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ダメージを食らっても大丈夫な奴に、攻撃を喰らわないようどう教えればいいかって?
簡単だ。
「よぉ、随分とふざけた戦い方してんなあ。俺は安全第一で行けって言ったよなあ?」
「げ、アイズ。なによぉ、ケガしないようやってるでしょ〜」
「あ?思いっきり噛み付かれたり、体当たり食らってるじゃねえかバーカ」
「ちゃんとギリギリで無効化してるもん!」
「無効化出来ねえ敵の時に困んだからんな雑な戦い方してんじゃねえよ。つーわけでだ」
ヒョイヒョイっとマジックバックステップでレィの横に行って槍を構える。
「俺はお前と全く同じ行動をとるからな、俺が一滴でも血を流してみろ?その羽むしるぞ」
レィと行動を共にして、俺がダメージを食らうようなアホな攻撃をすればレィへのペナルティにすればいいのだ。
まあ、冒険者は身体が資本だから俺も本気で攻撃を食らうつもりはねぇし、自己犠牲してまでこいつの面倒を見るつもりもない。
だが、俺の脅し文句は分かりやすかったらしくピタッとレィの動きが止まり…羽の動きも止まり……落下仕掛けたレィの頭を鷲掴みにしてヒョイヒョイと空中の位置を保つ。
「……が、頑張ってみるよぉ…」
「ポーションで羽が再生すっといいなあ?」
もし羽が無視られた場合は欠損ポーションでいけるのか?でもこいつ、血は無いから造血ポーションはいらないかな。
そんなくだらないことを考えながら、僅かに震えるレィと共に攻撃を共にした。
改めて共闘をしてみると、レィの経験値の低さと基礎ステータスの高さのアンバランスを痛感する。
羽を持った生き物ということもあるが、空中戦での機動力は少なくとも俺より上だ。だが、敵や味方の動きの予測が雑すぎる。
ロディの燃やし尽くす火力と
レィの空中機動力。
これがあったらラクーンで不覚をとることはなかっただろう。
弱い自分を悔しく思いながら、レィが爪で裂いた場所を数秒差で槍で薙ぎ払う。
相性の問題があるとはいえ、今の俺はカースドラゴン相手では殆ど無力に近い。アシストも大事な仕事だ。だが、やはり……ろくに攻撃が出来ないのは歯がゆい。
あー、悔しいなあ。
鍛えても鍛えても弱い自分に苛立ってくる。
「……ねえ、アイズ。あなたなんなのよ」
「あ?」
「なんで、羽もないのにあたしに着いてこれてるのよ」
俺からしてみると、俺の空中移動はまだまだ甘いものだった。
けれど、レィから見れば……空中機動に長けているレィから見れば俺の動きは、良い動きに見えるらしい。
その情報に胸が熱くなるような喜びが湧き上がり、衝動のままレィの頭を掻き回してやりたいが残念ながら俺の手は槍を持つ一本のみ。
「そりゃ光栄だなあ」
ニヤッと笑って、カッコつけるためにカースドラゴンの翼を薙ぎ払った。




