表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/531

29



予定通りの日程をこなして、全員で無事帰還スクロールで帰還する。


「帰ったか!」


出迎えてくれたのはギルマスだった。

ギルマスは嬉しそうな顔でとりあえず私に素材を解体場に持って行ってくれと言うと各リーダー以外は休んでてくれと言った。


言われた通りに解体場に向かおうとするとーーー


「マリーロズ」


アイズさんに呼ばれた。

その声は何時ぞやのような真剣な声で。

振り向くとアイズさんは真顔で私を見ていた。


「お前、仲間になれ。お前の力が俺達には必要だ」


ギルマスを含め、その場の全員が硬直する中アイズさんは私に近づいてくる。

彼の言葉は、命令だった。


上位者の命令。逆らうことを許さない言葉。


目の前に来て私を見下ろす私より頭二つ以上大きな最高峰の冒険者。


「お前がいれば大量の物資を運べて、安全地帯が気軽に作れる。お前一人で迷宮の探索ももっとぐっと進むだろう」


そして一呼吸おいて、彼は言った。


「俺達で迷宮踏破をしよう、マリーロズ」


それはとても重い、そして魅力的な言葉だった。

けれど、私の胸には響かない。

皮肉なことに彼が何気なく言った言葉。それによって、本気のアイズさんの言葉は私には届かなくなったのだ。

「返事は『はい』しか聞かねえぞマリーロズ」


「お断りします」


断った瞬間、凄まじい威圧感がアイズさんから発せられた。怒りか殺意か。分からないけれど言葉を発することもきつい威圧感。


でも、カタカタ震えながらも。


私は笑みを浮かべていた。


「いつか、迷宮で…」


「ああん?」


「冒険者が頼りにできる、買取所も兼ねた宿屋を迷宮の奥地に作ります」


笑みを浮かべて、獰猛な表情のアイズさんに真っ向から噛み付く。


「………」


「そのためにはまだ空間スキルのレベルも、空間の広さも、軍資金も、知識も足りないんです」


圧はだんだん増して、震えは大きくなっていくけれど。

しっかり目を見開いてアイズさんを見返す。


「私の『夢』の邪魔をしないでください。ちゃんといつか、アイズさんも泊まらせてあげますから」


「………」


「………」


「………」


睨み下ろすアイズさんをしっかりと睨み返す。


しばらく睨み合った末にアイズさんは目を細めて、笑った。


「オープンの予定が立ったらちゃんと言えよ。『ドラゴン殺し』は一番客にぜってぇなってやるからよ」


そう言ってごしゃごしゃと私の髪をかき混ぜて、アイズさんはギルマス達と去っていった。


な、何とかなったの…?


緊張が抜けてその場にへたり込むと、すごい勢いででムサシさんに抱き上げられた。


「なにしてんだよマリィちゃん!アイズさんに啖呵切るとか、もう俺の心臓止まるかと思ったよ!」


「……私も止まりそうで、腰抜けました」


「あー、もう!!」


そして解体場に直行されると、何故か私がいた場所ではわあっ!と盛り上がる声が聞こえた。


解体場に着くも何故か扉を開けて中に入ろうとしないムサシさん。

ん、と思って彼を見るとムサシさんの口は尖っていた。



「俺達も、マリィちゃんをパーティに誘おうとしてたのに。あんなすげえこと聞いちゃったら誘えないじゃんか。マリィちゃんの馬鹿」


「それは……すみません」


近くにあるムサシさんの頭を撫でる。

しばらく撫で続けて、ムサシさんはやっと解体場の中に入ってくれた。



さて、素材を引き渡して報告書をあげて。


そのあとは何をしようかな。どれをしようかな。


宿屋開店が遅いとアイズさんにもせっつかれそうだし。



もっともっと、頑張らないとね!



第一章[完]

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