122.善人、嫁たちと温泉に入る
いつもお世話になってます!
ある日の夜。
俺は嫁たちとともに、裏庭の竜の湯へと、やってきていた。
脱衣所の前でみんな別れた。俺は男用の、嫁たちは女用ののれんをくぐった……。はずだったのだが。
「あ、コレット。そのブラとっても可愛いですねっ!」
「ふふっ、でしょう? ジロくんを悩殺するために、クゥちゃんのところから取り寄せたんだ」
「いいなぁ。今度そのブラ貸してくださいよ。わたしもジロさんをメロメロにしたい!」
「ふはは、断る。これは私専用の、ジロくん悩殺ブラなんだからね」
……俺の右隣で、エルフ嫁と、元・受付嬢とが、そんな会話を繰り広げ、
「桜華ってほんとうに胸おっきいわね……。アタシも桜華みたいにおっきくなれるかしら……?」
「……心配しなくても、アムも十分に大きいです」
「桜華に言われると凹むわ……」
「……だいじょーぶです。成長期ですもの。すぐに大きくなります」
「そ、そうかなっ……!」
「……はいっ」
左隣で、猫獣人と鬼族女性が、裸身を惜しみなくさらしている。
みな男が隣にいるというのに、普通にブラウスを脱いでるし、普通にショーツ一枚の姿になっている。
「あの……みんな?」
「「「?」」」
俺は嫁たちに声をかける。彼女たちが俺を見やる。
「ここ、男の脱衣所なんだけど?」
俺の言葉に、嫁たちがだから何、みたいな顔で首をかしげる。
「いやだからね、ここは男用だから、向こうの女用の脱衣所にいってくれな」
すると……。
「良いじゃないですかっ!」
マチルダが元気よく手を上げる。ばるんっ、と乳房がまるでボールのように躍動した。今彼女はブラウスのボタンを全部あけてる状態だ。
ブラウスの隙間から緑色の清潔感のあるブラがのぞく。
「いや良いじゃないですかって……」
「だってわたしたちジロさんの恋人だったり、お嫁さんなんですよね? 何度も裸を見た仲ではないですか?」
「いやまあそうだけど」
「なら! 今更裸を見られてきゃーみたいなことには、なりません! だから一緒にお着替えしても……大丈夫です!」
マチルダが半裸の状態で、俺の腕にしがみつく。谷間に腕を挟まれる。身じろぐたび弾力ある乳房が、俺の肌をこすりあげて気持ちが良い。
「それともわたしたちと一緒じゃ嫌ですか?」
潤んだ目で、マチルダが俺を見上げてきた。
「いや、そんなことないよ。けどみんなは嫌じゃないのか? ブラとか見られて」
嫁たちはクスッ、と笑って首を振るう。
「そんなわけないでしょう、ジロくん」
「そーよ。他の知らない男ならぐーで殴るけど、あんたなら別にいいわ」
コレットとアムが、微笑みながら言う。
「むしろじっくり見てもいいだぜ。ジロくんがエッチな気分になってくれるように選んだブラですぜい。どうどう?」
下着姿のコレットが、前屈みになって俺にいう。重力によってその大きな乳房が、乳牛のそれのように垂れ下がる。
たぷたぷと音を立てる乳房は、ピンク色のシルクのブラに包まれていた。白い肌にピンク色が良く栄える。
「……コレット。そういう聞き方はどうかなって思います。ハシタナイ、です」
桜華がたしなめるが……。
「あらそう? 私ハシタナイかしら? えー、でも桜華はもっとスケベな下着をはいてるような気がするんだけどなぁ」
コレットが素早く、鬼母の背後に回る。がばっ! と上着をはぎ取り、桜華がその爆乳をさらす。
「こ、コレットっ」
コレットが素早く、桜華からブラをはぎとって、俺の元へやってくる。
「旦那旦那。桜華は真っ赤でスッケスケなえっちい下着を着てますぜ」
コレットの持っているのは、桜華のブラだ。布地が透けて、コレットの手がしっかりと見えている。
これ……下着の役割をなしてないだろ。身につけたら普通に、見えると思うんだが……。その、蕾とか。
「もうっ! もうっ! コレットはいぢわるです……」
桜華が顔を真っ赤にして、コレットからブラを奪う。俺と目が合い、かぁ……っと頬を染めて、その場からそそくさと逃げる。
「ごめんね桜華。ちょっぴりじぇらっちゃって」
「……じぇら?」
「嫉妬したという意味じゃよ」
コレットが謝ると、桜華が「もう……」と恥ずかしそうに良いながら、しかし許していた。
「まあみんなが色々言ったけどジロー。別にかまわないだろ? 一緒に着替えたって」
