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「いやあ、アイズはすごいよなあ。なんたって羽根を生やして空を飛び回っちまうんだから」


「うんうん、大活躍だったよなぁ。英雄様が寝込んだ姿になるくらい大変だったんだなあ」


「……てめえら…」


すごく楽しそうなからかうような声が聞こえて、そちらを向けば二枚重ねの布団の上で動かない身体で文句を言うアイズさんと、アイズさんをからかうポールさんとリッツさんがいた。


羽根を生やしてブンブンと飛び回っていたアイズさんは、どうやら一時的にレィに憑依されていたらしい。

レィと力を合わせて、戦闘から苗木の救出までをバッチリやりこなしてくれたアイズさんは……現在その反動で指一本動かせない状態にある。指一本動かせないのに気合いで文句を言うのは本当にすごい。

レィとスィは人形になって私の膝の上でぐでーんとして甘えている。


「ますたぁ〜、もっと撫でて〜」

「バカレィ。ご主人も具合が悪いんだぞ」


そう、反動で苦しんでいるのはレィ、スィ、メルディさんも一緒で、連続同時回収とドラゴンに乗って空を飛び続けた緊張から解放されて腰が抜けた私と一緒にお布団の山で寝込んでいる。


「おーい、こっちに来てくれー」


「この子等はここに居てくれるそうだー」


そう、とても騒がしい世界樹の跡地に簡易的に建設された救護場で。


「大丈夫か?」


「大丈夫だよ、ニッキィ」


私を心配するニッキィを始めとした苗木たちが絡み合い、暫定的に屋根のある場所となったここは少々騒がしいが一番自然回復が強いそうだ。


精霊たちは呪いが払拭され、豊かな緑のカーペットが出来た世界樹の跡地を気に入り、宿屋に居た精霊の過半数が此処に移住することになった。

と言っても、グリーンさんの傍を離れたくないと言う子らも沢山いる上にまだまだ生まれていくだろうから宿屋は問題ないらしい。むしろ世界樹と共鳴しあったグリーンさんは精霊としての階位が上がったそうだ。

出来ることが増えたと、彼女も嬉しそうにしている。


そしてそんな精霊たちの力を得た苗木は、世界樹と同じく万物を癒す力を放っている。


現在、世界樹の跡地に残る子らはエルフさん達を癒し

私たちと共に来てくれる子らは迷宮宿屋関係者と獣人さんたちを癒す場を作ってくれている。



元気な兵士さんたちは、精霊と苗木と対話し住処を決めて彼等を守る建物を立てる場所を決め始めた。そのため周囲が少々騒がしいが……どちらかと言うと浮かれた空気なため居心地は悪くは無い。


世界樹は完全に喪われた。

エルフの兵士さんにも、苗木にも、救えなかった人が出た。

ーーーーけれど、未来への希望は無事に繋がった。


始めに聖樹国に来た時

そして初めて事情を知った時

ーーーこの国には絶望が溢れていた。


呪いが森全体を覆い

精霊は死に絶え、世界樹は枯れてトレントと化し

カースドラゴンには近づくこともできなかった。



それが今や元気な苗木があり、苗木が育つ環境もあり、

カースドラゴンの脅威も無くなった。


森全体に残った呪いも、今現在進行形でダンディ&アティと、それに乗ったトールさんが回収をして回っている。


森の生態系は完全に狂っているが、呪いさえなければ避難していた魔獣や獣も戻ってくるだろう。


ーーーー私が生き残れたのは完全に奇跡のようなものだ。

私は強い能力を持っていても所詮、戦闘力が皆無だと痛感した。

みんなが守ってくれるのだから何とかなると、思っていたことは否定しない。


だが、冒険は何が起きるかなんて分からない。


これからは前線には出ずに、しっかりと宿で……皆を支えていこう。


でも、まあ、今だけは。


「マリィ、こいつらを黙らせろ」


「あまりアイズさんをからかっちゃダメですよ」


「えー、どうせすぐ復活して殴りかかってくるんだから気にしなくていいよマリィちゃん」


「そうだそうだ」


生き残れたことに

未来への希望が無事繋げたことに感謝して


「……確かに!」


皆で笑い合おう。





エルフ聖樹国編はここで一旦終了になります。この後いつも通り細々した番外編という名の後日談をランダムに掲載させていただきます。


長い期間の掲載になっておりますが、お付き合いありがとうございました。

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