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翌日、対100人設備の空間の高さをまずは決めた。とりあえず20m。二階建ての建物を想定しているが最悪三階建ても行けるように高めにとった。
ちなみに今の私の一日の無理しない上限が20m拡張である。
部屋で夢中になって拡張をしていると、慣れた様子でトールさんに家から連れ出されてギルドの食堂に連れていかれた。
ちなみにトールさんとは地上にいる間は一緒に暮らしている。迷宮ではもちろん別だ。
宿屋にもトールさん専用の部屋はあるが、一人だと黙々と拡張をしていることからやり過ぎないようによく見張られている。今回の連行もその一端だ。
「収容人数も大変だが、身内が10名ってのも厳しいな」
雑談でそんな風に話を振られてハッとする。
そうか、護衛込みで10人なのか…。
「兵士には貴族の子息も多いから、護衛はいつもの倍、しかも職員全員につけたいところだが…」
「前衛戦闘職が二人つくってことですか?」
「最低でもそれくらいの戦力が欲しいな。集団で来られて、咄嗟に逃げられるだけの戦力が必須だ。前衛1後衛2位でも良いが」
ふむふむ。最低前衛が二人と言うが、パーティから二人だけ抜くことは出来ない。つまりトールさんとムサシさんに守ってもらう場合銀華全員を雇わなくてはいけない。
それだけで私含め5名だ。
素材の買取はマイクさんかダーツが必須だ。だが、今回はマジックバッグを販売しないから持ち帰って査定をしても良いが……それが出来るなら普通に荷物持ちで良いじゃないかと言われそうだ。
自慢じゃないが、完全にダーツに任せっきりの私は買取所なんてできないよ!
この数ヶ月何をしてたって?炊事洗濯拡張です。
「人数の件は寝床が何とかなりそうなら、一番優先でうちが増やさせて貰えるらしいですよ」
そんな新情報とともに、マイクさんが食事の載ったプレートを持って向かいの席に座った。その隣にはすっかり見慣れたダーツが同じくプレートを持って座った。
「本当ですか!?それじゃあ…!」
「一応予定では銀華とドラ殺の九名+マリィ、ダーツ、ネロと出来ればリリエラと考えていますね」
ん?
ということは新人のレオとリオは行けないのか。というか、誰か一名足りないような…。
「マイクは行かないのか?」
首をかしげているとあっさりとトールさんが答えを言った。その言葉にハッとしてマイクさんを見ると、彼は苦笑を浮かべながらうなずいた。
「一か月ものあいだ迷宮が立ち入り禁止となると生活に支障が出る冒険者と、契約関係者が出てきますので私はそちらの対応です。大丈夫、買い取り業務はダーツに仕込んでありますから」
と、言われたダーツの顔色は悪かった。
大丈夫?とハンドサインを送ってみるとダーツはゆっくりと、しかししっかりと首を横に振った。ですよねえ…頼りになる大人がいないとその辺…と、どこか他人事でいられたのはその時までだった。
頼りになる大人がいないと困るのはダーツだけじゃない。私もだった。




