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中に戻って、火打石で火をつけると普通に着いた。
タランさんも魔法を使ってみると問題なく発動した。
となると、残る問題は氷で寒いくらいか。
これくらいなら大丈夫だろう。実際にさっき私も普通に寝れたし。
「中級ポーションを10個または高級ポーションを6個貰えて、あと中が寒いのと、魔物の死体と共存が大丈夫なら大丈夫ですよ」
「よし、決まりだな。トールの言う通りお前のMPが多くて助かったぜ。ほら高級ポーションはやるよ」
ポンっと渡されたのは複雑な綺麗な形の小瓶。超お高い高級ポーションで。
それを両手で持ってふおおおっとなっていると頭をポンポンと叩かれた。
「宿屋代わり頼んだぜ」
その言葉は、何故か私の奥に響いた。
宿屋、代わり。
迷宮の奥でサポートする宿屋。
私の空間で出来る空間。
ここ数日楽しかった。ご飯作ったのが喜ばれることが。洗濯とか片付けでありがとうって言われることが。
胸がドクンとなって
『宿屋代わり』
その言葉は私の胸に深く刻み込まれた。
「拠点を空間に移動して任務は続行する。各々、残った材料で再度拠点を作り直せ!」
アイズさんのその声ではっとする。
今までは荷物を取り出しやすいように入口側に来るようにしておいたが、それを一度空間の奥に移動させる。
また一部の食材を残し、氷と残りの食材を天井近くに移動させる。
「誰か毛布余ってないかー」
「うちの食器やられちまった。鍋は生きてるぞ」
「ああ、うちの予備食器を貸すよ」
残った物資を分け合い、助け合い。
「アイテムみたいに空間内にふよふよ浮くのかと思ったら違うんだな」
「ゴツゴツしてない分外より寝やすいな。これなら寝袋無いけど行けるかも」
私にとっては物足りないと感じる状況でも、冒険者たちはこれくらいまだまだ行けると声を上げて笑う。
そんな彼らの、サポートを出来る。
それはとっても素敵なことに感じた。




