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「指輪の使用感はどうだ?」
「凄いです!これなら今までの倍の速さで拡張が出来そうです」
元々、私のスキルはどれも詠唱なんて言うのも申し訳ないくらい、念じれば即発動のスキルだったけども。
トールさんから貰った指輪を嵌めて拡張を使うと
ねんじた ら拡張されたものが
ねん で拡張されるようになった。
こういうので拡張効率を上げる方法もあったんだなと目から鱗だ。
ただ、早くなった分ポーションはそれだけ多く使うけれども今まで貰ったお給料もまだあるし、この宿屋が一旦休憩に入ればマジックバッグ売ったお金も入るし問題は無いだろう。
唯一怖いといえば、魔力酔いくらいだ。
そんなことを思っていると向かいに座ったトールさんに、デコピンをされた。
「くれぐれも無理をしないように。マリィは夢中になると延々とポーションを飲み出すから心配だ」
「空間拡張は趣味みたいなものなんで」
「程々にな」
「でも、こんなすごいアイテムいただいても本当にいいんですか?それこそユーリさんが使ったほうが…」
「ユーリもダーンも似たようなものは持ってるからな。マリィにあげたいと思うって言ったら快く了承してくれたが…そういえば、あの時からあいつらニヤニヤしていたな」
そこは気付こうよトールさん。
いやまあ、地上と違ってずっとポーション飲んで拡張してるのを見て心配してくれてたんだろうなと思う。本当にやさしくていい人だ。
「成り行きで渡してしまったが、そういう意思はちゃんとある。上に戻ったらちゃんと良いものを改めて贈らせてくれ」
「これでも十分うれしいですよ」
「いや、俺も良い歳だからな。ちゃんとした物を贈りたい」
その言葉に胸が熱くなって、本当にいい人だなあと惚れ直しつつも。
ふと、気づく。
「そういえばトールさんっていま何歳なんですか?」
「25だ。銀華の奴らもだいたいそんなもんだな」
「へえ…せっかくなんでトールさんのことを色々教えてくださいよ」
そういえばトールさんのこと何にも知らないな。そう思って聞くとトールさんは困ったように笑ってから色々と教えてくれた。
トールさんはお父様も冒険者だったらしく、幼少の時から剣などを仕込まれたそうだ。
そして幼馴染とパーティを組んで、冒険者になって。
父親と同じギルドであれこれ口を出されるのが嫌になって故郷を飛び出したらしい。
「じゃあトールさんは別の町から来たんですね」
「ああ。ここに来たのは18の時だったかな。もう七年になるのか…」
七年前。と言ったらわたしは九歳か。
まだ適性検査前でいろいろと夢を見ていた時期だ。
まあ、だいぶ物理的に不味い思いはしたが今はあの日見た夢とは多少違うが日々楽しく過ごせている。結果オーライ、私の適性は空間魔法でよかった。
「一度も帰ってないし、そのうち一度戻らないとな」
「違う街に行っちゃうんですか?」
「何言ってるんだ、マリィを紹介しに行くんだろ」
当たり前のように言われて、また照れてもにょもにょする。
そんなとき、入口からひょこっとリリエラが顔を出した。
「あ、いたいた。ねえねえお姉ちゃん、魔物の死体を入れてる空間ってまだ空き大丈夫?」
思いもよらない質問に一瞬頭が真っ白になるも、問題ないので「大丈夫」と言ってうなずく。
するとリリエラはにやっと笑って去っていった。
ーーーーなんだろう、なんか嫌な予感がする。
「トールさんごめんなさい、リリエラが気になるのでちょっと行ってもいいですか?」
「構わない。行こうか」
二人でリリエラを探すと、リリエラはダーツとマイクさんと話していてーーーー……。




