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うちの弟妹。覚醒したのはダーツだけじゃなくって全員だった。
食堂フロアに張り出された紙を見てふっと笑う。
今朝、リリエラはため息をついているシンさんを見かけたらしい。なにか問題があったのかとリリエラが尋ねるとシンさんはかなりためらった末、口を開いてくれたそうだ。
この宿屋は高料金であるが、今までと比べ物にならないくらい稼げている。
だから、日に数体狩れる程度でパーティメンバーが満足してしまったそうだ。
通常であれば無理しないで儲けが出れば良いと思うが、だがシンさんたちはマジックバッグが買いたい。
宿屋一泊で50万。
その他雑貨などで一週間の滞在でかかる料金は380万ほど。マジックバッグの値段を足して1400万が最低目標であるが四日目の朝の段階でその時の『ツバサ』の稼ぎは800万程度だったそうだ。最低目標は稼げる予定だが、数日休めるだけの金も稼ぎたい。
どうすれば仲間に発破をかけられるかという悩みだったそうだ。
わあすごい数字の桁がやべえなあと思いながら私は聞いたが、リリエラは真剣に考えたそうだ。
その結果が、この張り紙だ。
滞在四日目
一位 ハルティ 討伐数22体 総額3200万
二位 銀の華 討伐数20体 総額2850万
三位 ドラ殺 討伐数19体 総額2800万
四位 アサシンズ 討伐数10体 総額1400万
五位 ツバサ 討伐数9体 総額1100万
要は、今いるパーティの収支を格付けし公表したのだ。もちろん全パーティの許可はもらっての上のことだそうだが、効果は恐ろしいくらいてきめんだった。
始めにこれを見たのは今日は休みを入れていたドラ殺のメンバーだった。見た瞬間、私に銀の華が今宿にいるか尋ねてきた。
生憎、ドラ殺のポールさんが護衛を代わってくれた後だったので銀華は迷宮に行ってしまった後だった。それを知ったポールさんを除くドラ殺のメンバーは今は玄関で剣を磨いている。
次に見たのは早い夕飯を摂りに来た『アサシンズ』だった。
こちらもすごい速さで夕飯を食べて、さらに夜食を持って即座に迷宮へ戻って行った。
その次はハルティのガバウさん。ガバウさんは張り紙を見て大笑いをすると、ポーションと軽食を買い込んで仲間を蹴り起こして迷宮に潜った。
最後に見たのはシンさんが懸念しているのもわかる『ツバサ』だった。
「まじかよ…」
「な、なあ!ほかのパーティっていま迷宮か?」
「ドラ殺以外は皆さん迷宮ですね…っと、おかえりなさいムサシさん」
「ああ、ただいま。ポール、護衛は代わるから行っていいぞ」
「頼んだ」
ちょうど話をしているとトールさん以外の『銀の華』が帰還して、護衛を代わったポールさんが即座に消えた。きっとポールさんはこのまま玄関でドラ殺と合流して迷宮に突っ込むのがわかる。そんなやりとりだった。
「ああ、なんかほかのパーティが血気盛んだと思ったら。コレかー」
「お、うち二位か。つってもドラ殺と大差ねえな」
「ハルティが一位か…」
へえ、へえ……へえ……。
ニコニコ笑っている『銀の華』もやる気スイッチが入るのを見た。
今、この宿にいるのは内部外部の高位パーティだ。
高位パーティなのに、順位が低かったり。また、Bランクのパーティが一位にいることが堪らなく悔しいのだろう。
『ツバサ』も慌てた後、急いで会議をしてから迷宮に飛び込むように潜りに行った。
リリエラの目論見が完璧にはまりすぎて、うちの妹もすげえと素直に感心した。




