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迷宮移動、先行は『アサシンズ』
最後尾は『ツバサ』で右に『ハルティ』左に『ドラゴン殺し』そして私はマイクさんと『銀の華』に守られて進む。
アサシンズの六名はパーティ名の通りスカウトが三人も居る珍しいパーティだったので前を歩いて貰って索敵を念入りに行うようだ。
左右の『ハルティ』と『ドラゴン殺し』はこの中では一番戦闘能力が高いので近接で護衛を。そして 機動能力が高い『銀の華』は常時私を誰かが担いで歩くため、いつでも逃げたり回避出来る状態を整えるらしい。
そして残ったツバサが後ろを守るのだ。
と、説明を受けたには受けたのだけど。
正直その時の私はトールさんに抱っこされてて恥ずかしくって何も耳に入ってこなかった。
「……マリィ、俺も恥ずかしくなる」
「…本当すみません」
今までの常識を覆す、新たな作戦だと言うのに。初っ端から桃色な空気を放って本当にごめんなさい。
周りの人もニヤニヤ笑ってこちらを見ているし、弟妹が空間の中で良かったと心底思った。
二年前のレイドの時と違い、5パーティの進む速さは恐ろしい程に早かった。
無駄な会話無く、周囲を警戒して私の全力疾走より早いペースで走る1団。
魔物も瞬殺してアイズさんかトールさんがスピードを微塵も落とさずに回収していく。しばらく走って、あれ?と思った。
その時には私はムサシさんに抱かれていて。向こうの方を走るアイズさんが物凄く楽しそうだったのだ。
反対を見るとハンナさんも凶悪な笑みを浮かべていた。
トールさんもムサシさんも真顔で、 ユーリさんとダーンさんは少し苦しそうだった。
そしてマイクさんは、汗をかいていた。
後ろを走る『ツバサ』の人も真顔で。
あれ、これさ。
アイズさんとハンナさんが競走してないか?と感じた。そしてふと思い出す何気ない会話。
『うちは戦闘狂ばっかりだから、戦えれば良いのよ』
『お前んとこの短期決戦力はすげえよなあ、うちも戦闘狂ばっかだからわかるわ』
あ、私の左右の人達。勝負が大好きだったわ。
こうして、高位冒険者同士が張り合い無駄に早いペースで駆け進んだ結果。
昼休憩の時点で11階に到着し、そしてギルド職員のマイクさんが潰れて空間避難組となった。
壁にポンっと空間の入口を設置して中に入ってみんなで休憩をする。
「はっはっは、いやあ悪ぃ悪ぃ」
「つい、楽しくなっちゃって」
「楽しくなっちゃってじゃありません!!」
食堂で弟妹たちが準備してくれた食事を食べつつ、アイズさんとハンナさんに確認すると案の定だった。
現地までの総合リーダーはアイズさんだ。
そのアイズさんが暴走したとなると叱ることが出来るのはギルド職員だけで。マイクさんがHPポーションを飲んで自室で休んでいるので今怒れるのは私だけだ。
「それにオーバーペースで進んだら無駄に体力を消耗するだけでしょう!?」
「ここまでくらい散歩みたいなもんだからちょっと遊びすぎたな、悪かったって」
「アサシンズとツバサの実力も何となくわかったからもう遊ばないわ」
実力を測るため。そう私の分からない世界話を言われたら分が悪い。
ぐぬぬとなっていると、とんとんと後ろから肩を叩かれた。
そこには『アサシンズ』のリーダーエストラさんと『ツバサ』のリーダーシンさんが笑顔で立っていた。
「俺たちは大丈夫だよ」
「心配してくれてありがとう」
ぎこちなく頭を撫でられて、渋々と怒りの矛先を収める……。
が!
初っ端から遊び出したのは悪いことだ。
「もう!アイズさんとハンナさんはデザート抜きですからね!」
「まじかよ!」
「そんな!!」
それだけ言い捨てると、私は厨房の弟妹の元へと走った。




