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【完結】善人のおっさん、冒険者を引退して孤児院の先生になる 〜 エルフの嫁と獣人幼女たちと楽しく暮らしてます  作者: 茨木野


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113.善人、マチルダと子供たちと温水プールに入る【後編】



 かくしてプールに入る前に、よく体操する。


「いっちにっさんしっ!」

「おー、まちるだ。おっぱいバインバインだな!」


 子供たちの前で、マチルダが体を動かす。

 若々しい体をかがめたり伸ばしたりすると、その大きな乳房が縦横無尽に、鞭のようにしなる。


「良く跳ねるボールみたいなのです!」

「まちるだ、ホルスタイン。羨ましい」


 はわーっと子供たちが、羨望のまなざしを、マチルダに向ける。


「えへへっ♪ そうかなっ。ねえねえジロさん、そうですかっ?」


 輝くような笑顔を、マチルダが俺に向けてくる。


「あ、ああ……。そうだな……。凄いと思う……ぞ」


 言って、反省する。


「……すまん、セクハラだったな」

「とんでもない! むしろご褒美です! ジロさんにわたしの胸を見て貰えて、とっても嬉しいです!」


 マチルダが俺に笑顔を向ける。笑うとえくぼができて、それがまた愛嬌があり可愛いなと思った。


 体操を終えた後、


「ではしょくん。プールに入るぞよ」

「「「おー!」」」


 コンがゴーグルを装着すると、


「ではみーが先陣を切ろう」

「いや! ぼくが!」

「れいあが1番に決まってるじゃない!」


 コンが先陣を切って、ぴょんっ、と水の中に入る。その後にキャニス、レイアと続く。


「あうう……。お水こわいなぁ……」


 ラビがモジモジとしていた。


「ラビ、おいで。一緒に入ろう」


 俺が言うと、にぱっとラビが笑顔になって、俺に抱きついてくる。


「にーさん! えへへっ♪ にーさんが一緒なら怖くないのですっ」


 ラビを抱っこしながら、俺は水の中に体をつける。


 腰よりややしたくらいまで、温水が浸かる。足を包むのは、温泉よりもぬるいが、しかし、


「おめーら! すっげーぞ! マジですげえあったけーぞー!」


 キャニスの言うとおり、温かいのだ。


「おー……ぅ。ほんとー……ぉだ。体ポカポカだぁ」

「姉貴。ほんとにあったけえな!」


 鬼姉妹もニコニコしながら、水の上に浮いている。


 俺はラビを抱っこして、腰のあたりまで沈める。


「はわわっ! あったかいのですー!」


 ラビがホッ……と安堵の表情を浮かべていた。冷たいと感じなくて良かった。


「ふしぎだー……ぁね」

「ダネフシッ!」

「コン、またおめーよくわかんねーこといってんな」


「ふふ、ネタが滑ってもめげない、しょげない、泣いちゃダメ。どうもざわざわ森のコンちゃんです」


 子供たちがぷかぷか浮かびながら、コンとキャニスのやりとりを、ニコニコしながら見ている。


「ンなことより泳ぐぞ!」

「おにごっこするじゃない!」


 キャニスとレイアが、ばしゃしゃしゃ! と泳いで、その場から離れていく。


「ラビちゃー……ん。一緒におよごー……ぉ」


 赤鬼姉妹も、こいこいと手招きする。

 

 子供たちは夏のプールの授業で、だいぶ泳げるようになっているのだ。もちろんラビも泳げる。


「あやねが呼んでるぞ。ほら、行ってきなさい」

「うんっ!」


 俺が手を離すと、ラビは鬼姉妹の方へ向かって、すい~っと平泳ぎで向かう。


 あの子は結構、水泳が上手いのだ。


「食らえ水鉄砲!」

「あまいわ! 水噴射!」

「ふふ、あまいよふたりとも。はいどろぽんぷー」


 アウトドア組が、水の掛け合いをしてる。

「誰が1番ぷかぷかできるか、競争しようぜ」

「いいねー……ぇい」

「うんっ! らびがんばるぞー!」


 アウトドア組も、プールを楽しんでいた。

 俺が子供たちの様子を見ていた、そのときだ。


「じーろさん♪」


 背後から、マチルダが抱きついてきた。


 ぐんにょり、ととんでもない張りの乳房が、俺の背中をグイグイと押す。


 こり……っと何か固いものを感じて、マチルダが甘い声を出した。俺は少し離れて、背後を振り返る。


「マチルダ……」

「えへへっ♪ どですか、マチルダの成長したおっぱいは!」


 グッ……! とマチルダが顔のまで拳を握りしめる。


「マチルダ。あんまり女の子がおっぱいとか言ったらダメだぞ。もう大人なんだから」


「はいっ! えへへっ♪」


 マチルダが笑顔で、俺の体に正面から抱きついてくる。ぐにぐに、と生暖かな、しかし柔らかい乳房を、惜しみなくくっつけてきた。

 

