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8

中に入った瞬間、フェルンさんもモモ婆も辺りを忙しなく見回して……フェルンさんは無言でその場に座り込んで紙とペンを取り出して実物の宿屋を見ながらすごい勢いでデザイン画を描き出した。ん、あれ…?


入ってきたのは私たちだけのはずなのに。確認を取るようにトールさんを見上げると知ってか知らずか、ふっと笑って一瞬目を閉じた。

そんな私たちの後に続くようにアサシンズや銀華のみんなも入ってきたし大丈夫だろう。


「あ、姉さん、着いた?」


「着いたよー。本館の方凄くなってるよ。それよりも挨拶」


「あ、初めましてリオです」

「初めましてレオです」


「こら可愛らしい双子ちゃんやなあ。マキエの祖母のモモ婆やで」


レオとリオが来たけれどフェルンさんは無視して一心不乱に描き続けていた。えーとどうしたら?と困っていると


「そいつはしばらく動かんからそのままでええよ。それよりも、訓練所があるん聞いたけどそっちに連れてってや」


と、言われてしまった。ダーツと見つめあってうーんと悩んでからちょうどそこにいた双子に指示を出す。


「レオ、ロディを訓練所の方に呼んできて。リオ、結界を頼むかもしれないからちょっと一緒に来てくれる?」


「はーい」

「はーい」


元気よく走り出して行ったレオを見送り、モモ婆の両サイドを私とダーツ。背後にトールさんとエストラさんとリオを連れて訓練所の方に移動する。


モモ婆はすごく喋りやすい人だった。


「じゃあマリィちゃんは12歳からラクーンにおったんか。空間魔法が凄いから雇われたん?」


「いえ、当時は全然でした。ラクーンギルドに育ててもらったようなものです」


「なるほどなあ。じゃあ冒険者等はマリィちゃんのもう一つの家族みたいなもんやな」


「そうですねえ」


これくらいなら調べればわかる情報かな、と思いつつ会話を進めてふむと考える。

この流れならば聞いても不自然じゃないかな。


「モモ婆に付いてきた人たちも、モモ婆にとっては家族みたいなものですか?」


フェルンさんがデザイン画を描き出した辺りで、感じた感覚。ここは私の空間だ。中に居れば『何か』が入った感覚はわかる。

あの時、扉の前には私たちしか居なかった。それなのに『人』が二人ほど入ってきた感覚があったのだ。その『人』は見えないにもかかわらず。


トールさんが目を瞑ったことから『侵入者に関しては目を瞑る』と判断して流してきたけど…実はめっちゃ気になってたのだ。

だって!あの時確かに人影はなかったんだもの!


だから好奇心に任せて聞いてみた。

するとモモ婆はにっこりと笑った。

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