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迷宮にて宿屋をオープンさせてはや四日。
冒険者のみんなは今までと違う冒険スタイルに感動していた。
今までの冒険スタイルは、目的の階層まで魔物の死体を無駄に作らないように戦闘を最大限避けて現地でターゲットを撃破。そしてマジックバッグに収納したり担いで買取所または出口まで帰還していた。いかにして戦闘を最小限に収めるか。そして持ち帰るかがカギだったのだが。
当店は
・魔物の素材買い取り放題(ただし地上店舗より安値になるけど)
・狩場から徒歩数分(ただし冒険者の俊足で)
・狩場に近いのに安心、安全、うまい飯
がもっとーです。
とくに20階層以下の魔物のサイズはとても大きく。
今まではドラ殺のマジックバッグには入りきらないので指を咥えて情報収集を行っていたそうだ。
ドラ殺のマジックバッグってあれだよね。私が魔力酔いでぶっ倒れながら初めて作ったやつ…
あれってたしか2mくらいしかないし、時間停止もついてなかったもんね…。
とにもかくにも。倒すに倒せなかった状況から一転狩り放題。
『ドラゴン殺し』や『銀の華』や『ハルティ』といった地元パーティだけでなく外部パーティも別の迷宮でそんな感じだったらしく。
数名の人たちが覚醒しました。
覚醒者其の一。
アイズさん。
さすがうちのギルドナンバーワンのパーティらしくドラ殺の狩りへの歓喜っぷりは半端なく、昼も夜も銀華と交代で狩りに出て、それどころか今日はパーティで休日に決めたらしいのに、さっき一人で迷宮に飛び出していった。
それに気づいた治癒師のエレーヌさんが慌てて追いかけて、スカウトのポールさんが急いで寝てる仲間を呼びに行き、後続が旅立とうとしたときに血まみれのアイズさんが大きな魔物の素体とエレーヌさんを持って帰ってきた。
「あぶねえだろ馬鹿野郎が!」
と比較的温厚な冒険者で付与師のリッツさんがぶちぎれて玄関でお説教してた。
さすがに私も血みどろには慌てたが、当の本人はけろっと満面の笑みで「返り血だ!」とサムズアップを決めてた。
覚醒者其の二。
パーティ、ハルティ全員。
ハルティは前衛2人、攻撃後衛二人をリーダーで治癒師であるガバウさんが指示を出してまとめているのだけれども。
宿でほとんど見かけない。と思ったらどうやらHPポーションとMPポーションをがぶ飲みして徹夜で狩りにいそしんでいるらしい。三日ほど寝ずに狩って売却してを繰り返して、今朝メンバー全員が玄関でぶっ倒れる形で寝落ちしているのをマイクさんが発見。
全員ただ寝てるだけだから転がしておきなさいとトールさんがいい笑顔で言っていたがさすがにかわいそうなので玄関に壁を一枚作って小部屋を作り現在は全員そこに放りこんである。
そして
覚醒者其の三。
ダーツ。
個人的に大暴走をかました冒険者たちはよくわかる。いや、ここまで歓喜して大暴れするとは思ってなかったけれども、まだ予測の範囲内だったが。
正直ダーツの覚醒は心底驚いた。
「こちらの個体はこれよりも小さいものを130万で買い取っていますのでちょっと色を付けて140…いや、サービスで145にしておきますね」
「おお、本当か坊主!」
「ええ。ここ数日皆さんの売られる魔物を見ていっぱい勉強しましたから間違いありません」
褒めて褒めてと胸を張る弟、可愛い。そしてすごい。
今朝、マイクさんにダーツを借りたいと言われて何が起きたのかと思ったら。うちの弟はいつの間にかマイクさんの手作り資料を読破し、さらにマイクさんの持ち込んだ図鑑も読み漁ってるらしい。




