4-4 買い物好きエリナ
恒例の2話同時投稿!
もう1話にまとめてUPしろよな!って?
それはできねえ相談だ!なんとなく!
そして前回までのあらすじ!
・・・前回をまだ読んでない人は回れ右だ!
氷の世界をさまよう一向。
そして気を抜いたシウバを襲ったのは自然の猛威だった!
痕が残らなくて良かったね!
第3階層を探索するようになって数日が経った。ウォームの魔法を切らさなければ十分に時間をかける事ができる。第2階層よりも魔物は少ない。特にアイスリザードという小型の魔物と、グレーテストホワイトベアー以外にいないというのも助かる・・・が、あの白いクマさんが結構な数いるのはいただけない。
今まで徐々に下に向かう洞窟であったが、第3階層は一気に上に向かうような吹き抜け構造になっている。出口と思われる吹き抜けの上の先にある穴から、たまにシルバーファングとか第2階層、第1階層で見かける魔物が降りてくるが、あまりに寒いのですぐに第2階層へと行ってしまうようだ。グレーテストホワイトベアーの縄張りという事も影響しているのだろう。上からは落ちるだけなのですぐに第2階層に行ける仕組みになっているのか・・・。
すでに3頭ほどのグレイテストホワイトベアーを狩った。氷の魔石とか、白熊の皮とか素材も手に入ったが、第2階層へ持って帰って解体してみると意外にも肉が旨かった。臭みは強いけど、それはこの香草マスターにかかればなんてことはない。熊鍋が俺たちの中でブームになりつつある。そして熊の内臓の食べない部分を地底湖に捨てていると、それに群がる魚が見えた。
「マジェスター、あの魚、どのくらいの大きさがあると思う?」
「・・・10メートルくらいありますね。」
これは絶対落ちてはならない。念のためにここに内臓とか捨てるのもやめようかな。ツルっと滑ったでは洒落にならん。熊さんよりでっかい魚なんて水中でかなうわけがない。
「おいしいかもね!釣りでもしてみる?」
エリナがバカな事言ってるが無視だ。
第1階層のテントまで帰る。ここまで帰って来ると気温がかなり上がるためにウォームがいらない。魔力を消費せずにすむという環境が嬉しい。
「また数日したら第3階層へ戻ろう。あそこの白熊をもう何頭か狩って修行だ。」
「そんな事言って、シウバ様がクマ肉食べたかっただけだったりしてね!」
ぎくぅ!正直、熊鍋は旨かったんだよ!それにあの寒い環境で鍋をつつくというのがなんとも堪らん感じでな!
「ま、まあ、薬草の補充もしなくちゃならん。」
ドーピング薬を少し使ったから補充はしておきたい。この前取って来てもらったプロトン草を調合する。レドン草の採取にも行ってもらおう。数日はゆっくりとしますか。
2日後に冒険者たちが「奈落」にやってきた。この前素材を買って行った冒険者に噂を聞いたらしい。それでもこの「奈落」に来ようとするだけでもランクの高いパーティーだ。ちなみにAランク。
「MP回復ポーションも安く売ってくれると聞いたんだけど。」
安く?まあ、材料費があんまりかからないから安くなってるのかな?結構な儲けがでてしまう気もしないでもないんだけど・・・。さすがに師匠と同じ値段で売るわけにはいかんよ。半額って所だ。それでもものすごい儲けが出てしまうからな。材料は水魔法とその辺に生えているレドン草です。飲みやすいように香草を少し入れているのがポイントだ。
「探索はどこまで行けたんだ?」
「今、第3階層です。」
「第3階層!?第2階層にはマザースネークがいるんじゃないのか?君たちはBランクなんだろ?」
「はあ、あ、マザースネークの蛇皮買います?安くしときますよ。」
「なんだって!?という事は討伐したのか!?Aランクなみの実力じゃないか!」
「はあ。でも依頼を達成したわけじゃなくて、ここに住んでいるだけですので。」
「こんな所に住めるのが凄いんだよ!ちなみにマザースネークの蛇皮はいくらで?」
「では、銀貨5枚で・・・。」
「買った!!」
「あ、まいどあり。そういえば、こいつもありますよ。第3階層で獲れたグレーテストホワイトベアーの毛皮です。」
「なぁ!!?」
MP回復ポーションと素材をいくつか売る。さすがに白熊の毛皮にはびびって手が出ないようだった。Aランクパーティーなんだからもうちょっと頑張れよ!そしたら、また獲りに行ってやるからさ!肉はやらん。
「ふふふ、儲けたぜ。」
「シウバ様、何もあんなに激安で売らなくても!」
「そうですよぉ!蛇皮なんて銀貨10枚でも買えないんですからね!」
え?そうなの?相場なんて知らないから、つい・・・。勉強しなきゃなんないのかな?
