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「なんなのここは、虫の森なわけ!?」
森の奥に行けば行くほど、厄介な虫の魔物が出てきたらしい。
私の元へ持ち込まれた素材も大蜘蛛やキラービー、幻惑蝶と言った虫型ばかりだ。
虫は別に嫌いでも好きでもないけれど……なんだろう、アイアンといいここといい、私は虫に縁があるんだろうか……。
「生きた魔物……魔獣は殆ど居ねえな。トレントと魔虫型ばっかだ」
「完全に生態系が狂ってるな」
空間の中で休憩をするみんなの呪いをとったり軽食を差し出す。
とりあえず現地調査はこの辺りで止めて、この後はまっすぐ王都の方へ向かうらしい。
「元々森の奥は虫ばっかりなのか?」
「いや、そんなことは無いと思う。虫も獣もいっぱいいたし、虫もあんな大きくなかった」
ニッキィが言うのならば、その通りなのだろう。
じゃあここまで虫が活性化するのも呪いのひとつなのだろうか。
「……仮説としては呪いに体制のある個体のみが森に生き残ったからじゃないだろうか。獣型と違って虫はそもそもの絶対数も多く出産や成長のスパンがとても早い。死肉が豊富な今、死肉を食らって耐性のある虫共が急成長を遂げたんじゃないか」
ポーションを飲みながらユーリさんがそんなことを呟いた。
なるほど、そう言われればそんな気がしてきた。
「虫か……数がな……」
「虫は単体だと手応えがねえんだよなあ」
またあの蟻地獄の再来なのだろうか。
全員がげんなりとした表情を浮かべるものの、かと言って嫌がっても敵が変わるというものでは無い。
敵がまた虫中心か……だが今回はマジックバッグが各々使える。となれば個体数を収納出来るようにみんなのバッグを新調してもいいかな。
ああ、でも呪いの収納でMPを使っちゃうからなあ。
対虫の作戦会議を重ねるみんなの邪魔をしないよう、飼って来た獲物を取り出してそこからも呪いを取り除く。
ーーーートクン。
その時だった。ただ呪いを回収しただけだったのに何故か心臓が一回、大きく高鳴ったのだ。
「姉ちゃん?どうしたの?」
「あ、ううん、なんでもないよ!」
リオに声をかけられて我に返って全身の様子を見ても本当になんの問題もない。心臓もいつも通りどくどくと動いている。
やっぱり気のせいだったのかなーーーそう思うものの、もしかしたら虫に刺されたのかと思い呪いを回収した獲物を仕舞うとエレーヌさんの所へ行く。
エレーヌさんは多くの虫に辟易していたが、私が声をかけるといつもみたいに明るく優しく微笑んでくれた。
「エレーヌさん、ちょっといいですか」
「あら、どうしたのマリィ?」
「さっき一瞬だけ変な感じがしたんですけど、ちょっと診て貰ってもいいですか?」




