116.善人、エルフ嫁に体を暖めてもらう
いつもお世話になってます!
子供たちから相談を受けた、その日の夜。
深夜。吹雪の勢いが収まってきた頃を見計らい、俺は外に出て、雪かきをしてきた。
雪かきを終えて、孤児院の中へもどる。
「ふぅ……」
孤児院の中は、外と違って温かい。
早く戻って寝よう……と思った、そのときだ。
「ジロくん。お疲れ様」
ガラス戸の近く、1階ホールにて。
ソファに座っていたエルフ少女が、立ち上がって、ニコッと笑いかけてきた。
「コレット……。まだ起きてたのか?」
「うん。頑張ってお仕事しているジロくんより先に、奥さんが寝てるわけにはいかないもの」
「寝てて良かったのに。ありがとな」
1時間ほど前。
俺がベッドから抜け出そうとしたところを、このめざといエルフ嫁に発見される。
何をするのか聞かれて、雪かきをするのだと答えた。コレットは自分も手伝うといったのだが、俺はありがたくもその申し出を固辞した。
「ごめんね、ジロくん。1人に任せちゃって」
「気にすんな。俺が自分で言ったことだからな」
勢いは弱まっているとはいえ、外は吹雪いている。そんななか、女の子を外に出すわけにはいかないからな。
「ジロくん……」
コレットは目を潤ませると、俺に抱きついてくる。大きな乳房がぎゅっと押しつけられた。
寝間着を押し上げるほどの大きな胸。それは俺の胸板にあたり、いやらしく、そして柔らかくひしゃげて、形を変える。
「ありがとう。本当にジロくんは、優しいひとに育ってくれたわね。先生とっても嬉しいわ」
「そう言って貰えると光栄だよ、先生」
俺たちはクスっと笑い合う。
「もう、ジロくんってば。私はもう先生じゃないんだけどな。お嫁さんなんだけどなっ」
「そうだったな。すまんコレット」
「うむ♪ 許しましょう」
さておき。
「寒い中お疲れ様、ということで、ジロくんのために、コーヒーを作ろうと思います」
俺はホール内にあるこたつに足をツッコむ。コレットが暖房と、そしてこたつの電源をつけてくれていたので、実に温かい。
「そんな、悪いよ」
「いいえ。寒い中がんばってくれた旦那様なんですもの。それくらいのご奉仕はさせて。ね?」
だめ? とコレットが不安げに表情を曇らせる。俺1人に寒い中作業させて、申し訳なさをだいぶ感じているようだ。
「そうだな。じゃあ頼もうかな」
「ええっ! ちょっと待ってな。今超特急でコーヒー作ってきたやんよ!」
そう言って、コレットが立ち上がり、ホールの壁側に移動。
漫画や絵本の詰まった本棚の隣に、背の低いテーブルが置いてある。その上に、一台の小さな【マシン】が置いてあった。
「今日は私がジロくんのために、このコーヒーメーカーくんを使って、温かいコーヒーを入れてやるんだぜ!」
そこにおいてあるのは、俺が複製スキルで作ったコーヒーメーカーだ。
500のペットボトルくらいの、小さな機械だ。赤い塗装がされて、全面はくぼんで、そこにカップを置くスペースがある。
「コレット。使い方わかるか?」
「だいじょうぶ! ジロくんに前に教えてもらったもの。大丈夫だよ」
真剣な表情で、コレットが横に積まれていた紙コップを取り出す。
「このくぼみにカップをセットして。真ん中の電源ボタンを押す」
むむむ……とおそるおそる、コレットが中央の電源ボタンを押す。
「あとは一番上のボタンを押せば、自動的に温かいコーヒーが作れる……んだよね?」
コーヒーメーカーの使い方は、すでにコレットにレクチャー済みだ。
コレットには俺が作ってコーヒーを出したことがある。だがその逆は今日が初めてだ。
「大丈夫? 爆発しないかしら?」
エルフ耳をぺちょんと垂らし、不安げに俺を見るコレット。
「大丈夫だよ」
「うん。ジロくんがそう言うなら安心だね。よーし! えいやっ」
ぽちっ、とコレットが作成ボタンを押す。
うぃーんうぃーん、ががががごごごごご……。
音を立てながら、紙コップ内を、温かいコーヒーが満たしていく。やがて音がやむ。
コレットが紙コップを取り出して、俺の元へ駆け寄ってくる。
俺の真横に正座して、
「どうぞ!」
と紙コップを差し出してきた。
「ありがとう」
コップを受け取ると、手のひらに熱さが伝わってくる。
コレットがエルフ耳をぱたぱたさせている。早く飲んで欲しいなと思ってるらしい。
俺はコップに口をつけて傾ける。温かい液体が口の中、のどの奥へと滑り込む。
胃の奥からぽかぽかと体が温められる。
「どうかな?」
「とってもうまいよ」
「それに私の作りっぷりはどうだった? どうだった?」