「そ、そうか。では、素材も集まってきたことだし、相場を知ってる君ら2人にエルライトの町まで行って売ってきてもらおうかな、その金で装備も新しくしてくるといい。あ、俺に新しい鍋買って来てね。あと空の薬瓶も。」
「えー!?ほんとですか!?やったぁ!行こう、マジェっち!」
「誰がマジェっちだ!!?」
ふっふっふ、これでまたしても1人の時間が確保できるってもんだ。まだもうちょっとクマ肉あるしな。
Aランクのパーティーは探索をしていくようだった。奥に入って行く。
「大丈夫でしょうか?この前みたいな事にならなければいいんですが。」
マジェスターの心配は俺も同じようにしている。どうしてもエリナのパーティーのクラムたちが思い出されてしまう。
「じゃあ、俺が跡を付けてみるよ。マジェスターたちは出発しな。そうだ!できたらダイアウルフの討伐のパーティーに混ぜてもらって牙を手に入れてきてね。」
「エリナのフェンリル召喚契約ですね。了解しました。羊皮紙も購入してきます。」
「あれがあれば更に探索が楽になる。「奈落」を出た後も便利だ。」
「そうですね!」
こうして俺たちは二手に別れた。
Aランクパーティーたちは4人の構成だ。先ほど俺と商談をしたリーダーが戦士風で、他は戦士風が1人と魔法使い風が1人、すばしっこそうなのが1人とバランスが取れている。なかなか強い。ロックリザードなら問題なく対処できている。すぐに第1階層を突破したようだ。
そして第2階層地底湖。たまにマザースネークが出るのを気を付けなければならない。彼らが苦戦するとすればあいつだろう。地底湖の魚は落ちなければ問題ないはずだ。
ジャイアントスパイダーの群れに囲まれるパーティー。遠くからフェンリルに乗ってみているだけだと何か悪い事でもしている気分になるな。彼らが通ったあとだからほとんど魔物は出ない。
地底湖も問題なく突破できそうだと思っていたところに案の定マザースネークが現れた。あそこは足場が悪い。奇襲を受けたわけではないから大丈夫だと思うが・・・。
魔法使いの氷の破壊魔法がマザースネークに当たる。だが動きが牽制されているわけではない。戦士風の男が斧で斬りかかったが、弾かれてしまったようだ。リーダーも剣で斬りつけるが、どうしても鱗をはがす程度で肉まで達しない。これは、火力不足だ。いつかやられてしまう。
「加勢しましょうか?」
「あっ!?さっきの人!助かります!」
後ろから声をかけられるとは思っていなかったのだろう。思いっきしびっくりさせてしまった。しかも今の俺はフェンリルに乗っている。
「オフェンスアップ。」
魔力を剣に宿らせる。俺がどれだけ強くなったかを知りたいという気持ちがあった。フェンリルが駆ける。マザースネークは俺に対して警戒しているのか威嚇してくる。意に介さない俺はフェンリルから跳躍した。持っているのはいつも左手にある剣1本である。これを両手持ちで、マザースネークにフェイントを1つだけ入れて首を狙う。以前はあれだけ斬りつけてようやく切断できた首だったが、今回は一撃だった。宙を舞うマザースネークの頭部。あっけにとられるAランクパーティー。
「残念ですが、あなた方の実力ではこの先は厳しい。できれば死んでほしくない。引き返してください。」
「あ、ああ。わ、分かりました。」
実力の差を見せたことで素直に引き下がってくれた。今回は助けられた。本当にそれだけでも十分だ。
「そうだ、こいつの素材を持っていってくださいね。」
「いいんですか?」
「私1人じゃ運べませんよ。あ、魔石があったらください。」
「もちろんです!」
マザースネークの頭部も高かったんだっけ?まあいいや。
だいぶ強くなってる。マザースネークを一撃で倒せた。一撃の威力をあげるという事が効率がいいとは思っていたけど、こんなに強くなれるとは・・・。いや、慢心はできない。いままで会った強者に勝てるイメージが湧くわけではないのだから。
巨体と腕力が脅威であったグレーテストホワイトベアーを狩ったのが強くなれた理由かもしれない。回避を優先する俺にとっては非常に相性がいい。一撃の威力が増した今となっては相性の良さが顕著に現れたのだろう。そうでなければSSランクなんてとてもじゃないが無理だと思う。
助けたAランクパーティーに名前を聞かれたが、隠棲している事を理由に断らせてもらった。噂になったらばれるかもしれないからな。いつエジンバラ領から変な人が来るかも分からない。マジェスターも十分変なやつだけど。この1年くらいは慎重になろう。
しかし、人の口には戸は立てられないらしい。それから、何組か「奈落」を訪れたパーティーは俺の事を知っていた。誰が噂を流したんだって聞いたら、受付のマスタングだとよ。あのおっさん、何してくれてんの?そして、これがある男を「奈落」に呼び寄せることとなってしまう・・・。
次回予告!
なんだそいつは?
次回、「伝説の人は俺にとっておまけみたいなもん」