「ジロさんが注意してくれて、わたしとっても嬉しいです! それに注意の仕方も優しくてほんと大好きです!」


 至近距離で、元受付嬢の美少女が笑みを浮かべる。ぱっちりまぶたに、丸顔。キレイでありかわいらしさも兼ね備える18歳の少女。


 そんなかわいい女の子が、俺のことを好いてくれている。


「ありがとな。俺も好きだよ」

「~~~~~~~!!!」


 マチルダが胸を押さえて、ぷるぷると震える。ややあって、ぶばっ、と息を吐き出す。


「プハッ……! はぁ……はぁ……。どうしよう、幸せすぎて呼吸が止まりました!」


 えへへ、と笑ってマチルダが言う。


「死なないでな。マチルダがいなくなったら悲しいよ」


 俺は彼女の頭を撫でる。マチルダは気持ちよさそうに目を閉じていた。


 撫で終えると、夢見心地だったマチルダが、目を開けて宣言する。


「わっかりました! わたし、もうジロさんのそば絶対に離れません! 死ぬまでずぅっとジロさんのおそばにいます!」


「ありがとう。そう言って貰えてうれいしよ」


 マチルダがすいっと俺の隣にやってきて、腕にしがみついて尋ねる。


「それでジロさん。このプールってどうなってるんですか?」


「前に外のプール作っただろ? 構造はあれと一緒だ」


「確かマジック蛇口で水槽に水をためて、【消毒滅菌オートクレーブ】で消毒しているんですよね?」


 光魔法【消毒滅菌】。


 範囲内の微生物、汚染物質を消毒、滅菌する回復魔法の一種だ。


 マジック蛇口は水魔法と蛇口とを複製合成(一緒に複製すること)して、ひねると水が無限に出る蛇口のこと。


「ああ。基礎構造は一緒だ。冬でも入れるように調整してある」


 水槽に水をためて、水槽は水のしみこまないよう【固定化】の魔法をかける。


 排水溝と、入水部分などのという基本的な同じだが、温水プール用に少し手が加わっている。


「このプール……温水プールって言うんだ。外のプールと違って、蛇口から直接水が送り込まれてないんだ」


 俺はマチルダとともに、水槽に端っこまでやってくる。

 

 そこから温かい水が、絶え間なく水槽に送りこまれていた。


「いったん水をためておく場所を作って、そこで【加熱ヒーティング】の魔法を使い、水温を上げたものを、水槽にでるようになってるんだ」


 サイドの壁の奥に、その機構があるのだ。

「なるほど……。除雪パイプと原理が近い感じなんですね」


 除雪パイプの場合は、パイプに【加熱】の魔法をかけて、そこに普通の水を通すことで温水を作っている。


 基本設計は同じだ。というかそこから流用したのだ。


「そう。そしてここで使った排水は、そのまま外の除雪パイプから出て再利用できるようになっているんだ」


 排水をただ捨てるのではもったいないからな。


 排水溝から外へ向かってパイプが伸び、それが道路の除雪パイプへと接続されている。

 

 道路の雪を溶かし、排水もできるので一石二鳥だ。


「なるほど! 水を有効活用できるんですね! さすがジロさん! 頭良いい!」


 マチルダが笑顔を向けると、俺の肩にぎゅーっとしがみついてくる。


 ぐにょぐにょ、と軟らかい肉の感触と、生暖かな温度が実に気持ちいい。


「ありがとう」


 俺はしばし、子供たちが水泳する姿を、マチルダとともに見守る。


「冬にも水泳の授業ができていいですね」


「ああ。外に出ないでできる遊びはどうしても限られて、飽きちゃうからな」


「キャニスちゃんたちの健康を考えてるんですね! えへへっ、ジロさんは本当に優しい♪ だいすきっ♪」


 マチルダが俺の顔を両手で包むと、自分からキスをする。

 

 ちゅっ、ちゅっ、とついばむようなキスだ。素早く顔を離して、えへへと笑う。


「職員のみんなも使って良いからな」

「はいっ!」


 すると……。


「おにーちゃん! 水泳で競争しよーぜー!」


 とキャニスが俺に声をかけ来た。


「良いね。みーもバトルしたい気分。バトルしようぜポケっとバトル!」


「みんなで競争よ! まっ、れいあ負けないからね!」


 そんなふうに、プールで運動をしたのだった。

書籍版11月15日発売です!


Amazonその他でも予約受付中です。よろしければぜひ!買っていただけると嬉しいです!買ってくださいお願いします!


ではまた!

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