔力の属性と力量を明らかにする。

四大属性はそれぞれ対応した色を放ち、強ければ強いほど輝きが増す。

無の魔力の場合は沈黙するか、鈍い灰色の光を放つのみ。

この結果がその後の個人の運命、家の栄枯盛衰を決定づける。



【国家・都市】


ウェザリオ王国

大陸中央から南部にかけて広大な領土を持つ王国。

王国暦を使用(物語は王国暦530年頃)。

王家は代々圧倒的な火の魔力を継承し、王権の正統性と軍事力の象徴としている。魔導の原理に基づいて統治される血統主義国家。

長子相続が原則だが、国家存亡の危機においては覆されることもある。

東方国境でヴェイル帝国との軍事的緊張が高まっている。


ヴェイル帝国

ウェザリオ王国の東方に位置する隣国。

強力な土の魔力を背景に版図拡大の野心を持つ。

王国との関係は悪化しており、国境警備は双方とも厳重。


自治都市ラスフェル

北方山岳地帯に位置する冒険者たちの自治都市。「自由の街」と呼ばれる。

いかなる国家にも属さず、いかなる権力の介入も拒む。


成り立ち:

200年以上前、「災厄の回廊」と呼ばれた魔獣の通り道を、各地から集結した冒険者連合が10年かけて制圧。その跡地に築かれた拠点が起源。


政治体制:

冒険者たちの自治による運営。各ギルドの長からなる議会が存在する。「来る者拒まず」が鉄則。犯罪者以外は自由に入れる。外部からの干渉は基本受け付けない方針。


地理的重要性:

交易の要衝。この街が特定国家の支配下に入れば周辺の力関係が大きく変わるため、どの国も手出しできない微妙な均衡の上に成り立っている。


街の様子:

山肌を削って築かれた石造りの城壁。

雑多な建物群、露店、武器屋、防具屋、薬屋などが立ち並ぶ。

王都の整然とした美しさとは対極にある混沌を湛えている。

人間以外の種族(尖った耳を持つ者、小柄で髭を蓄えた者、緑がかった肌の者など)も普通に暮らしている。



【冒険者ギルド】


本部

ラスフェルの中心的な組織。街の心臓部。王城にも匹敵する巨大な石造りの建造物。冒険者の登録、依頼の斡旋、報酬の支払い、揉め事の仲裁などすべてを担う。この街での身分証明にもなる冒険者証を発行する。


冒険者証

金属製のプレート。名前が刻まれる。

等級は銅→鉄→銀→金→白金と上がっていく。

等級に応じた依頼しか受けられない。


登録審査

「真偽の瞳」を持つ審査官カティアが担当。

犯罪者(金目当て、快楽目的の殺人者など)は登録できない。

正当防衛や自由を守るための殺人は許容される。


依頼の種類

雑用依頼:荷物運搬、水汲み、薬草採取、迷子探し、建物解体など。報酬は銅貨単位。

討伐依頼:小鬼、灰狼、岩猿などの魔物討伐。報酬は銀貨以上。危険度が高い。


狩り場の難易度分類

低難易度:新人でも安全に活動可能。

中難易度:一定の経験者向け。

高難易度:熟練者でなければ命を落とす危険あり。

※ただしあくまで目安。自然は人間の都合で区切れるものではない。



【魔物】



小鬼

背丈は人間の子供ほど。薄汚れた緑色の肌、醜悪な顔つき、尖った耳。

ぼろ布を腰に巻いただけの姿。粗末な棍棒や錆びた短剣を武器とする。

知能は低いが群れで行動する。依頼書に5体と書いてあっても実際には20体いることも珍しくない。起源:地の精霊界から染み出してきた下級精霊が、人間の負の感情(恐怖、憎悪、欲望など)に影響されて歪み、現在の姿になったとされる。本来は精霊に近い存在であり、完全な物質ではなく、精神と物質の中間に位置する。群長は他より体格が大きく、武器を持っていることが多い。


灰狼

森に棲息する魔物。危険な獣。

討伐依頼で牙10本で銀貨8枚程度の報酬。


岩猿

硬い体毛を持つ大型の魔物。

灰狼より危険。



【ケリガンの森】


ラスフェルの東に広がる森。

浅層:低難易度。薬草採取などの依頼が中心。通常は魔物との遭遇はほとんど想定されない。

中層:中難易度。小鬼などが棲息。

深層:高難易度。




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自作の長編と短編を宣伝。長編は大体ブクマ1000~1500くらいのやつ。短編は直近二ヶ月で書いたやつをポイント降順に。

