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認識、余裕、認識。

出す素材をまじまじ見続けること、一時間。


「だから言ったんだ……」


「ごめんなさい…」


私は頭痛でソファに座って、トールさんにもたれ掛かりながら素材を出していた。


「マリィ様は少々頑張り屋すぎるのですね」


「ありがとうございます」


かちゃりと音がした方を見るとエラさんがお茶をテーブルに置いてくれた。

手を伸ばしてそれを飲むと、熱過ぎない丁度いい温度の、さっぱりした美味しい味わいが口いっぱいに広がった。


「もう少しで終わるでしょうから、身体を休めながらで良いので頑張ってください」


「はい」


仕事しつつも、休んでいる。

あと数体で終わるーーーそんな時だった。

今までずっと笑顔で査定を出していた偉そうな人の表情が曇りだしたのだ。


「どうかしましたかザルバ様」


「………」


私が気づくのだから当然マイクさんも気づく。だからマイクさんは尋ねたのだけれど、偉そうな人……ザルバさんは渋い顔で考え込んでいた。


なんとも言えない状況なので素材を出すのを止めて、ザルバさんの言葉を待つ。


「実は、現在我が商会はとある方から武器の注文を受けているのです。その素材が今回の売買で手に入ったらと思っていたのですが…」


「その様子では、今売った範囲では手に入ってない、という事ですか?」


「はい。巨大なウルフ系の素材がよく獲れると聞いて期待していたのですが…」


「そうですか…マリィ、ウルフ系の大きめのサイズの物を選んで出すことは出来ますか?」


と、言われても。

素材を入れたのは私じゃないし、中に何が入ってるかもよく分かってない。

自分で入れたものならば多少は把握して選んで出せるんだが……。


そういう理由で、素材空間の中身は出たものを査定して売ると言う話になっているはずだったが。

エラさんに色々とためになるお話を聞かせてもらったので何とか力になりたい。


自分では選んで出せない。

ならば、ザルバさんに選んで貰えば良いのだ。



「私は選べないので、どうぞ」



時間停止を解除して素材空間に繋がる扉を開いた瞬間。

ザルバさんは分かりやすいほど目を輝かせてーーー


「おおおお!これが空間内!おお、サーベルウルフ!やはり居ましたか!なんとブラッドリザードの亜種ですかね!?これは…」



すごい勢いで飛び込んで行った。

そして扉の中から凄まじいテンションの声が聞こえる。


そんなザルバさんの後を慌ててエラさんとマイクさん、ダーツが続いて行くので私とトールさんとエストラさんも中に入った。



結構売却したはずなのに、中にはまだ大量の魔物の素材があった。


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