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「それじゃあメルディとレンド、ユーリを軸にパーティを再編成しよう。メルディには白蟻を確認してもらいたいので先陣を任せてもいいか?」
「ああ、構わねえが拠点はここに置くのか?それなら死体を運ぶやつをつけてくれ」
「わかった。とりあえずスカウトはーー…」
そして目の前で再編成が整えられる。
基本的には慣れ親しんだ仲間と一緒になれるように、けれど落盤対策や回復や補助などバランスよく少数精鋭のパーティが組まれていく。
メインの道をトールさんとメルディさんたちが。
蟻の事だから脇道が作られてると思われるので一~二箇所ごとパーティが配置されてメインパーティが後ろから襲われない布陣で行くそうだ。
ちなみにスカウト数人と臭い対策ができる人はメイン通路と思われる道で運び屋、バフ屋、そして全パーティの状況確認をするそうだ。
即座に退避事態が起きた場合は潰すと音が出る道具と煙幕で対応するようだ。
音が聞こえた場合即座に総員撤退。
私には落盤対策も出来て戦闘力も高くいざって時は私を担いで走れるメルディさん一押しのドワーフさんがつけられた。
さすが冒険者達。
足音も聞こえず蟻が運ばれてきて、それを回収するとまた静かに暗闇の中へと消えていく。と言っても一応暗視ポーションの効果である程度の距離は見えるけども
大きい音が聞こえたら緊急事態。
そんなことを考えて気を紛らわせても静寂が重くのしかかる。
足を引っ張ってはいけない。音を立ててはいけない。息を潜めて身動ぎもせずに届けられた蟻を淡々と受け取る。
ーーーーこれが本当の狩場。緊張感が半端ない。
静寂の中心臓音がやけに大きく感じる。この音は大丈夫なんだろうか。
トールさんは、アイズさんは、エストラさんはさん…皆は、無事だろうか。
私は役に立てているのだろうか。
……辛い。気を紛らわすことも出来ず音を立てず静かに待機しているだけなのは想像以上に心が折れそうで辛かった。
ぐるぐると恐怖が目の前で回り出したその時……共に待機をしているドワーフ冒険者さんが私の視界に手をかざした。
何かしただろうか、やはり心臓がうるさいだろうか。
(飲み物くれ)
と思ったら、喉が渇いただけのようだ。
ほっとしながらポーション瓶に詰められた水を差し出すと……押し返された。
なんでだろうと不思議に思い瓶を握るとドワーフさんはにかっ!と顔全体をくしゃくしゃにさせて笑った。
(飲んで落ち着け。大丈夫、余裕だから)
そう言われて、静かに息をついて瓶の中身を一気に飲んだ。
そうだ、まだ現地について大した時間も経ってない。待ってるだけで潰れる訳にはいかない。私は彼らを支えるんだ。
気を取り直して坑道を睨みつけた私を見てドワーフさんふっと笑って、彼もまた坑道を見た。