【長編】

アステールの血を引く者は魔術に優れる事甚だしく、特にハイン・セラ・アステールはアステール史上もっとも強大な魔力を誇る麒麟児であった。
"本来の歴史" では彼は傲慢で邪悪な典型的悪役貴族であったのだが、並行世界では一味違う。
いや、二味違う。
一味目は、彼が極度のマザコンだという点だ。
平行世界のハインもまた本来の歴史のハインと同様に邪悪なのだが、母への愛が魔と邪を覆い隠す。
勇者も聖女も元婚約者も、彼にとってはどうでもいいことだ。
ハインはただ母と静かに安らかに暮らしたいだけで、それを邪魔する者全てが彼の敵である。
では二味目はといえば、それは彼が本来の歴史のハインよりも遙かに強大な魔力を有し、遙かに強大な魔術を操るという点だ。
愛する母に格好いい姿を見せたいがために努力を重ねた天才──ハインに不可能はない。
「悪役令息はママがちゅき」

幼い頃、家に居場所を感じられなかった「僕」は、母の再婚相手のサダフミおじさんに厳しく当たられながらも、村はずれのお山で出会った不思議な「お姉さん」と時間を共に過ごしていた。
背が高く、赤い瞳を持つ彼女は何も語らず「ぽぽぽ」という言葉しか発しないが、「僕」にとっては唯一の心の拠り所だった。
しかし村の神主によって「僕が魅入られ始めている」と言われ、「僕」は故郷を離れることになる。
あれから10年。
都会で暮らす高校生となった「僕」は、いまだ"お姉さん"との思い出を捨てきれずにいた。
そんなある夕暮れ、突如あたりが異常に暗く染まり、"異常領域"という怪現象に巻き込まれてしまう。
鳥の羽を持ち、半ば白骨化した赤ん坊を抱えた女の怪物に襲われ、絶体絶命の危機に陥ったとき。
──目の前に現れたのは"お姉さん"だった。
「お姉さんと僕」

ライカード王国魔導部隊所属の魔導散兵である君は迷宮の調査探索中、怪しげなポータルを起動させてしまう。
気付いた時には一切見覚えのない風景が広がっていた。
迷宮であることは間違いないが、壁の質感、床の質感、空気の味なにもかもが違う。
未知の迷宮に飛ばされてしまったということなのだろうか。
君はいぶかしみながらも探索をすすめていく。
やがて出口が見えた。
踏み固められた街道、そよぐ木々、風。
なにより道の先にある都市はライカードのものではなかった。
そこは迷宮都市アヴァロン。
君はそこで冒険者として過ごすこととなる。
祖国ライカードへの帰還を夢見ながら
「ダンジョン仕草」

宇宙開拓時代の西暦3889年、ろくでなしの青年…君はとある大勝負に敗北する。
要するに賭けで負けたのだ。
しかし君には金もなければ家もない。
哀れ君は人身売買のブローカー経由で人体実験に参加し、サイバネ手術を受けることに。
体は機械化され、神経は拡張されるも、存在の違和感ともいうべき感覚に苦しむ事になる。
「人間に戻りたい!」
君はそう願い、再度の手術を受けるべく金を稼ぐことにした。
君が目をつけたのは「惑星開拓事業団」だ。
危険な惑星調査の仕事は金になる。
命の危険もあるが、なに、機械の体がなんとかしてくれるさと君は軽く考える。
「★★ろくでなしSpace Journey★★(連載版)」

【短編】

剣士カイトは勇者アルヴィンから追放を告げられた。
そして──!!!!!!
「意識高い系勇者パーティから追放された俺の末路」

「愛している」——その言葉と共に、母の刃が私を貫いた。
過保護な母に命を奪われた絵里が転生したのは、乙女ゲームのような異世界。
伯爵家の令嬢エリスとして第二の人生を歩み始めた彼女を待っていたのは、お約束の婚約破棄だった。
「愛の温度」

ヘルナロウ王国では今、婚約破棄が流行していた。
頭の悪い婚約破棄は最悪である。
当事者たちだけではなく、周囲の者たちや国そのものにも被害を与えるのだ。
ヘルナロウ王国もまた、アホな婚約破棄のせいで被害を被っていた──国家予算の一割を吹き飛ばすほどの大被害である。
「この女は我が妹をいじめた」
「前世が聖女の令嬢に心を奪われた」
貴族の子息たちは次々と愚かな理由で婚約者を糾弾し、その度に決闘、自害、領地間の経済断絶といった惨事が続発する。
頭を抱えるのは宰相グラモン侯爵。
就任一年で彼の白髪は三倍に増えた。
国王も手をこまねくばかりだったが、王妃ヘルザベスがある提案を持ちかける。
──「令嬢たちに、正しい謀略を教えましょう」
講師は「影の女公爵」と恐れられる王妃の姉クロエを筆頭に、王国屈指の策謀家たちである。
「婚約破棄亡国論」

死者三十人超──熊が人を喰い荒らすA県で、知事・熊殺三太夫は「これは戦争だ」と宣言した。
だが都会からは「熊を殺すな」の大合唱。
現場を知らぬ理想主義者たちに知事はとある決断を迫る。
「熊が来る!」

