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好き。
トールさんが、誰を?私を。
私?うん。私!?
しばらくして、真っ赤になって。オロオロと混乱するけれど。
ーーー喜びしかない。
合格を待たずに返事をしようとすると、口を手で塞がれた。
「返事は急がなくていい。戻ってきたらで良い」
と、言われたけれど。
そう言うのは 縁起が悪いんですよトールさん。
ゆっくりと手を外して………彼がつけている腕輪をじっと見る。
「トールさんこの腕輪は?」
「は?あ、ああ。それは守備力が上がる効果のある魔道具だ」
突然の話題転換に付いていけてないトールさんの手を取って……手の甲に、キスをしながら腕輪に物質付与を使う。
私のサブ空間。時間停止付きの空間を腕輪に付与した。
20階層に行くなら、きっとこの空間は彼の力になってくれるだろう。
私からトールさんに贈れる、最大限の祝福だ。
手から口を離して彼を見上げると、トールさんは真っ赤な顔を空いてる手で隠しながらこちらを見下ろしていた。
「腕輪に時間停止付きの空間収納を付与しました」
だがしかしそう言うとトールさんはハッと息を飲んで真顔で私の両肩を掴んだ。
「そんな凄いものを気軽に付けちゃダメだマリィ」
気軽につけたつもりは無いんだけども。
めちゃくちゃ重い祈りでつけたんだけども、ね。
「気軽じゃないですよトールさん」
そういうと私は手を伸ばして。
彼の頭を引き寄せて、チュッと唇にキスをした。
「絶対に帰ってきて下さいね。私のところに帰ってきて欲しいから、付けたんですよ」
そしてそう言って、もう一度キスをすると。
真っ赤な顔で凄まじい勢いで後ろに吹っ飛んだトールさんは、真っ赤な顔を押さえて部屋から飛び出して行った。
一瞬の出来事で。思わずポカンとしてから
「……ぷっ、あははは!」
私は楽しくて嬉しくて恥ずかしくて、声を出して笑った。
翌日、私は休みだったランさんに頼み込んで仕事を代わってもらいトールさん達の出立に立ち会った。
滅多にないAランクパーティの昇級試験。応援に駆けつける人は当然多くて、お見送りの人の中に混ざると私に気づいたトールさんが顔を真っ赤にして、でも真っ直ぐこちらに向かってきた。
「頑張ってください、トールさん」
「……ああ」
目を見て言えば彼はぎこちなく笑って。
また私の前で片膝を着いて、私の手を取って手の甲に唇を落とした。
「おお!」
「ついにくっついたか!」
「真昼間から盛ってんなよ!」
周りの冒険者たちに冷やかされてさすがに恥ずかしくなって赤くなりながらもーーーー顔を上げてこちらを見たトールさんと笑い合った。
「行ってくる」
そして『銀の華』は昇級試験に向かうべく迷宮へと旅立って行った。
「マリィちゃん頑張ってくるねー!」
「行ってくる」
「土産期待しててな」
銀の華のメンバーも遠くから声をかけてくれたその一瞬、ムサシさんが手首を軽く叩いてウインクをした。
多分、腕輪について感謝を言いたかったのだろう。
「ご武運を!」
私は彼らが見えなくなるまで、手を振った。
そして完全に姿が見えなくなると、ギルマスの元へ直行した。




