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5-1 邪王降臨の序章

前回までのあらすじ!


ついに「邪国」がエレメント魔人国に攻めてきた!


やつらは西の大陸からテンペストウルフに乗ってやってきてるらしい。


何か聞いた事あるようなないような。


めっちゃつまらん短編エッセイ書いてる場合じゃない! ← イマココ!


 建国したサイド=ネイル1世は用兵の天才だったらしい。惜しむらくはその才能が開花したのが彼の晩年に近かったという事と、建国当時の国力では大陸に覇権を唱えるなど到底無理だったというところである。今日においてネイル国はその国力を大きくする事に成功はしたが、イレクト将軍の暗殺とともに衰退の道をたどり、ネイル城周辺のもともとの国土にまで追い詰められてしまっていた。しかし、ここには祖先の血を色濃く受け継いだ若き王がいた。サイド=ネイル12世である。




「西の大陸・・・?テンペストウルフ・・・?」

 うぅ・・・なんだ、このモヤモヤ感は。本当に重要な事を忘れているような気がする。しかし、今は忙しくてそれどころではない。

「エレメント魔人国の先陣は突破されたようだ。ブルーム=バイオレットの遊撃隊もほぼ殲滅されたとの情報が入っているぞ。ブルーム=バイオレット本人はヘテロ殿が助け出したみたいだな。完全に囲まれた状態で召喚騎士団第5部隊の面々がワイバーンでできる限り脱出させたみたいだ。100名程度は残っているか?さすがなのは、その場に取り残されて死んでいくだけの兵が誰一人文句を言わずに若い部隊員とブルーム=バイオレットを無理やり脱出させたという美談が出来上がっているところだ。実際はどうだったんだろうな。」

 第5部隊には損害がでていないようだ。気づいたら取り囲まれていた状態だったようで、空からの脱出は容易であったみたいである。まだ、ヴァレンタイン王国が加勢している事に気付いていなかったか?しかし、これで完全にばれてしまっただろう。

「しかしブルームの遊撃隊を完全に罠にはめるあたり、用兵術では向こうに分がありそうだ。ヘテロ殿も自分で指揮していれば囲まれるなんて事がなかったかもしれんが、それでも彼が阻止できなかったという時点でかなりの指揮能力を持った将軍がいるに違いない。てっきりミランダが出てくるものだと思ったんだけどな。これではイレクトの再来とか言われてそうだ。」

 昨年の戦いの記録を読みながらオクタビア様が作戦を練っていく。この人は新領地の領主として据え置かれるだけでなく、きちんとヴァレンタイン王国の尖兵としての役割も果たせる人だという事が確認できてうれしい限りだ。

「よし、ロラン殿やフィリップ殿も交えて検討しよう。」

 そしてシルフィード領やレイクサイド領との連携も積極的に取る事ができる。本当にエジンバラ領の次期当主だったのか疑問が出るほどである。



 エレメント魔人国を強襲したネイル国は、すでに北のリヒテンブルグ国との同盟を成り立たせていた。

「奴らは理解できん事が多いな。だいたい、同盟を組むと私自ら訪問してやったというのに魔王が出てこないではないか。あの四騎将は我が国との同盟を勝手に組んでも大丈夫なほどに権力を与えられているというのか?」

 サイド=ネイル12世がこれほどまでに感情を表に出すことは珍しかったが、最近になって感情豊かな表現が増えている。主に不快を表す表現であるが。

「王よ、結果だけを見れば同盟も成り立ちましたし、問題ございません。それに奴らの騎兵部隊を借りる事ができたというのは大きいです。」

「分かっておる、ミランダよ。兵にとっては先日までは恐怖の象徴だったものが味方となるのだ。士気も上がろう。せいぜい活用させてもらうとする。」

 実際、エレメント魔人国の先陣を突破するのにリヒテンブルグ国の騎兵は大いに役に立った。本来であれば塞がれるほどの堅固な陣であっても打ち破る突進力は、敵の予想を大きく上回ったようである。本陣を突いてこようとしていた遊撃隊も完全に包囲する事に成功し、殲滅した。しかし50頭程度のワイバーンがそこから脱出したと報告を受けている。ヴァレンタイン王国がエレメント魔人国に加勢していた可能性が高い。であれば、考え直さねばならない作戦も増えてくるが、これが決定的な決戦の前に分かったという事は大きかった。

「あの規模の遊撃隊は一朝一夕で再編成できるものではない。あるとすればヴァレンタインからの援軍だけだ。奴らは召喚魔法で空を飛べるからな。十分に対策を練っておく必要がある。」

 2万5千のネイル国軍はエレメント魔人国に深く楔を打ち込む形で進軍中である。今のエレメント魔人国にこれに対抗できるほどの兵力があるとは思えない。トバン王国からも侵攻を受けているはずなのである。

「やはり、問題なのはヴァレンタインの戦力の把握だな。」

 ヴァレンタインがどれだけの精鋭をそろえて来ようとも数の力というのは非常に大きい。戦力差が完全に把握できてしまえば奇策が取りにくい戦場を設定するだけで勝つ事ができるだろう。

