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「あいずぅぅぅぅぅううう!!」
大きな圧迫感と、こちらに向かってくる鋭い気配。
小さい方は、レィだろう。
このままじゃドラゴンとレィをまとめてぶった斬るか、俺とレィがまとめてドラゴンにやられるかだ。
「じゃますんなレィ!!!」
腹の底から大声を出しただけで喉が切れたのか口の中に血の味が広がる。
注意したにも関わらずこちらに来る気配は変わらず……もう、余裕が無いからレィのことは無視する。
あいつの機動力なら巻き込まれることは無い、筈だ
「とまれえええええ!」
大きな圧迫感が、大きな圧迫感にぶつかる。
だがそれでもドラゴンは止まることなくこちらに向かって来ている。
ーーーおいおい、ロディ。お前カースドラゴンより強そうな気配してんなぁ。
一回だけ。それが限界だ。一回だけ相棒を振って、カウンターを決める。
ーーーーー今だ。
カースドラゴンの気配のみに集中して、重すぎる身体を気合いで動かした瞬間
「邪魔しないもん!ーーーー『憑依』」
ふわりと、身体がバカみたいに軽くなった。
身体も、相棒も軽すぎる。
顔をあげると目の前に大きく開かれたカースドラゴンの口があったがーーー遅い。
剣を横に構えて、足に力を込めて駆け出すと相棒はするりとドラゴンの上顎と下顎を切り分けるように入った。
その刀身には、黒い呪いがゆらめているがーーーー力が落ちる感覚はなかった。むしろ、このままドラゴンを二枚落としにしたらーーーすげえ、回復する。
ーーーーー気持ちよさそう
美味しそうって、なんだ?
そんなことを思いながらも軽い体でカースドラゴンの横を……相棒をぶっ刺したまま、沿うように駆け抜けた。
スルスルと相棒はカースドラゴンの頭を、首を、胴体を上下二つに切り分けた。
そして断面から黒い魔力がゆらゆらと立ち上り……相棒を地面にぶっ刺してそちらに向かって手を伸ばす
よく分からないけれど、そうしないといけない気がした。
「……『吸収』」
口が勝手に開いたと思うと、MPを使って身に覚えのないスキルが発動しーーーーモヤが全部俺の手を通して体に入ってきた。
『んーーーーー!おいし〜!』
「…………おい」
今、頭に物凄い上機嫌なレィの声が響いた。
見覚えのないスキル、軽くなった身体。
辺りに居ないレィ。
カースドラゴンすらも呆然として、場の空気が静まる中俺の声が静かに響き渡る。