世話焼き雑用メンバーを追放するいつもの話。
「いつもの追放もの」

太平洋戦争架空戦記。
「白い悪魔」

夕暮れの駅のホーム、今にも線路へ吸い込まれそうな女性に男は全力で体当たりを食らわせた。
男の名前は藤巻俊一。
いわゆる、「ぶつかりおじさん」である。
「感電」

極端なフェミニズムが蔓延するアルカディア王国、その王太子であるシャルルはいわゆるスパダリである。
しかしそんな彼でも、さすがに国のあり方についていけないとへこたれてしまった!
その結果──
「フェミ★婚」

大学一年生の健太は突然の家庭崩壊に直面する。
父の浮気相手は部下の男性だった。
だが帰省して開かれた家族会議は、誰も予想しない告白合戦へと変貌していく。
十年以上妻に拒まれ続けた父の苦悩。
抑えきれない性欲に心療内科へ通った過去。
一方の母もまた、幼少期から実父に性的虐待を受けてきたトラウマを抱えていた。
そして健太自身も「実は僕、バイなんだ」と打ち明ける。
壊れた家族。歪んだ愛。
誰もが秘密を隠し、誰もが傷を負っていた。
普通を望みながら普通になれなかった三人が辿り着いた答えは。
「完全破壊家族」

ドラゴン相手に示談交渉、悪党には損害賠償。
法の力で世界を論破する、リーガル・バトルファンタジー。
「悪徳弁護士、異世界へ行く」

曇らせ大好きな青年が魂転移してしまったらしい……
「曇らせる男」

勇者が魔王を倒そうとしなかったらどうなる?
「勇者に放置された魔王の末路」

「愛しい陛下。貴方はただ、その玉座で綺麗に微笑んでいてくださいな」
隣国帝国の八万の大軍が迫る国家存亡の危機。
震えながらも民のため城に残ることを選んだ美貌の国王テリオンに対し、王妃サリィナは優雅に扇子を開いた。
かつて「人形のように退屈」とテリオンに婚約破棄された彼女は、実家公爵家による苛烈な『再教育』を経て、毒を以て毒を制す冷徹な謀略家へと変貌を遂げていた。
「黒薔薇の嗜み」

冒険者パーティ『碧空の翼』の荷物持ちバジルは醜く無能な中年男だ。
そんなある日、彼は仲間に囮として森に捨てられた。
絶望の淵で彼が手にしたのは、若き美女へと変貌する奇跡の力であった。
復讐を誓ったバジルは美貌の魔術師「ジル」となり、かつて自分を見下した男たちの前に現れる。
何も知らない男たちは、かつて蔑んだ男とも知らず、彼女の愛を求めて争い、堕ちていく。
「無能な中年男、男をたぶらかす魔女となり、自分を捨てたパーティメンバーに地獄を見せる」

帝都ティランの会員制サロン「銀枝亭」に集った五人の貴族たち。
話題は庶民の間で流行する「婚約破棄譚」への痛烈な批判だった。
設定の杜撰さ、人物造形の稚拙さ、読者の被害者意識……舌鋒鋭い文芸誌編集主幹カタリナを中心に、知識人たちは存分に嘲笑を重ねていく。
だが談話の果てに浮かび上がったのは──
「阿呆鳥の連環」

呪いの動画を見てしまった。
私は一週間後に死ぬらしい。
でも大丈夫(?)。
地球が三日後に滅びるそうだから、怖くない。
「メテオリック・エクソシズム」

妻を癌で亡くして以来、男は自分が生きているのか死んでいるのかすら判然としないような日々を送っていた。
だが故人をAIで再現するサービスを知り、膨大な写真やメール、声の記録を入力して亡き妻を蘇らせる。
画面越しに再開した会話は空虚だった日常を少しずつ温かく満たしていく、が。
「電影」

ある日を境に、日本中で不可解な事故死が激増した。
一人でいると死亡率が跳ね上がる異常事態。
国民すべての運が急激に悪化したのだ。
かつて「他人と関わるな」が常識だった社会は一変し、人々は見知らぬ者同士で命を預け合うようになった。
「運の尽き」

あるところに女の子がいました。
女の子はもう死にます。
「光り、きらきら」

「私たち四人は対等なの」──女の提案で始まったのは、三人の男が一人の女を共有する異常な日々だった。
弁護士の真司は漁師の啓二、バーテンダーの了と共に、愛する妻・莉子と暮らしている。
かつては嫉妬に狂い、互いに殺意すら抱いた男たち。
しかし奔放な妻に振り回され、同じ苦しみを共有するうちに、敵同士だったはずの三人の間には奇妙な連帯感が芽生え始める。
「オープンマリッジ」
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