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「冒険者ギルドに登録するのも働くのも12歳からだ」
「私は12歳です!」
涙目で叫ぶように言うとお兄さんはわかりやすく目を見開いた。
孤児院の食事が少なかったせいで背は伸びてないけど、ちゃんと12歳だ。
「…ギルドで働くには何らかの特技があるか、書類作業に秀でてないといけない」
「私は空間魔法が使えます! 迷宮で、空間魔法が使えるギルド職員を募集してるって聞きました!」
「……ごめんなさいねお嬢さん。空間魔法の使い手は募集しているけれど、大きな物を収納出来る人なの」
「どれくらいの物が入れられれば良いですか!」
気づけばお姉さんはカウンターのこちらに来ていた。
そして困った様子で話してくるものの私もそう簡単には諦められない。
お兄さんとお姉さんを交互に見ると、お姉さんは近くのソファに座っていた冒険者たちを退かした。
「そうね、最低でもこのソファぐらいは収納できないとダメね」
お兄さんに下ろしてもらい、言われたソファの下へ行きにやにやする冒険者たちの前でソファに触れた。
1人がけのソファ。これくらいなら余裕だ。
シュッと私の空間に収納すると、冒険者たちが息を飲んだのがわかった。
だがしかしよく見るとソファは5つあった。これは…ギリギリか…?
次のソファの下へ行くと座っていた冒険者は慌てて退いてくれた。ありがとうございますとお礼を言って、二つ目も収納する。
三つ、四つ………それから、五つ目も難なく収納出来た。
空間を開けて中を覗くと、上部にはまだ余裕があった。不思議なことに五つのソファは積み重なることなく中でふわふわ浮いている。
こんな大きなものを沢山入れたのは初めてだなあと思って見ていると、横からにょきっとお兄さんの顔が割り込んできた。
「随分広いな」
「頑張りましたから」
感心した様子のお兄さんに胸を張るとポンポンと頭を撫でられた。
「まだ半分以上のスペースが空いてる。ジャンよりも広い空間みたいだぞ」
「……とりあえずここでステータスを測ってもらってもいいかしら。トールさん、私はギルマスを呼んでくるのでその子の計測を手伝ってもらっても?」
「わかった。こっちへおいで」
どこかへ行くお姉さんを見送ってお兄さんと壁際の大きな石の前に行く。
「嬢ちゃんすげえなあ!」
「ちっさいのに大したもんだ」
「ギルドがダメならうちのパーティ来いよ」
道中色んな冒険者に声をかけられたけれど、それらは全部好意的で。
嬉しくってニコニコ笑いながら、お兄さんに言われるまま石に触れる。




