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「これが迷宮…!」
「マリィは何があっても私にくっついててね。3階にある買取所まで守るから」
「何かあったらすぐに呼べ。質問があるならば買取所の安全地帯で答えるから質問内容をまとめておけ」
「はい!!」
ハンナさんとトールさんは所属パーティは違うものの、どちらも討伐者のBランクの冒険者だそうだ。
現在二人は乗りかかった船で、ギルマスから依頼を受けて
私を迷宮3階にある買取所まで護送し
今現在買取所で働いている空間魔法師『ナガマサ』さんに突発の休暇許可を与える任務を請け負ってくれた。
現在ここの迷宮に詰めている空間魔法使いは三人しか居らず、休みや休憩を渇望しているとギルマスさんには聞いた。
今がお昼前でとりあえず今日は夜までやってみろとの事だ。
初めての迷宮。ドキドキしながらその入口をくぐる。
迷宮の壁は石レンガで、どちらかと言うと下水道?みたいな石レンガの道だった。
照明もいっぱい置いてあって薄暗いけどちゃんとある程度前まで見える。
魔物は今のところスライムしか見ていない。私の手のひらくらいのスライムを、前を歩くトールさんが核を剣で一発で貫く。
するとスライムは直ぐに溶けて迷宮の床に消えていった。
「スライムは倒しても死体が残らないのよ」
「へえー」
ハンナさんはそう説明をして杖を持ち上げると、火の玉を飛ばした。
トールさんの横を通った火の玉は少し向こうの壁に当たった。すると壁からじゃきんっといっぱいの槍が出てきた。
「気をつけてね。こっちを通って」
「はい」
初めての迷宮。
初めての魔物。
初めてのトラップだったけれど、頼もしいふたりのおかげで何も怖くない。
順調に地下へと進む階段を降りて地下2階へと到着した。
ハンナさんもトールさんもここのマップは頭に入っているらしく。
迷宮に入って1時間もしないで地下3階の買取所に着いた。
「はい、マリィ。この石柱の中は結界が張ってあるから敵は入ってこないの。安心して良いわよ」
「はーい」
「ナガマサ、ギルマスからの緊急指示だ」
「……なんでござるか…」
ナガマサさんは、ほっそりとした男の人だった。隣には護衛なのかトールさんよりもうんとガッシリした男の人と、細い男の人がいた。
「……休みでござるうぃぃぃぃイイ! ジョセフ、帰るでござるよ! ほら早く早く!」
「あ? ああ、本当だ。でも交代ってこのちっさい嬢ちゃんが、か? 大丈夫か?」
「大丈夫! きっと大丈夫でござるな!? じゃあ拙者たちは帰るでござるよ!!」
ナガマサさんは手紙を読むなりガタイの良い護衛さんを叩いて結界の外に飛び出していった。挨拶する間もないテンションの高い逃亡を唖然として見送る……と、誰かがこほんと喉を鳴らした。