「まあ……みんなが良いっていうなら」
嫁たちは気にしてないようだった。なら俺もまあ、向こうが気にしてないのなら良いか。
俺も嫁たちも、服を脱ぎ出す。普段は見えない、美少女たちの真っ白な背中とか、うなじとか、ヒップラインに目が奪われそうになる。
すると、ぺろんっ、と先輩が、俺のあれを、手でなめるように触ってきた。
「ど、どこ触ってるんだあんた……」
「ジローはムッツリだね。こんな美少女たちに囲まれて、本当はうれしいくせに。固くなってるじゃないか?」
見た目10歳くらいの少女が、くす……っと妖しく笑う。
先輩の申告に、
「やった♪ ジロさんがわたしで興奮してくれましたっ」
マチルダが喜々とした表情になる。
「ははは、何を言ってるのかねマチルダくん。私のえっちなブラでムラムラしてくれたに決まっているじゃあないか。ねえジロくん」
コレットが真顔で俺に問うてくる。目が……目が怖いよコレット……。
また諍いの火が燃え上がりそうだったので、
「え、えっと……。とにかく着替えて、早く風呂行こうな。風邪引くし」
俺はそそくさとタオルを腰に巻いて、脱衣所を離れる。俺がいると嫁たちが俺を巡って争い出すからな。特にコレットとマチルダは。
いったん距離を置いた方がいいときもある。
さておき。
俺は竜の湯へとやってきた。吹雪はやみ、今は良く晴れた夜空が広がっている。
ただ気温はびっくりするほど低い。立っているだけで体が芯から震えてくる。肌がぴりぴりと冷たさで痛む。痛い。
俺はさっさと湯船に入るため、身体を洗おうとする。
シャワーの前に座り、さて……とスポンジに手をかけた、そのときだ。
「じーろさんっ! 不詳このマチルダ! ジロさんのお体をあらってもよいでしょういか!」
にっこにこしながら、マチルダが俺の隣に腰を下ろす。体にはタオルを巻いていた。胸がタオルを押し上げて、ぷっくりと膨らみができてる。
「え、いや……悪いよ」
「いやいや悪くなんてありません! むしろご褒美です! わたしにあらわせてください!」
マチルダが笑顔で、スポンジを手にそう言う。
「ちょっと待ったぁ!」
脱衣所の方から、うちのエルフ嫁が、肩を怒らせながらやってくる。マチルダからスポンジを奪い取り、柳眉を逆立てた。
「もうっ、マチルダは目を離すとすーぐうちの旦那といちゃつこうとしてっ!」
「良いじゃないですか。ジロさんはコレットの旦那様かもしれませんが、わたしの素敵な彼氏でもあるんですよっ」
つんっ、とマチルダがそっぽを向く。
「ぐぬぬ……。ジロくんっ! 私が体あらってあげるよっ! 今ならコレットのお胸スポンジでこすってあげるけど、どうかね?」
コレットがパサ……っと体に巻いていたタオルを外す。俺の目の前に、彫刻と思うほど美しい裸身がさらされる。
呼吸するたび、震える乳房。その中央に咲く薄ピンクの蕾に目が奪われる。
「ジロさん! マチルダのおっぱいの方が張りがあってスポンジとしては優秀です! コレットの方が垂れてます!」
「おいこらマチルダ。どういうことかな? ケンカ売ってるのかなっ?」
きゅっ……っとコレットが目を三角形にする。
「違います。事実を述べてるだけです。わたしの方がほら、お肉がぱっつんぱっつんですよ? コレットのは重力に負けてます。わたしの勝ちです!」
「よし表に出ろ。久しぶりに切れちまったよ……」
コレットがマチルダの腕を引っ張って、隅っこの方へと歩いて行く。
「2人とも仲良くな……」
あの2人は、仲は良いのだが、そのぶんケンカが多いのである。
ケンカを止めようって思うけど、こういうのって横から口を挟まないほうが良いような気がするんだよな。ケンカするほど仲が良いって言うしな。
「ジロ」
「ん? どうしたアム?」
俺が身体を洗おうとしていると、赤毛の猫獣人が、すすす、と近づいてきた。
「その……ね。ジロの体あらいたいの。だめ?」
「良いのか?」
「うん」
「じゃあお願いしようかな」
「うんっ!」
アムがスポンジを手にとって、ボディソープを含ませる。ごしごし……と一生懸命に、彼女が俺の身体を洗ってくれる。
彼女が体をこするたび、「どう、痛くない?」「気持ちよくできてる?」と聞いてくるのが実に愛らしい。
大丈夫だよと答えると、うれしそうに、その猫しっぽがクネクネと動いた。
