164.王立魔法学園のエルフ学園長
俺たちは再び王都へとやってきた。
中央部にある、立派な建物。
「ここが王立魔法学園やで」
「わー! おっきー!」
ラビがキラキラと目を輝かせている。最初の印象は大事だ。気に入ってくれたようでよかった。
第一段階はクリアだ。
しかし王立の魔法学園、凄い広いし、金か勝手そうな建物だ。
学生達もどこか、理知的な印象を与えてくる。
そんなふうに周りを見ていたそのときだ。
「ハァイ、クゥ」
「【デルフリンガー】先生。さしぶりやなぁ」
こちらに、美人のエルフが歩いてくる。
笑顔で手を振りながら、こつこつとヒールをならしている。
エルフだ。耳の長さがコレットより長い。純粋なエルフなのだろう。
少々露出が多いものの、纏う雰囲気から、かなり【やる】人なのがわかる。
冒険者やっていたからか、空気で、相手がどの程度の強さなのかが理解できるようになっているのだ。
この人は、今まで俺が出会ったなかで、一番の使い手であるのが、漠然とだけどわかった。
デルフリンガー先生は俺を見て、ひらひらと手を振る。
「大丈夫、別に切った張ったするつもりはないし」
どうやら俺が警戒してるのをバレてしまったのだろう。
「ご無礼を」
「いやいや。でも気配から相手の強さを図るなんて、あなたもなかなかやるわね」
「恐縮です。元冒険者なんで」
クゥがデルフリンガー先生に手を向ける。
「こちら、王立魔法学園の学園長、チェキータ・デルフリンガー先生。もと宮廷魔道士団長で、今は引退してこの学園の長やってるかたです」
……思ったより大人物だった。
宮廷魔道士団といえば、この国最強の魔法使いの集まりじゃないか。
なるほど、道理で強そうなはずだ。
「で、その可愛い子ちゃんが、くだんの卵ちゃん?」
「あうう……」
ラビが俺の足にしがみついて、デルフリンガー先生から隠れる。
「ラビ、大丈夫だ。このお姉さんは恐い人じゃないよ」
「ほんとぉ~?」
「ああ。ほら、ご挨拶しなさい」
ラビがもじもじしながらも、しっかり相手を見て、頭を下げる。
「ら、らび……ラビなのです!」
「ハァイ、ラビ。お姉さんはデルフリンガー。デルフ先生でいいわ。よろしく♡ しっかり挨拶できて、えらいわねー♡」
デルフ先生がラビの頭をなでる。
最初は警戒していたラビだが、なでられてると、次第に笑顔になって警戒心を解く。
「さ、立ち話もあれだし、どうぞ。学園を案内するわ」
デルフ先生自らが、案内してくれるみたいだ。いいのだろうか。偉い人だろうに。
「いいのよ。お姉さん、興味あるのよね、この子……とんでもない才能の卵だから」
「わかるんですか?」
「ええ。伊達に長く生きてないわ。その経験から行くと……この子は、100……ううん、500年に一人の逸材」
! ソンなレベルで……。
「かも♡」
「なんだ」
「でもまあ今日でわかると思うわ。ついてらっしゃいな♡」




