12
泣き声が、聞こえる。
上も下も無い暗闇を歩いていく。
ここはどこだろう?
わけも分からないけれど…泣いている人を放ってはおけないので泣き声のする方に向かってみる。
そこには、暗闇の中でさらに黒い塊が居た。
同じ黒なのに、周りの風景とは違うという事が何となくわかる。
『死にたくない、死にたくない…』
ぐすぐすと泣きながら、死にたくないと泣きじゃくる…声からして、多分女の人。
『……死にたくないね』
私も、死にたくない。
その気持ちには全力で同意できる。
ぺたんと座って、黒い塊に寄り添う。
死にたくない。
死にたくないけど……死んじゃったかなあ…。
その時ふと、脳裏に…落下する自分と回収した皆のことが浮かんだ。
ここは、どこなんだろう。
『ねえ、お願い。あなたの力をちょうだい。私の体はもう壊れていて……沢山食べても、殆ど力が留まることが出来ないの』
『……え?』
『ソレから私の力を感じる。私の力を沢山集めても大丈夫でしょ?お願い、力が霧散しなければ……きっと私は生きられる』
ソレ、と指さされたのは……いつからあったのか、私の周りに浮かぶ光だった。
これは……私の空間だ。
確認しなくても何となくわかる。彼女が示したのは呪いを回収した空間だった。
『これが欲しいの?』
『そう!それがあればきっと、私は生きられる。あなたのことも、私の命をかけて助けるから!』
彼女が本当に助けてくれるかどうかなんて、わからない
私はこのまま死ぬのかもしれない
……でも。
どうせ死ぬなら
一人でも多くの人を助けたいと思った
『いいよ』
『お待ちなさい』
彼女に空間をさずけようとした時、後ろから今度は灰色な人が現れた。
黒い塊とは全然違うのに、不思議と顔は見えなかった。
『力の漏れを防いだとて、貴女には生命力がありません。ただの魔力の塊になるでしょう』
『じゃあ!いつもみたいにちょうだいよ!』
『残念ですが私には、もう生命力はほぼ残っていません』
『なんで!あんなにあったじゃない!』
『…貴女が全て無駄に食べたのでしょう?もっともそのほぼ全ては体外に出てしまっていたようですが』
灰色の人と黒い人は知り合いみたいだけど…仲は良さそうじゃない?
と言うか、力を食べたとか力が漏れるとか……何か大事なことが思い出せない…。




