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しばらくするとギルマスに戻っていいと言われたので、静かにその場を辞する。
事務所に戻ると、職員はみんな忙しそうにしていたのでとりあえず自分の席に着いてため息をつく。
「おかえり、とお疲れ様。帰って早々ごめんなさいね。あの一団昨夜からあそこに陣取ってて困ってたのよ」
「ただいま戻りました!が、ちょっと疲れたので休憩を所望します」
「良いわよ。急ぎでやらないといけない素材のあれこれはマイクさんとダーツ君がやってくれてるし、少しくらいグダってしてても良いわよ」
冷たいお茶を置かれてほっとするも、視界の端では既に弟妹が事務の人と共になんだか書類を書いている。
「………」
うん、さすがに慌ただしい上に弟妹が働いてる中で休憩はできない。
しおしおしつつも、解体場の方へ向かう。
そこには解体担当のギルド職員と、見かけない人達が数十人。あと、マイクさんとダーツが居た。
あ、見かけないと思った人達は冒険者の魔法使いさんたちだ。入口から手を振るとみんなニコニコと笑って手を振り返してくれた。
そんな私と魔法使いさんたちの行動で、ようやく私に気づいたマイクさんと解体場の職員さんの目が光った。ん、な、なんだろう。
「よう嬢ちゃん待ってたぜ!まずはオルトロスを全部出してくれ!」
「お、オルトロス?」
え、どの魔物だろう。私は入口を買取所に設置していただけで結局買取はしなかったから魔物の名前でどれ、という物が分からない。
オロオロしてるとダーツが図鑑を開いてこれだよと見せてくれた。
図鑑を見て、ああ、頭が二個あった犬だなと把握する。
複数ある素材空間から、オルトロス数体を取り出す。
取り出されたオルトロスは即座に血抜きの処理を始められる。むせ返るような血の匂いにクラっとするとマイクさんに椅子を勧められて素直に座る。
「マリィ、次はファイアースネークを10体お願いします。それで残りは五体になる筈です」
「はいな」
言われるままに取り出す中。
ある個体はそのまま氷漬けにされて。
ある個体は皮を剥がれて解体をされて。
ある個体は私の知らないマジックバッグに収納され、すぐに外に持ち出された。
さほど広くない解体場なのに、多数の人数がせっせと働いてすごい勢いで素材が捌かれていく。
「マリィ、あとは氷漬けにして地下倉庫に置く予定だ。だが今日は凍らせる手が足りねえからこっちはもういいぞ。マイクと小僧、在庫と計算すり合わせすっぞ」
「はい」
「わかりました」
朝に帰還したはずなのに気がつけばもう夕方で。忙しさと血の匂いで具合が悪くなっていた私はフラフラと事務所に戻るーーー途中で問答無用でギルマスに捕獲された。




