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………。


命懸けで狩りに行ってる人たちがいるのに何だけど、暇だった。


ロベルタの人達は拠点の見張りをしつつ装備の手入れを念入りに行っている。

だが、よく見ると転送魔法使いのお兄さんは本を読んでいたし、結界師と空間師の人達は雑談をしていた。


いやまあ、確かに輸送部隊は輸送までは暇なんだけども。


ここまで必死に守って連れてきて貰ったトールさん達になにかお礼がしたくて、私は空間の中に走った。



sideトール


「撤収だ!各々戦果を持って拠点に帰るぞ」


指示を出して余裕をもって戦闘を切り上げる。帰路はスカウトのムサシの活躍でほぼ戦闘は皆無で拠点まで引き上げられた。


「あ、おかえりなさい」


拠点の結界に入って一番に気になったのはすごくいい匂いだった。

疲れた体が思い出したかのようにぐうーと腹の虫を鳴かせる。


「あ、ああ、マリィ何をやってるんだ?」


「ご飯の準備をしてました。いつでも食べられますが、まずは素材を預けてから身体を拭きましょうか。タライに水を張っておきますね」


俺達の鍋やフライパンなども使って、細々と食事の支度をするマリィ。

言われるままに素材を一番に帰る空間魔法師に預けてテントに戻ると本当に水を張ったタライと布が何枚も置かれていた。


「お着替えも出そうと思ったんですが流石にそちらは私物だったので」


「……いや、助かる」


「マリィちゃん俺のカバン漁っていいからシャツ持ってきてくれるかな?」


「良いですよ」


「おいっ!」


「良いじゃん。きっと手持ち無沙汰なんだよ」


ヘラヘラ笑うムサシを叱っても何処吹く風でシャツを脱いであっという間にパンツ姿になりタオルで全身を拭きだす。


そんなムサシの裸を見てもケロッとしたマリィはここに置いておきますねと言って着替えを置いてった。


「……トール、マリィちゃんうちのパーティに勧誘出来ないか」


始めにそう言ったのは胃袋を掴まれたダーンだった。

暇だったのでお肉漬け込んで置いたんです。そう言って出された野菜と肉の炒め物はめちゃくちゃ美味かった。ライスと合って、彼女は食事処でも働けるんじゃないかと感心した。


また漬け込んだ肉は他のパーティにも配布され、それを食べたアイズは真顔で後で金を払うからうちの飯も頼む。と言えばマリィは軽く了承した。


「あ、そのタライに洗濯物を入れといてください。後で洗剤を入れて浸け置きしますんで」


その言葉に陥落したのはユーリだった。綺麗好きなあいつも真顔で「あの子うちに欲しい」と言い出したので苦笑した。


そして入れ替わりで狩りに行ったロベルタも全力で食材と食器類を差し出して頼み込み彼女は小さいのに全員分の食事を引き受けることになった。


流石に負担が大きいんじゃ…と思ったら大人数の食事は慣れてますとケロッと笑っていた。とは言え俺達も輸送部隊も仕込み程度は手伝うことにしたが。



翌朝、テントからテントに張った紐に洗濯物が干されて居た。それもうちのパーティだけじゃない。おい、どこまで子供に寄りかかるつもりなんだと思ったらユーリとドラゴン殺しとロベルタの魔法使いたちが風魔法で洗濯物を乾かしていた。


しっかり働く仲間の姿に一番何もしてないのは俺なんじゃ、と焦ってマリィの元へ行くと予想通り数人が野菜を切ったり肉を切ったり手伝う中マリィが楽しそうに動き回っていた。


「おはよう、俺も手伝う」


「おはようございます。じゃあ、パンを半分に切って炙っといて貰っても良いですか?温めた方が美味しいですから」


パンくらいそのままで食えるのに一手間を入れる彼女。いやでも、確かにその通りなので言われるままに手伝う。


驚くことにこの、朝数人で手伝ったことで一日分の仕込みは終わったらしく狩りから戻ってもマリィは暇そうにしていた。


曰く、今は遠火でコトコト煮てるので暇だと。


「みんな別料金払うからやってやって言うんですけど、このままじゃ私がっぽり稼いじゃいますよ」


とケラケラ笑いながら彼女は破棄ポーションを飲んでいた。

彼女がスキル上げを熱心に行っているのは知っていたが、まさかこんな状況下でもやるとは。


ストイックな彼女に負けないよう、俺も静かに鍛錬と武器の手入れをするのであった。





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