「斥候を放て。普段の3倍の数だ。今は情報が欲しい。」


 サイド=ネイル12世は生涯にかけて戦場で後れを取る事はなかったと言われている。祖先と同じく、補佐する人間と国力に恵まれなかったためにネイル国はこれ以降も大陸に覇権を唱えることはなかったが、少なくとも彼が指揮した戦争での負けは記録されていない。唯一、「邪王」シウバ=リヒテンブルグに蹂躙された「エレメント平原の戦い」を除けば。



「「邪国」にやられていたと思われてたネイル国がこれほどの戦力を維持していたとは驚きだな。首都を包囲までされたんだろ?」

 ヴァレンタイン王国カヴィラ領。ネイル国のエレメント魔人国侵攻に時を同じくして東からトバン王国の2万の軍勢の侵攻があった。予想されていた事態とはいえ、ネイル国の軍勢が多いという事と、「邪国」がそれに加わっている事、エレメント魔人国の国力回復が間に合わず総勢2万を集めるので精いっぱいであった事、ネイル国との最初の衝突でブルーム=バイオレットの遊撃隊がほとんど殲滅させられてしまった事など、事態は急を要している。このまま放っておけばエレメント魔人国の滅亡は確定しているためにヴァレンタイン王国としては何かしらの手を打たねばならない。

 作戦会議には宰相ジギル=シルフィード、レイクサイド領主ハルキ=レイクサイドまでもが参加していた。この2人を前にするとさすがに自領地とはいえオクタビア=カヴィラの発言権はかなり下がってしまう。国の存亡にも関わる作戦となるために、本来であればアイオライ王が混じっていてもおかしくない作戦会議であった。

「本来であれば各個撃破が理想ではあるんだが・・・。」

 ジギル=シルフィードが懸念しているのは完全に同時期の侵攻であるために各個撃破が物理的に不可能である点である。であれば一か所に固めて叩くというのもありなのであるが、そうすると総勢5万を超す軍勢を相手にしなければならない。

「とくにネイル国を率いているのがサイド=ネイル12世本人であるという事と、「邪国」の援軍が加わっているのが問題だ。どれほどの力を持っているのか全く情報がない。」

「ジギル殿。どちらにせよ各個撃破は無理だ。であれば戦場を定めて迎え撃つのが現実的だろう。最悪はエレメント魔人国を見捨てるつもりでいなければならない。」

 ハルキ=レイクサイドは覚悟を決めたようだ。

「しかし、どこで迎え撃つというのだ?」

「帝都ぎりぎりまで下がらせよう。帝都の北には平原がある。ここなら全軍が対峙できそうだ。」

 ネイル国軍とトバン王国軍の侵攻ルートから言っても、そこまで下がれば片方だけを相手する必要はなさそうである。

「これが3国の同盟による同時侵攻であるならばもはや何もできない。この平原で総力戦だ。逆にネイル国とトバン王国の間に亀裂があったとしたら、お互いに潰しあってくれるかもしれない。そして、それを狙ってみるのが最もこちら側に損害が少なくて済むだろう。まあ、期待はできないが。」

 そしてハルキ=レイクサイドの命を受けた召喚騎士団第2部隊がネイル国とトバン王国の離間を仕掛けに向かう事となった。



「シウバ。ナノを貸してくれ。」

 出立前にアレクがやってきた。

「少しでも魔人族の協力が欲しい。危険な任務であるから命の保証はできんが・・・。」

「シウバ様、俺は大丈夫です。」

 ナノもこちらに来てだいぶ慣れてきたところだ。純人に対して仲間意識も芽生えている。

「分かった、だが無茶はするなよ。」

「はいっ!」


 こうしてヴァレンタイン王国はネイル国とトバン王国の離間を画策した。俺たちはオクタビア様の護衛を継続する事となり、カヴィラ領の騎士団はレイクサイド領とシルフィード領のそれぞれの騎士団とともに帝都エレメントへ向かった。



「おい、マジェスター。俺、何か大切な事を忘れてる気がするんだけど。」

「シウバ様!もしかして、ユーナ様へのプレゼントでダイヤモンドリザードを獲りに行くって言っておられた件ではないでしょうか!?」

「それじゃないけど、それも重要だ!!やっべぇ!忘れてた!ユーナ、欲しいって言ってたもんな!リオン殿ももらってたからって!」

「どうしましょうか!抜け出しますか!?」

「いや、さすがにまずいだろ・・・しかし、どうしよう・・・。」

「・・・諦めますか?」

「・・・ほ、保留で。何か言われたらその時点で獲りに行こう。」

「・・・・・・。」


どうせ、これから邪王降臨までできる限り引っ張るんだろうって?その通りだ!悪いか!?



え?邪王の説明の時にハルキ=レイクサイドと一騎打ちしたって書いてあるって?


・・・・・・「編集」機能ってのがあってだな・・・。え?ダメ?


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