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「そこ、押さえといてください」
「ああ」
シーツのはじを押さえてもらってさっさとセッティングをしていく。
モップで床を拭いている間にトールさんは枕のカバーを交換してくれた。
さて、次の部屋に行くかと汗をぬぐうとーーー不意にトールさんに壁に追い込まれた。
壁を背に、トールさんと壁に挟まれて見下ろされる。
「なあ、マリィ。マリィは地上に戻ってもここで暮らすんだろ?」
「はえっ!?あ、はい!ここは私の自宅も兼任していますから」
「……泊まりに来てもいいか、地上に戻ったら」
そう言うと、トールさんは私の頬に触れて…ふっと笑った。
お泊り。地上に出たら。トールさんが来る。つまり、つまりだ。
お、おおお、おとなの階段のお誘いだろうか…!?
そういう意味で、そういうことだろう。
うろたえたけれど。それでも私はこくりと頷いた。
その後、次のパーティが来て。
一週目のパーティが
帰還して。
二週目のパーティもイイ感じでモチベーションを保って。
狩り、狩り、狩り。
戦い、食べ、眠り。
二週目は銀華が主に護衛をして
三週目は銀華はいないのでドラ殺が護衛をしてくれて。
忙しくあっという間に。
地上へと戻るときが来た。
「出ても平気ですね?」
「おう、大丈夫だ」
ドラゴン殺しに護衛をしてもらって三週間ぶりに外に出る。
迷宮は薄暗くやはり怖い世界のはずだったけれど。
「さあ、帰んぞ」
何も怖くなかった。
彼らの強さは私が一番良く知っている。
「はい!」
「戻ったか!今すぐ演習場へ来てくれ」
「ギルマス!?」
帰還してギルドに戻るなり、ギルマスに手を引っ張られて小走りで演習場に連行される。
「まずは皆を出してあげないと…」
「下で頼む」
まだ空間内には弟妹とマイクさんがいるのだけれども。
有無を言わさずに連行をされた先。演習場には数十人の明らかに冒険者ではない人たちがいた。
「待たせたな。素材と我らの空間師様の御帰還だ。マリィ、素材を出してくれ。ついでに職員もな」
弟妹はついでかいと思いつつもなんか凄い偉そうな人たちの前だから言われるままに宿の扉と…いくつかの素材を取り出す。それだけで面々は嬉しそうに盛り上がった。
扉からは弟妹とマイクさんも出てきて、面々を見てぎょっとするも即座に別の職員によって事務所に連行される。いやでも、うん。
「どれくらい出せばいいですか?ここじゃ全部出し切れませんけど」
出したのはわずか五体程度だ。
「ああ、これだけでいい。みなさんこの通り素材は本物です。わかっていただけますね?」
「ああ、これは聞いていた通りの物だ。私は月に15体買いとらせてもらいたい」
「…私は25体ほど買いたいのですが保管することが出来ません。日を置いてとりに来るのでもかまいませんな?」
目の前にいる人たちはどうやら素材を買いとるお客さんだったみたいだ。道理で服とか、身なりとかが偉そうな感じがしたんだよね。
となれば、関われば面倒なので黙って大人しくする。




