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「マリィ大丈夫か?」
「問題無いですよー」
廃棄ポーションを飲みながらアイズさんに返事をするとぐしゃりと髪をかき混ぜられた。
あれから順調に数日。空間魔法使いの人たちは帰還し、今はマジックバッグを送っている期間だ。
家事をしても余裕があるのでサブ空間を新たに作り、今は仕込み済みの野菜を氷と一緒にそちらに入れてある。
メインの空間はみんながいつでもアイテムを取り出せるように人が多い時間は開きっぱなしなので氷が溶けるのが早いのだ。と、思ってふと思う。
「そう言えばアイズさん達はマジックバッグを持ってるんですか?」
私の作ったマジックバッグはアイズさん達が持ってるのかなーと思い聞いたんだ。
けれどアイズさんは渋い顔でチョップを入れてきた。
「マジックバッグは色んな人が欲しがる重要な財産だ。そんな気軽に聞いちゃダメだぞ」
「あ、そっか。ごめんなさい」
「いや、次から気をつけろよ。俺たちは先日ようやく手に入れられたぜ」
「そうですか。使い心地はどうですか?」
初めて作ったものだし、試運転?しなかったから気になって聞いたのだけど。
アイズさんは真顔になって私の頭を鷲掴んだ。頭がギリギリミシミシいって、いた、いだだだだ
「痛い痛いよアイズさん」
「今言っただろお嬢ちゃん。マジックバッグは色んな人が欲しがるんだ。所持情報もあれだが作成者情報なんて以ての外だ、わかるな?ああん?」
「ひゃい」
「わかりゃよろしい。しかしあれ作ったのマリィだったのか……」
「はい。初めて作ったのでどんな感じかなーと」
「ギルドや国で貸し出されるやつよりも大容量で使いやすいし、触れただけで収納出来るのは便利だな。でもそうか……念の為に聞くが、マリィ、お前マジックバッグを作って売る予定はあるか?」
解放されたあともひりつく頭を押さえて、流石に考え無しだったので今度はちょっと返答に迷ってから横に首を振る。
「そんな簡単にぽいぽい作れませんよ」
売る気満々だけど。副業として稼ぐ気満々だけど、それをばらしちゃダメって今教えられたばかりだから一応隠す。
するとまたチョップをされた。
「ばーか、目が泳いでんぞ。でもそうだな、もし売るのならば商業ギルドに登録した方が良いぞ」
「……商業ギルド、ですか」
「ああ。がっつり手数料を払えば出元も隠してくれるぞ。普通に売ったんじゃ翌日にはたくさんの誘拐犯が街に来るぞ」
お、おおう。教えて貰って良かったと心底思う。でもそうか、商業ギルドか。登録しても良いのか一度ギルマスに相談もすべきだろう。
「でもそうだな。マリィ、そこまでの実力があるならお前にゃ護衛が必要だろ。どうだ、俺のパーティに来ないか?」
それは何気ない言葉のようだったけど。
アイズさんの目は真剣なのがわかった。
「……お気持ちは嬉しいですけど、私は戦闘能力が無いので。それにもっともっと空間魔法スキルのレベルも上げたいですし」
茶化すように誤魔化して断ればアイズさんは目を細めてポンポンと頭を叩いた。
「お前ならいつでも歓迎だ」
そう言って、ドラゴン殺しの拠点に戻って行った。
短い間のAランク冒険者の真剣な様。それから解放されるとどっと汗が吹き出してきた。
私から見たら優しいおじさんだけども、やっぱ冒険者は凄い。




