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そんなこんなで2回目のアイアン迷宮の宿屋業務。
準備万端で意気揚々とアイアン迷宮に赴くと、現地では揉め事が起きていた。
たくさんの冒険者と、鉱夫と、クリハラさんと会長までいる。
冒険者や鉱夫は会長達とトロッコの管理者に文句を言っているようだ。
「無いじゃねーよ、徒歩でおりたらどんだけ時間かかると思ってんだ」
「そう言われても、無いもんは無い。そこにあるのは売却して所有者が俺たちのものじゃないトロッコだ」
どうやらトロッコが尽きてしまい、誰かの所有トロッコ一台しかないようだ。
乗りたがっている人はざっと見て50名は居る。全員が全員、一台のトロッコを奪いあって殺伐としているようだ。
「…あー、あのトロッコうちのだ」
「……本当?絶対揉め事に巻き込まれるなあ…」
「うん。前回を考慮して一台買い取らせて貰ったんだ」
「なるほど天才だ」
つまりあれですね。うちのトロッコを奪い合って揉めてると言うことだ。
私たちは今からあの集団の中に入って行ってトロッコを奪取すると。うん、絶対に揉め事に巻き込まれると思う。
「あ!このトロッコはあの方々の物です!」
と思った瞬間、トロッコ管理のドワーフさんがこちらを指差して全員の視線がこちらに向いた。
「……面倒だな」
「全くだね」
トロッコ管理の人は逃れたい一心だったのだろうけれど、巻き込まれたこちらはたまったもんじゃない。エストラさんとトールさんは溜息を吐いて……
「マリィ、アイズを宿屋に入れろ」
「ほい!」
「はぁ!?なんでだっっ」
片目を見開いて怒鳴ろうとしたアイズさんを問答無用で中に放り込む。なんで?殺気立った冒険者さんたちと関わらせたら喧嘩するのが私でもわかるよアイズさん!
「マリィちゃん、俺も入れて。アイズの機嫌は取っとくから」
「いやお前は牧場が巻き込まれないか心配なだけだろ…」
「大丈夫だよ、ポールが居れば矛先はポールに向かうし」
「おい!?」
「憂さ晴らし相手に俺も行こう」
「…はあ。回復要員であたしも行くわ」
そしてアイズさんの責任をとる形でドラ殺全員が中に入るのを希望してきたので、そのまま全員を中に入れる。
多分中ではアイズさんがぷんぷん怒ってるからドラ殺とダーツ以外の弟妹に任せよう。私はこっちだ。
そう思って、こちらに向かってくるクリハラさんと鉱夫組合の会長さんに視線を向けた。