俺の隣に、紫髪の妖小人が座る。赤いフレームのメガネをとって、洗面所の上に置く。
「では私は桜華に身体を洗ってもらおうかな。頼めるかい?」
「……はい。ピクシー、さん」
先輩の背後に、長身の黒髪の乙女が立つ。人の頭よりも大きな乳房が、タオルによって包まれていた。胸が締め付けられて、ぶにゅっ、と柔らかい肉が、タオルからはみ出ている。
「私のこともコレット同様に呼び捨てでかまわないよ。私たち、ともにジローの女じゃないか」
「そう……ですね。じゃあ……ピクシー。お背中、おながししますね」
桜華は淡く微笑むと、スポンジにソープを含ませて、先輩の背中をこする。
先輩は子供のように小さい。なのでちょうど、桜華の乳房が、先輩の顔の高さまである。
「ふふ。どうだいジロー。彼女の胸が後頭部に当たってじつに気持ちが良いよ。君はこんな素晴らしい乳房を毎晩もんでいたんだね。羨ましい。ちょっともんでも良いかい?」
先輩が身をよじって、桜華の体に手を這わせる。
「……ひゃっ。だ、だめです……ピクシー。んっ、そんなふうに激しくしちゃ……」
「ほう、ほうほう。なんだい蕩けるような柔らかさだね。ほらほら」
桜華の豊満な体を、先輩がもてあそぶ。胸や下腹部を、ねっとりとした手つきで触る。そのたび桜華が艶っぽい声を上げる。
「……ジロ。なにあんたデレデレしてるの?」
アムが頬を補くらませて、きゅーっと太ももをつねってきた。
「いや、そんなつもりはないが……」
「ふん。どうせ、どーっせおっきな女の子のほうが、いいんだもんねっ。ごめんなさいねちっぱいで! ふんだ」
ぷいっとそっぽを向くアム。俺は彼女の赤髪を撫でる。
「そんなことないって。大きいとか小さいとか関係ないよ」
「そ、そう?」
「ああ。アムはアムで魅力的だよ」
「そ、そうかしらっ?」
ぴーんっ、とアムの猫しっぽが立つ。
「ああ。だからそんな気にすんなって」
「うんっ!」
くねくねくね、と機嫌良さそうに、しっぽがうごめいていた。
そうこうしながら、アムが体をきれいにしてくれた。シャワーで泡を落とす。
「ハッ……! 私たちが争っている間に、ジロくんが体を洗い終えてるわ!」
「あー! もうっ! コレットのせいですよ!」
コレットたちの悲鳴が聞こえる。それをよそに、同じく体を洗い終えた先輩が言う。
「じゃあジロー。風呂に入ろうか」
「そうだな」
俺が一足先に湯船に入る。いっきに疲れが吹き飛ぶ。心地よい暖かさが体を包む。冷たくなっていた指先が、じんわりと暖まり、溶けるような錯覚を起こした。
俺が暖まっていると、嫁たちが体を洗い終えて、湯船へとやってくる。
「ジロくんの隣は先生ですからね!」
「じゃあ逆側はわたしがっ!」
コレットとマチルダに、左右を挟まれる。二の腕に柔らかい乳房、張りのあるそれが当たる。別々の触感の乳房を同時に味わえて実に贅沢だ。
「では正面は私とアムが座ろう。背後は……」
「…………」
「桜華が背後に回りたいそうだ」
そんな感じで、俺は四方を、嫁たちに囲まれる。左右、前後に、女性の柔らかな肉体が触れる。とても心地よい。
そして女の子たちの髪から漂うにおいにくらくらとする。
それぞれが別々の甘いにおいがしており、それが5つも混じり合っているのだ。むせかえるような甘い香りに、俺は陶然となる。
そんな俺を見て、くす……っと先輩が笑う。
「ジロー。羨ましいね君。こんな美少女5人に囲まれて風呂に入るなんてね。……くす、ここもこんなになってるよ」
膝上に座る先輩が、俺の太ももの付け根のあたりをぺろん……っとなでる。
「ピクシー抜け駆けはダメよ?」
「そうですよ! 抱かれる順番はあとで公平にじゃんけんですからね!」
かーっ、と気炎を上げるエルフ嫁と元受付嬢。ふたりとも顔が整っているぶん、怒っているときの顔もまた絵になるから不思議だ。
先輩は18歳コンビを見て、くす……っと余裕ある笑みを浮かべる。
「こんな美少女たちが、喜々としてきみに抱かれたがってるよ。男冥利に尽きるってもんじゃあないか。なあジロー」
「そうだな。うれしいよ。俺みたいな冴えないおっさんのことを好きでいてくれて」
むしろ不思議なくらいだ。
だが嫁たちはと言うと、そうでもないみたいで、
「ま、ジロくんってば。そんなふうに自分を卑下しちゃだめよ?」
「そうですよ! ジロさんは全然、さえないおじさんじゃありません!」
