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何が起きているのか。
懸命に身体を奮い立たせて周囲を見た……瞬間だった。
ズ……ズ……ズズ…ズズズズズズズズズ
凄まじい地響きと地鳴りの音がして、立っていられなくなる。
「『ゼロ・グラビティ!』」
メルディさんが周囲に魔法をかけてくれなければ座っていることも困難だったろう。
「な、何!?」
「一旦逃げるぞ」
「ダメだ、周りのトレントの様子もおかしい!」
エストラさんの声でハッと周囲を見ると……一本の燃えるトレントが……かろうじて根が土と繋がっている状態で、宙に浮いた。
「トレントって飛べるんですか…」
「そんな訳ないな!」
「いやでも…あれ…」
思わず声が震えながら……周囲を指さす。
周囲のトレントたちが……何本も宙に浮いていた。
燃えて、苦しみながらツタを振り回すトレント達。そして根が地面から完全に離れた瞬間ピューンとどこかへ飛んで行った。
巻き込まれないようにそれらの範囲外に避けていると、どんどんと宙に浮くトレントが増えて行く。
「なんだよ!何が起こってるんだ!」
「分からないわよ!」
「お、おい、世界樹が!!」
「げぇ、おい、飛ぶからみんな中に入れ」
「あ、はい!」
その場で設置用の扉を出して宿屋を開いて中に入ると、アイズさんが……片手で掴んで勢いよく浮き上がった。
皆、外の様子を見ようと扉に張り付くので落下防止のために出れないようにする。
それは圧巻だった。
燃えるトレントだけでなく……世界樹までもが明らかに土から抜けようとしているのだ。
その根の範囲、地面がせり上って行くので多分間違いない。
「どうなってんだ……」
「…『木』ごと、『火』を浮かせてる…」
「おい、あそこ!」
誰かが指を指した方へ視線を向けると、そこには炎が集まっていく場所があった。
よく見るとそこへ、トレントも世界樹も向かっているようだ。
異常なこの世の終わりのような光景に唖然としつつ……下を見れば隆起した世界樹の根元で立つこともままならない困っているエルフの兵士さんが見えた。
「トールさん、あそこ!」
「アイズ、近寄れるか?」
「おうよ、任せろ」
指をさせばすぐにわかってくれたアイズさんがその場に飛んでいく。
そして彼らが可視範囲に入ると、即座に宿に回収を始める。
1人ずつじゃダメだ、時間がかかりすぎる。
だけど人間の場合アイアンの鉱山で石を纏めたようにやるのは難しい。
同時に何人も収納しないとーーーーそこまで考えて、はっと思い出して私物からいくつものエンチャント魔石を取りだした。
これじゃない、これでもない…あった!
同時収納+1の魔石!