パタタタタッ! とコレットがエルフ耳を羽ばたかせながら、俺に期待のまなざしを向けてくる。
「完璧だ。言うこと無しだよ。ばっちりだ」
「~♪」
コレットがふにゃっと笑って俺に抱きついてくる。
「寒さに震えるジロくんや。もっと温かくなる方法があるんだけど、試してみるかい?」
コレットがウズウズしながら、俺を見上げてくる。
「そんなことできるのか?」
「もちろんさ。コレット先生にお任せあれ」
ふふん、とコレットが自信満々にうなずく。
「それじゃあ……お願いしようかな」
「うんっ♪ りょーかい」
コレットはそう言って、
「えいっ♪」
と俺を押し倒してくる。
俺はこたつに足をツッコんだ状態で、仰向けに寝る。
コレットは俺のコートや上着をはぎ取る。シャツさえもはぎ取り、俺は上半身裸になる。
彼女はにっこりと笑う。自分の身につけてるものを脱いで、裸身をさらす。
「えーい♪」
上半身裸同士の俺たち。コレットが俺の体に覆い被さり、抱き合う。
「コレット先生の肉布団ですよ。暖かな私の贅肉に暖まってください♪」
眼前にコレットの、白く柔らかそうな乳房がある。彼女が動くたび、ぐにゅぐにゅといやらしく形を変える。
玉のような肌が、俺の素肌をこする。吸い付くような肌の感触と、たっぷりと肉の付いた乳房の感触を、俺の胸の上で感じる。
「どうかねジロくん。温かい?」
「ああ、とっても温かいよ」
下半身はこたつによって。上半身はコレットの人肌により、俺の体は温められる。
眼前にあるのはコレットの美しい顔。きれいな金髪からは、果実のような甘い香りがただよってくる。
「あんっ♪ もー、ジロくんあんまり動いちゃいけませんよ」
「すまん、バランスを保つのが難しくてな」
俺とコレットの体の間には、彼女の大きな乳房がある。胸の間にボールを敷いているような状態なのだ。
バランスが崩れるのは必定。彼女が動くたび、こりこりとした感触ともに、コレットの甘い声がもれる。
くねくね、とコレットが白い体をくねらせる。
「ジロくん。どう? 私の贅肉布団の心地は?」
「最高としか言えないな。嫁さんのかわいい声つきで最高だよ」
「ま、ジロくんってばおじさんっぽいわ」
「そりゃおじさんだからな」
「ふふっ♪ そんなことないわ。ジロくん髪の毛ふさふさだし、体つきもしっかりしてるし、全然おじさんっぽくないもん」
「そうかな?」「そうだよっ」「ありがとな」
胸の中で丸くなるコレットの頭を、よしよしと撫でる。
「ふふっ。ジロくんの体あったかいなぁ♪ すんすん……汗のにおいも素敵♪」
「その言葉、そっくりコレットに返したいよ」
春の日差しに良く干した布団のように、コレットの体は温かい。
乳房からはミルクのような、髪の毛からは蜂蜜のような、ふたつの甘いにおいが混じり合って鼻腔をくすぐる。
「少しは暖まってくれた?」
「十分すぎるくらいだよ。この布団、優秀すぎるな」
「ほほほ。ジロくん専用のお布団ですよ。世界でただ1人、ジロくんにしか使えないんだからね」
にこーっとコレットが笑う。
そうだよな。こんなキレイで美人のエルフは、この世にふたりといない。そしてこの子の旦那は俺ひとりなのだ。
「ジロくん。もっともっと体が温まる方法、先生知ってるんだけど、知りたいかね?」
「本当か? 現状でも、これ以上ないくらい温かいんだが」
「こんなもんで満足してもらっては困るねっ。先生の全身全霊を持って、夜1人で頑張ってくれたジロくんを暖めてあげたいなー」
コレットが物欲しそうな目を俺に向けてくる。
「そうだな。じゃあお願いしようかな」
「ふふっ♪ じゃー知りたいのなら、ちゃんとおねだりしてもらいたいなー?」
くすくすと笑いながらコレットが言う。
「コレット先生。俺に教えてくれないか?」
「うんっ♪ りょーかいっ♪」
コレットはそう言うと、俺のズボンのベルトをかちゃっと外す。そういうことか……とすぐに俺は察する。
俺はコレットのパジャマのズボンを脱がす。薄ピンク色のショーツを、俺の手でするすると下げる。
手にあたるのは、驚くほどピチピチとした肌の感触だ。若い肌は、本当に手のひらにすいついてくる。
コレットも俺も、全裸になると、そのまま互いの唇を貪る。
こたつに入ったまま、体を重ね、互いの体を貪ると……汗びっしょりになる。
その後ふたりで内風呂に入って汗を流したあと、ベッドに潜りこむ。
コレットと抱き合いながら目を閉じると、さっきまでの寒さはなく。温かい心と体で、眠ることができたのだった。
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ではまた!




