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「おお、あれは俺たちが倒したやつだね!」


「あっちはうちのだな」


トールさんとエストラさんが感慨深げに素材を評価しているのを見ていると、蛇の死体の向こうからマイクさんがひょいっと顔を出した。


「すみませんが三人とも協力をお願いします。どうやらサーベルウルフの巨大な牙が欲しいそうですので大きなサーベルウルフを探すのを手伝ってください」


「サーベルウルフなら俺たちがかなりでかいのを倒した筈だ」


「本当ですか?巨大なサーベルウルフは売却した覚えがないので探せばあるかもしれませんね」


大きな牙の犬。目当てのものを探しながら歩いていると、ザルバさんが両手を伸ばして鳥型魔物の素体を触ろうとしてエラさんが必死に止めているのが目に入り……見なかったことにして捜索を続ける。


しばらくしてそれはトールさんが見つけた。


「おっきい……」


「ああ、これ一体で荷物がいっぱいになって帰る羽目になったから、覚えてるんだ」


ソレは横幅5mクラスの大物だった。頭だけで私の胸元までの高さがある。その牙の根元は、私の腕より太かった。


「これ!これ買います!引き擦った跡も無く毛皮も高品質ですし、この牙!!これなら特注の二振りの対剣が作れます!」


始めの紳士はどこに行ったのか、ザルバさんはサーベルウルフに抱きついて頬擦りをしていた。そんな彼の横でエラさんが頭を抱え込んでいる。


「分かりました。じゃあマリィこれを外に出してください」


「了解です」


全員が外に出て、お目当てのウルフも外に出して、時間停止効果を空間に付け直す。


ようやく落ち着いてきたのか、ザルバさんはエラさんの淹れたお茶を高揚した表情で飲んで一息をついていた。


「マイクさん、本当にありがとうございます。お礼と言ってはなんですが、先程のウルフは限界ギリギリまで頑張らせてもらいます」


そう言って彼は5本指を立てた手を見せて、マイクさんはふっと笑った。

500万!?ねえ500万なの!?


無言のやり取りにドキドキしているとザルバさんがこちらを向いた。


「改めまして空間師殿。私はラクザルバ商会のザルバです」


「あ、マリーロズです」


握手を求められて5本指…と思いつつ私も手を出して握り返すとザルバさんは子供みたいに嬉しそうに笑った。


「マリィ嬢、私は売るのも買うのも大好きでしてね。なかなか手に入らない希少なものを手に入れるのが一等好きなんですよ」


「…はあ…」


何が言いたいんだろう。手に入らない私を狙ってると言った感じはない。ただひたすら、嬉しそうだ。


「先程の空間はとても素晴らしかった…あんな興奮したウィンドウショッピングは今までありません。とても有意義な時間をありがとうございました」


ああ、この人は本当に心からお礼を言ってるだけだ。

その誠実さを感じてふっと笑みがこぼれる。


「もし何か欲しいものがありましたら、なんでも仰ってください。御礼ではありませんがどんなものでもラクザルバ商会はご用意致しましょう」


「ありがとうございます。あ、丁度欲しいものがあって……」


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