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「あー、姉ちゃん昨日晩御飯食べてないからお腹ぺこぺこだなあ」


「ねえちゃ、これ食べて」

「これもこれも」


押し付けられる食べかけの食べ物を受け取ってかじる。うん、すごく美味しい。


「わあ、どれも本当に美味しいねえ」


「だろ!」


美味しいけど、空間から銀貨を2枚程取り出す。2000ロイもあれば大丈夫だろう。


「全然足りないから、みんな色々と食べてみて姉ちゃんに一番美味しいのを教えて?これだけあると姉ちゃん、どれが美味しいのかわからないから…」


代表でネロにお金を渡すと、ネロは心得たとばかりに受け取ってしっかりと頷いた。

そしてやる気満々になった弟妹達はネロの手を引いて走って祭りの中へ飛び込んで行った。


「子供の扱い方は流石だな」


「孤児院卒業生ですからね。身体は痛まないから大丈夫ですよ。とりあえず、これなかなか美味しいですよ」


「…その店を探すか」


パンに何かを挟んであるものを見せて、弟妹に続くように私達も出店の中へと入っていった。




「あ、いたいた。空間師ちゃん。これギルマスからの届け物ー」


買い食いをしながら練り歩いて居ると、不意に『アサシンズ』のエストラさんに手紙を渡された。

冒険者を使ってまで探さなくても出勤時間になったらギルドに行くのになー。

そんなことを思いつつ手紙を開けると、そこにはギルドが懇意にしてる商会に行ってくれという物だった。マイクさんとダーツが先に行っているらしい。


あの二人はすっかり師弟でいつも一緒にいる。その事にちょっぴり嫉妬をする。


「了解しました。じゃあ私は今からラクザルバ商会に向かいますね」


「うん。銀華の兄さんが居たら不要かもだけど俺も一応護衛につくね」


「ありがとうございます」


そう言うとトールさんは私の右、エストラさんが左に付いた。

右を見ても、左を見ても、立派な胸筋だ。くそう、冒険者は高身長ばかりだ。ぶうたれながら先程買った焼き菓子に齧り付くと、左からあーとかうーとかうめき声が聞こえる。


「どうした」


「いやなんて言えば良いのか困ってね。うーん、ねえ空間師ちゃん」


「ふぁい」


丁度口に物が入っていて変な返事になりつつ、慌てて飲み込んで左を見上げるとエストラさん眉をハの字にさせて困りきった顔でこちらを見ていた。


「空間師ちゃんがこの街が好きでね、夢叶えて今が一番楽しくて、よそに出るつもりなんて無いのは短い旅と、調べた情報でわかりきってるんだけど……もし、海上迷宮都市モーゼに来ることがあれば『アサシンズ』か俺に声かけてよ。モーゼ冒険者ギルドも大歓迎するからさ」


ああ、なるほど。つまり……


「向こうのギルドに勧誘して来いって言われてるんだな。ご苦労な事だ」


と、言うことなのだろう。

私が行く気ゼロなのがわかってるからトールさんも余裕で、エストラさんも言いたくなかったのだろう。


「行く時は、お願いしますね」


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