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side???
「と、言うわけで人口精霊石以上の品質の媒体を作れるか?」
ごちゃごちゃに色々な素材が置かれた、すっかりレオとトリシアの巣になっている工房で物を崩さないように出された椅子に座って二人を見る。
物だけじゃない。試作品の人口精霊石作成中のそれらに惹かれたのだろう精霊たちも周囲を飛び回って居て大変賑やかしい状態だ。
………俺はこんな散らかり具合は落ち着かないが護衛のエステラは視界の隅でのんびり茶を飲んでいる。エステラにはしばらくレオの護衛を任せて良さそうだ。
ちなみに俺以上にレオの護衛が向いていないのはエレーヌだ。
アイズの散らかしと違ってこだわりのある散らかし状態のここは迂闊に片付けることが出来ない。
護衛出来なくは無いがそれがストレスになってしまうらしい。
「結論から言おう、理論上は可能だ」
「うん、作ることは出来ると思いますよ。作ることはね」
その勿体ぶった言い回しに、作成以外での問題点が容易く想像出来てしまう。
作る「こと」は出来る。
ならば問題は……
「……素材か」
「はい。この人口精霊石もかなり良い素材をふんだんに使ってこれなので、それ以上の物となると……」
「……具体的になにか良い例はあるか?」
「……最低でも三種。出来たら五種類……女王蟻の素材クラスが欲しいですね。それも魔力がたっぷり詰まった部位が。とりあえずこの前のレイドでもらった女王蟻の眼球で土属性が一つですね」
当然ながら迷宮ボスクラスの物となると当たり前だが市場にはほぼ出回らない。
ボスクラスの素材を加工したものは稀にあるが……それでも目玉が飛び出すような金額だ。
……女王蟻以外で、最低あと二種か。
「ふむ、それならば私も心当たりはあるぞ。世界樹の幹の深いところには……石化した樹液。煌めく琥珀があるそうだ。こちらとしてもエリクサーの実験に欲しいし、せっかくなら採取してきてはどうだね?」
「そうですね、迷宮ボスクラスの素材ならエリクサーの研究にも欲しいかな」
ケロッとトリシアが言い出した情報に少しぎょっとなる。エルフであるにも関わらず、世界樹を素材とみている。頼もしいが、それでいいのかとちょっとエルフの常識を疑う。
「幹の中にあるのか……ニッキィに相談してみるか」
「あ、それなら俺も。俺の地元の迷宮に【深淵の虚穴】っていう水属性の迷宮ボスはいるぞ」
「……モーゼの迷宮か」
「ああ。もし討伐を狙うなら喜んで手伝うぞ。俺たちとしてもS級冒険者になりたいし」
なるべく自分の力で集めたいところだが、さすがに俺だけの力でも『銀の華』としてでも迷宮ボスクラスは無理だ。そう考えるとアサシンズの協力はとても心強い。
何が起きるかわからない戦闘において息の合った冒険者は何人いても困らない。
それにエリクサーの研究素材集めとなるとドラ殺の協力も恐らく当てにできる。