「そうよ。とっても……その、か、か、かっこ……うん」
「……そうですよ。じろーさんは、たくましくて、素敵な殿方です……」
そうやって、笑ってうなずいてくれる。ありがたいことだ。彼女たちの好意に、思いに、俺はちゃんと答えてあげないとなと思った。
物思いにふけている……そのときだ。
「……ん、はぁ、はぁ……」
俺の背中に張り付いている、桜華の方から。なにやら熱い吐息が、耳をくすぐってくる。
密着している桜華の体が、上下、左右に、情熱的にくねる。最終的に、後からぎゅーっと、きつく抱かれる。
埋まる……。沈む……。乳房に、俺の体が沈んでいく……。生暖かな泥の中に、体が沈んでいくようだ。
包み込むのは、花の蜜をにつめたような、濃く甘いにおい。
「あー! 桜華! ダメですよ! それ抜け駆け行為ー!」
マチルダが注意するが、
「……ごめん、なさい。気持ちよくなって……からだが、とめられなくって……」
桜華の抱擁は、そして興奮は、増すばかりだ。もう熱でも出てるんじゃないかってくらい、顔が赤く、息も荒い。
「コレット! 協力してっ! 桜華がこのままじゃジロさんを食べ始めちゃいます!」
「わかったわ! もうっ、桜華。ベッドまで我慢なさい!」
ぐいぐい……とコレットたちが協力して、桜華を引きはがす。
「……やぁ。抱いてぇ……。抱かれたいのぉ……」
湯船の端へと、桜華が連行されていった。あとには先輩とアムが残る。
「やれやれ。この後が大変だね、ジロー」
「そうだな。でも慣れたよ」
すると膝腕で、アムが体をよじる。ぷりっとしたお尻が、膝の上で動く。
「じ、ジロ? ねえ、あたしのことも……その、あの……抱いて、な、なんでもないっ」
顔を真っ赤にして、アムが首を振るった。
「ん? ああ、大丈夫だよ。心配するな」
アムがパァッ……! と表情を明るくする。しかし、すぐにハッ……として、首を振るう。
「う、うんっ! あ、でも辛いなら良いわよ」
「大丈夫だって。こう見えても半年前よりは体力ついたんだよ」
「そうなの?」
俺が答える前に、先輩がニマリと笑って答える。
「そりゃあそうだろ。この半年間、あれだけたくさん女を抱いていたんだ。そりゃ強くもなるさ。なあジロー」
先輩がにやにやしながら、俺に話を振ってくる。
「その通りなんだが……。そういうの、人前で言わないでくれ」
「くす。おや恥ずかしいのかい? 体もこっちも立派になったのに、心は童貞みたいじゃあないか」
先輩が俺の胸板や腕を、つつぅ……っと指でなぞってくる。
「なあ今日の一番は私で良いだろ? きみに抱かれたくて体がうずくんだ。いいだろ?」
くるっ、と先輩が身を反転させる。俺の体を正面から見やる。物欲しそうに見上げてきた。
「「だめー!」」
コレットたちがザバザバと音を立てながら、俺たちの元へとやってくる。
「じゃんけんって言ったわよね!」
「そうです! 抜け駆け禁止っていいましたよねっ!」
憤るエルフ嫁たちを見て、先輩が余裕ある態度で返す。
「いやいや別に抜け駆けはしてないよ。ただ最終的にジローの判断じゃないか。彼がどの女を一番に抱きたいかは、彼次第だろ?」
「先輩……そうやってあおるのやめてくれって……」
たきつけられたコレットたちが、顔をぐいっと近づけてくる。
「ジロくん私だよねっ! あこがれの先生が一番だよねっ!」
「ジロさん! わたしの体、とっても抱きごこち良いですよ! ぴっちぴちで柔らかい体ですよ!」
その背後から、頬を真っ赤に染めた桜華がやってくる。
「……じろー、さん。わたし、もう切なくって……体が、おかしくなりそうなんです……。お願い……します」
みんなが俺に、濡れたような視線を向けてくる。体をうずかせ、頬を赤らめて、目を潤ませていた。
「わかった、わかったから。とりあえず風呂から出ような」
今夜も長くなりそうだなと、俺は思った。
書籍版11月15日発売です!
ついに明日発売となります!
頑張って書籍版かいたので、ぜひお手にとっていただけると嬉しいです!
また、明日の更新ですが、二度更新します。
お昼頃に、書籍化記念のSSをあげます。こちら店舗特典のSSのサンプル(こんな感じのSSがつくよという意味)になってますので、購入する際の参考にしてください。
その後、夜に普通に本編をあげます。
ではまた!




